構ってもらいたがる友人と私

月(ユエ)/久瀬まりか

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昼休みは、四人でランチを食べました。四人でいると、マデリンは何も喋りません。みんなの言うことをただ聞いていて相槌を打ったり笑ったりしています。

私と二人でいる時のように、愚痴や悩みを口にすることはありませんでした。暗い話を聞かずに楽しく食べるランチはとても美味しい、と感じた私は薄情なのでしょうか。

そして放課後、私とマデリンは二人で新しく出来たカフェに行ってみました。

内装がとてもお洒落で、メニューも豊富にありました。次はブライアンと来たいな、と思うような店でした。

「セシリア、今日は我儘言ってごめんなさいね」

マデリンに謝られると、私も胸が痛みます。

「私こそごめんね、マデリン。決してあなたを蔑ろにしているわけではないのよ」

「ううん。私なんて、話もつまらないし、親からも見放されてるし、なんの取り柄もないんだもの。セシリアが私と一緒にいても退屈だと思うのは当然だわ。だから今日は、最後だと思って楽しむわ」

「マデリン、そんな事言わないで。ずっとって訳じゃないのよ、少しの間だけ……ブライアンと一緒にいさせてもらえたらなって……」

「ええ、いいわよ。行ったらいいと思うわ。だってあなたは幸せなんですもの。でも私だったら彼氏が出来ても友達は大事にする。放課後は友達との時間を優先するし、絶対、邪魔者扱いしたりしない。それが親友だと思うから。でも気にしないで。あなたと私の考え方は違うんだから」

「ごめんなさい、マデリン……」

言葉にするとキツいようですが、実際のマデリンは眉を下げ、弱々しく、悲しそうに話すので私は罪悪感でいっぱいになりました。

「セシリア、私はあなたが好きなの。あなたになら悩みを話せるって思ってた。ジョイスやケリーは明るすぎて、悩みなんて笑い飛ばされてしまうから話せないの。親身に聞いてくれるのはあなただけなのよ」

そう言われると、マデリンよりブライアンを選ぼうとしている私は酷い人間のように思えてきました。マデリンの話を聞いていると私も暗い気分になったりモヤモヤが溜まったりするのですが、それさえも私が悪いような気がします。

そんな感じで、せっかくのお洒落なカフェも全く楽しめないままでした。こんなに責められるくらいならブライアンと別れた方がいいのではないかと思うほどでした。

それでも翌日は、ジョイス達がマデリンを連れ出してくれたので、私はブライアンと一緒に昼も放課後も過ごすことが出来ました。

「マデリンは大丈夫なのかい?」

ブライアンが気にしてくれています。

「ええ、ジョイスとケリーが一緒に居てくれているわ。でもあの二人もやっぱり彼氏と過ごしたいと思うから、交代にしようと思うの。だから三日に一回は一緒に帰れないけどそれでもいい?」

「もちろんさ。三日に二回も一緒にいられるなら嬉しいよ」

なんてポジティブに考える人なんでしょう。私は二回しか、と思っていたのに彼は二回も、と考えるのです。そう思うととても気持ちが楽になりました。

それからは、お昼休みは四人でランチを食べ、放課後は三人が交代でマデリンと帰る習慣になりました。
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