四人の令嬢と公爵と

オゾン層

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婚約

決心

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 ラゼイヤの提案と理由に未だ戸惑うオリビアだったが、何度も何度も頭の中でラゼイヤの言葉を再生しているうちに、ようやく決心がついた。


「……わかりました」

「それは、了承と捉えて良いのかい?」

「はい……皆もよろしいでしょう?」


 オリビアが姉妹達にそう振ると、彼女達も思いは同じようで、すぐに頷いた。


「そうか……ありがとう」


 ラゼイヤが頭を下げると、他の公爵達も姉妹達に頭を下げてきた。


「こんな要求飲んでくれてありがとな」

「ありがとうございます……」

「…………」


 公爵ならぬ謙譲的な対応に、姉妹達は畏れ多くて咄嗟に頭を深く下げた。
 茶会の場で全員頭を下げている様子は、なんとも異様な光景である。


 「……よし、じゃあ話も済んだことだし、城の案内を続けようか。まだまだ案内できてない場所があるからね。それが済んだら次は君らの部屋を紹介してあげよう」


 ラゼイヤがパン、と手を叩くと、円卓の上にあったティーセットは全て消えてしまった。
 姉妹達が驚く間も無く、公爵達は立ち上がるとそれぞれの婚約者に手を差し伸べた。





 テラスから見える街の景色を目に収めた姉妹達は、公爵達に連れられてその場を後にしようとした。
 しかし、その中で一人だけ足を止めたラゼイヤに、オリビアは頭を傾げた。


「ラゼイヤ様?どうかなさいましたか?」

「いや、済まないが先に行っててくれ。後ですぐに向かうからね」

「わかりました……」


 ラゼイヤの言う通り、オリビアは先に向かった公爵達の後を追った。

 テラスで一人きりになったラゼイヤの後ろには、いつの間にかギルバートが立っていた。


「主人様、茶会は楽しめましたか?」

「ああ。とても有意義な時間だったよ」

「それはよかったですね」

「ああ、本当に……それで、の方はどうかな?」

「はい。既に手筈は整っております」

「そうか。なら彼方もと受け取って良いということか」

「ガルシア令嬢様にはお伝えいたしますか?」

「いや、まだ良い。明日伝えることにしよう」

「畏まりました。私はこれにて」

「ありがとう。ギルバート」


 ギルバートも姿を消し、今度こそテラスにはラゼイヤただ一人となった。
 ラゼイヤは残されていた円卓も消し、テラスから見える街に視線を向けた。


「そういえば、彼方の王にはまだ手紙を送っていなかったか。さて、どう返そうか」





 街を眺めるラゼイヤの顔は笑っていたが、目は全く笑っていなかった。
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