Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~

落光ふたつ

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幕間「未来を見た少女」

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 去っていく行ちゃんの背中すら追いかけられず、あたしは家へと引き返す。
 道中、自分を慰めようと何度も取り出した手紙も、もうまるで効果はなかった。

「なにも、大丈夫じゃないよ……」

 無力感ばかりがあたしの胸の内を埋め尽くしている。
 そうして家に着いたあたしは、まっすぐに布団の上へ寝転がった。
 寝ようとする時間は、少しだけ心が和らぐ。自分の体ではあるけれど、染みついた匂いがしてなんだか一人じゃないと思えるから。

「……会いたいな」

 なぜかそんなことを口にしてしまって。
 考えないといけないことはいっぱいあるはずなのに、まぶたはすぐに重くなった。



 夢を見ていた。
 目の前には古びた便せんがあり、細い指で折れかけた筆を握っている。
 便せんに記されていた文字列は、よく知っているものだった。

『きみなら大丈夫』

 本当に、何を根拠にそう言ってくれるのだろう。
 全然大丈夫じゃなかった。何も出来てないよ。
 でも何でか心はまた満たされていて。

『やっぱりあたし、もう少し頑張ってみるね』

 返事を書いた。
 そうすれば、彼はあたしを見ていてくれる気がする。あたしだって、彼を目指して行ける。
 想うだけでも、不思議とやる気は溢れていた。
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