Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~

落光ふたつ

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幕間「未来から来た少女」

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 おばあちゃんの体で目が覚めると、昔の記憶がまるで夢のようにぼやけていった。
 それは多分、記憶する力は体が持っているからなんだろう。
 そのせいで『三付比良人』の顔も曖昧にしか覚えてなくて、探すのには手こずってしまった。
 しかもこの社会は動きづらく標的が強情なせいで、目標は叶えられず。
 とはいえ、そんなアタシの努力は、もう必要なくなっていた。


「……っ」
 夜の道。
 もうすっかり慣れた体で目的もないまま走る。

 やるせない感情が胸を支配していた。
 どうにかしたいのにどうしようも出来ない。ゴールに向かっていた道が突然崩れ、アタシはすっかり行く当てを失ってしまっていた。
 そもそも、ゴールすら見失っている。

 なら一体、どうすればいいの?

 世界の真実を少し知った。知ればどうにか出来ると思っていたのに、むしろ知ったことで、アタシの覚悟は意義がなくなった。
 だから感情を爆発させ、唯一の味方であるおばあちゃんの手も振り払って、こうして逃げ出している。
 そうしてアタシは、途方に暮れるまま暗闇をさまよって、


「——っ!?」


 突然、口と鼻を覆われた。
 手足の動きも封じられ、アタシの体は暗闇に同化していた車の中へと押し込まれる。
 すぐに目も塞がれて。

 アタシにはもう、何も見えなくなった。
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