100回目のキミへ。

落光ふたつ

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〖序章〗

【Prologue】

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 いつまで経っても、気持ちを伝えられないでいる。

「卒業したらどうする?」
「……まだ、決めてないかな」
 並んで歩く幼馴染の問いかけに、雅文まさふみは視線を逃して応えた。
 雲を残した青空。1羽の小鳥が横切る。日常に溢れた光景のはずなのに、意味もなくじっと眺めている。
 今日は卒業式だった。まだ蚊帳の外な1年生ではあるけれど、先輩の旅立ちを目の当たりにすればどうしても将来は意識してしまう。
「わたしはやっぱり進学かなぁ。やりたいこととかはないけど」
「やりたいことなんて、進学してから見つければいいでしょ」
「かな?」
 チラリと視線を戻せば、まるで見計らったように微笑みかけられる。
 村松美桜むらまつみお。雅文にとって10年以上もの付き合いになる幼馴染だ。
 向かう視点は少しだけ低く、短く切られた髪と引き締まった体は昔からあまり印象が変わらない。快活な性格と言葉では表しにくい魅力で、周囲によく人を集めていた。

 そんな彼女に、雅文は当然のように恋心を抱いている。

 きっかけは明確には憶えていない。けれど気づけば、瞳を向けられるだけでどうしようもない胸の詰まりを感じてしまっていた。
 その感情を雅文はいつも煩わしく思い、感じる度、彼女に対して踏み込まない言い訳を考えようとする。
「俺は進学しないだろうから、卒業したらもう関わらないかもね」
 いっそのこと気づかぬ内に手が届かなくなって終わってしまえ。
 なんて、情けない自分を侮蔑したつもりでも、それはただの不安でしかなくて。後になって、愚かしさばかりが目立っているとより一層の不快を知る。
 しかしそんな自分とは対照的に、彼女は朗らかに告げるのだ。

「そんなことないよ」

 いつものように手を引っ張るみたく、未来を輝かせて。
 雅文はその光に何度も焦がれた。
 でも、同じくらいに目を眇めている。
 眩しくて。直視出来なくて。
 だから自分は踏み出せない。
「………」
 言葉を返せず。釣り合わないと理解しているのに、隣を離れられないでいる。
 足を止めている間に彼女は数歩先に進んでいて。けれど少しすれば不思議な顔をして振り返る。
 先を行く彼女。後ろから眺める自分。
 たぶんきっと、いつまでもこのままなのだ。
 気持ちを伝えられず。この距離を埋める事も出来ず。
 その間に彼女は色んな事を成し遂げて。それでも自分を突き放す事はせず。
 今の関係性が変わる事なくずっと。
 ずっと、ずっと。
 今までがそうだったから、このままが続いていく。

 そう、思っていた。

 車が、目の前で、民家の塀に衝突する。
 一人の少女を巻き込んで。
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