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地下鉄施設の焼畑軍基地
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地下鉄施設の避難所では改札口前の配給所へ長蛇の列が並んでいるので、おれはその人並みを掻き分けて進む。あれから数日経った今、ようやく次の任務への指令を受けたおれたち焼畑軍隊員が作戦本部へと向かうためだ。
作戦本部は主に以前の地下鉄関係者用の運営施設が使われており、そこで各種訓練や作戦会議が行われている。様々な敵の研究や兵器開発を行う部署もあちこちにあり、敵の動向を見張る支部がそれぞれの駅にあって、それらは地下鉄通路のネットワークで繋がっていた。
蝕虫植物たちは日光の届かない地下へはあまり入ってこられない為に、生き残った住民たちはずっとデパ地下街や地下鉄構内で暮らし、移動も地下鉄通路で行ける範囲内だけで生活していた。
それでもまだ、地下を通って各駅からゲリラ作戦を展開できる地下鉄の恩恵は大きく、人類は徐々に都内の支配権を取り戻していた。
「同士諸君よ! これまで、命を懸けた君達の勇気ある奮闘によって多くの生存者たちを救えたことは称賛に値する! おかげでようやく勝利の糸口が見えてきた」
集合と点呼が終わり、いつもより若干気合いの入った茨木隊長が次の作戦内容を伝えるための演説をぶちまける。
「つい先日、調査班が帰還し、敵のの本拠地を特定することに成功した! それがここ、東京グランドホテルだ!」
茨木隊長はホワイトボードに大きな地図や写真を広げてその位置を指し示す。
「この建物の中のエントランスホールに茨の植物たちの球根が発見された。この球根から大量の蝕虫植物たちが生み出されているのも目撃されている。コイツが敵の親玉だということはほぼ間違いない! 逆に言えば、この本体を倒さねばまだまだ増えるということである!」
この衝撃の新情報に隊員たちからどよめきが起こる。かくいうおれも驚きを隠せないでいた。
「隊長……それってつまり……」
「あァそうだ、明日に我々はほぼ全ての残存兵力を集結させてこのビルへ突入する! 今回の任務はおそらく最大にして最後の戦闘になるだろう。この球根を刈ることさえ成功すれば、今までの長く苦しい戦いと、」逃避行の日々はようやく終わりを迎えるということである。」
その言葉を聞いた隊員たちが歓声を上げる。今まで生存者の救助活動ばかりしていたおれたちだったが、敵の大将の首が先に取れるんならもう逃げ回る必要はない。
「作戦内容はこうだ。まず、ホテル正面に9割方の兵力を集め、たむろしている蝕虫植物どもと派手に抗戦することで連中を寄せ付けておく。そして、ここの裏口から、選ばれし少数精鋭の討伐班を突入させて敵の心臓を叩く」
「なるほどな……いい作戦だぜ。では、ぜひともその討伐班の先頭はこのおれ、笹切槍矢にお任せを、十分で刈り取ってみせらぁ」
「いィんや、討伐班の班長はアンタじゃない。呉竹上等だ。笹切上等は班長の判断に従いなさい」
茨木隊長の言葉を聞いて唖然とする。まさかあの咲耶の命令に従わなきゃいけないなんて最悪だ。確かに咲耶も抜群の射撃性能でナンバーツーを誇る逸材だが、おれの立ち回りには遠く及ばない。だが、そのクセにおれの身の方を心配してあまり戦わせようとしないだろう。なんてうっとおしいことこの上ない。おれからしてみれば咲耶の方が喰われたりしないかよっぽど心配である。
「アンタは致命的に指揮には向いちャいない。くれぐれも先走った行動は控えるように」
茨木隊長にぴしゃりと言い切られて、反論もできずに言葉を失う。
「大丈夫よ槍矢。ワタシが守ってあげるからね」
こうしておれの意見は女二人に作戦当日まで見事に封殺されたのであった。
作戦本部は主に以前の地下鉄関係者用の運営施設が使われており、そこで各種訓練や作戦会議が行われている。様々な敵の研究や兵器開発を行う部署もあちこちにあり、敵の動向を見張る支部がそれぞれの駅にあって、それらは地下鉄通路のネットワークで繋がっていた。
蝕虫植物たちは日光の届かない地下へはあまり入ってこられない為に、生き残った住民たちはずっとデパ地下街や地下鉄構内で暮らし、移動も地下鉄通路で行ける範囲内だけで生活していた。
それでもまだ、地下を通って各駅からゲリラ作戦を展開できる地下鉄の恩恵は大きく、人類は徐々に都内の支配権を取り戻していた。
「同士諸君よ! これまで、命を懸けた君達の勇気ある奮闘によって多くの生存者たちを救えたことは称賛に値する! おかげでようやく勝利の糸口が見えてきた」
集合と点呼が終わり、いつもより若干気合いの入った茨木隊長が次の作戦内容を伝えるための演説をぶちまける。
「つい先日、調査班が帰還し、敵のの本拠地を特定することに成功した! それがここ、東京グランドホテルだ!」
茨木隊長はホワイトボードに大きな地図や写真を広げてその位置を指し示す。
「この建物の中のエントランスホールに茨の植物たちの球根が発見された。この球根から大量の蝕虫植物たちが生み出されているのも目撃されている。コイツが敵の親玉だということはほぼ間違いない! 逆に言えば、この本体を倒さねばまだまだ増えるということである!」
この衝撃の新情報に隊員たちからどよめきが起こる。かくいうおれも驚きを隠せないでいた。
「隊長……それってつまり……」
「あァそうだ、明日に我々はほぼ全ての残存兵力を集結させてこのビルへ突入する! 今回の任務はおそらく最大にして最後の戦闘になるだろう。この球根を刈ることさえ成功すれば、今までの長く苦しい戦いと、」逃避行の日々はようやく終わりを迎えるということである。」
その言葉を聞いた隊員たちが歓声を上げる。今まで生存者の救助活動ばかりしていたおれたちだったが、敵の大将の首が先に取れるんならもう逃げ回る必要はない。
「作戦内容はこうだ。まず、ホテル正面に9割方の兵力を集め、たむろしている蝕虫植物どもと派手に抗戦することで連中を寄せ付けておく。そして、ここの裏口から、選ばれし少数精鋭の討伐班を突入させて敵の心臓を叩く」
「なるほどな……いい作戦だぜ。では、ぜひともその討伐班の先頭はこのおれ、笹切槍矢にお任せを、十分で刈り取ってみせらぁ」
「いィんや、討伐班の班長はアンタじゃない。呉竹上等だ。笹切上等は班長の判断に従いなさい」
茨木隊長の言葉を聞いて唖然とする。まさかあの咲耶の命令に従わなきゃいけないなんて最悪だ。確かに咲耶も抜群の射撃性能でナンバーツーを誇る逸材だが、おれの立ち回りには遠く及ばない。だが、そのクセにおれの身の方を心配してあまり戦わせようとしないだろう。なんてうっとおしいことこの上ない。おれからしてみれば咲耶の方が喰われたりしないかよっぽど心配である。
「アンタは致命的に指揮には向いちャいない。くれぐれも先走った行動は控えるように」
茨木隊長にぴしゃりと言い切られて、反論もできずに言葉を失う。
「大丈夫よ槍矢。ワタシが守ってあげるからね」
こうしておれの意見は女二人に作戦当日まで見事に封殺されたのであった。
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