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人間ほど年がら年中サカッっている動物はいない。
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「ああんもうっ、ムカつく!」
少子化推進局本部へと戻り、女子更衣室へとたどり着いたワタシは苛立ちの声を上げてロッカーを叩く。それというのも、さっきの掃討作戦で数名のカップルを取り逃がしてしまう失態をしてしまったからであった。確かにほとんどのカップルはワタシが制圧したし、出入り口も階段も部隊で閉鎖していたのだが、奥の部屋に従業員用の秘密エレベーターがあった事までは見抜けなかったのだ。それによって、数名の違法カップルがまんまと逃げおおせたという訳である。
「あんのリア充どもめ……。きっとこれからも毎日毎日、ヤりまくるに違いない……」
「おーこわ、それって嫉妬? 莉深(りみ)ちゃん❤」
ワタシの憤慨を聞いた親友の田淵紗優(たぶちさゆ)が、下着姿のままワタシの背へと絡みついてなだめすかそうとしてくる。
「そんなに羨ましいんなら、莉深(りみ)もさっさと彼氏作っちゃえばいいのに。政府の申請はいるけど、可愛らしい莉深(りみ)の容姿なら合法彼氏なんて簡単っしょ」
「現実はそうもいかないのよ。何故だかワタシはどうも運命というヤツに呪われているようでね。ワタシが好きになった男はみんな不幸に見舞われてしまうのよ。初恋の彼は交通事故で逝ってしまったし、その次の彼も医療事故で死んでしまった……」
「なるほどねぇ、それで今だに24歳処女なのか~」
「うっさいわね! 貞操を守っていると言いなさい! 貞操を!」
身内の不幸話にも全く遠慮せずに、ズケズケとものを言う紗優。普通なら一歩引いて触れないようにする話題だろうが、この能天気な分隊長の親友はそうではない。まぁ、このストレスの溜まる仕事では、そういう性格だからこそこちらが救われる面も大きいのだった。そもそも、死んだ元カレといっても、付き合い初めて数日も経たない内に死んでしまったので、まだほとんど相手の事は知らなかったりするのだが……。こう言っちゃ悪いが、紗優(さゆ)の言う通り、それほど傷を引きずっている訳では無いのである。それほど深い関係になる前に亡くなってしまったので、よくある不治の病の青春映画みたいな展開も無い。
「どうりであたしが紹介してあげようとしても避けられる訳だわ~。きっと、既に男子の間で噂話にでもなっているんでしょうね……」
「そっ、そんなぁ~……」
その事実を聞いて、落胆の声を上げてしまうワタシ。一方で、ワタシは半ば諦めの境地にもなっていた。ワタシが誰かを好きになってしまうと、必ずその人が不幸になってしまうのなら、もうワタシは恋なんてしない方がいいのかもしれない。きっと、こんな自分には一生、今の仕事をやっているのがお似合いなのだろう。
そうやって悲観に暮れている中でも、容赦なく次の仕事がワタシを駆り立てる。突如として室内にサイレンが鳴り響いたと思うと、局内放送で出動要請が発信された。
「出動求ム、出動求ム! 槍木(やりもく)町の廃ビル5Fにて、喘ぎ声が聞こえるとの通報アリ!」
「ハァーまたか、せっかく着替えて帰ろうとしてたのに……。やっぱクリスマス近いと増えてくるわね……」
紗優は呆れ顔で少子化推進局の隊服を着なおす。一方でワタシの腹には沸々と怒りがこみ上げてきていた。ワタシが真剣に悩んでいる時にも、リア充どもはいつだってヤりまくりなのである。しかもその大抵は、不純な動機で集った違法性交者ばかりだ。ホント、世の中とは不公平なものである。もうすぐ2069年になろうともいう年の瀬なのに、いつの時代も人間の色恋沙汰というやつは変わらないらしい。
「……どうせ人間なんて、年がら年中サカってんでしょうがっ……! 行くわよ、紗優……」
そうしてワタシは二丁拳銃を手に取ると、再び夜の街へと繰り出した。
少子化推進局本部へと戻り、女子更衣室へとたどり着いたワタシは苛立ちの声を上げてロッカーを叩く。それというのも、さっきの掃討作戦で数名のカップルを取り逃がしてしまう失態をしてしまったからであった。確かにほとんどのカップルはワタシが制圧したし、出入り口も階段も部隊で閉鎖していたのだが、奥の部屋に従業員用の秘密エレベーターがあった事までは見抜けなかったのだ。それによって、数名の違法カップルがまんまと逃げおおせたという訳である。
「あんのリア充どもめ……。きっとこれからも毎日毎日、ヤりまくるに違いない……」
「おーこわ、それって嫉妬? 莉深(りみ)ちゃん❤」
ワタシの憤慨を聞いた親友の田淵紗優(たぶちさゆ)が、下着姿のままワタシの背へと絡みついてなだめすかそうとしてくる。
「そんなに羨ましいんなら、莉深(りみ)もさっさと彼氏作っちゃえばいいのに。政府の申請はいるけど、可愛らしい莉深(りみ)の容姿なら合法彼氏なんて簡単っしょ」
「現実はそうもいかないのよ。何故だかワタシはどうも運命というヤツに呪われているようでね。ワタシが好きになった男はみんな不幸に見舞われてしまうのよ。初恋の彼は交通事故で逝ってしまったし、その次の彼も医療事故で死んでしまった……」
「なるほどねぇ、それで今だに24歳処女なのか~」
「うっさいわね! 貞操を守っていると言いなさい! 貞操を!」
身内の不幸話にも全く遠慮せずに、ズケズケとものを言う紗優。普通なら一歩引いて触れないようにする話題だろうが、この能天気な分隊長の親友はそうではない。まぁ、このストレスの溜まる仕事では、そういう性格だからこそこちらが救われる面も大きいのだった。そもそも、死んだ元カレといっても、付き合い初めて数日も経たない内に死んでしまったので、まだほとんど相手の事は知らなかったりするのだが……。こう言っちゃ悪いが、紗優(さゆ)の言う通り、それほど傷を引きずっている訳では無いのである。それほど深い関係になる前に亡くなってしまったので、よくある不治の病の青春映画みたいな展開も無い。
「どうりであたしが紹介してあげようとしても避けられる訳だわ~。きっと、既に男子の間で噂話にでもなっているんでしょうね……」
「そっ、そんなぁ~……」
その事実を聞いて、落胆の声を上げてしまうワタシ。一方で、ワタシは半ば諦めの境地にもなっていた。ワタシが誰かを好きになってしまうと、必ずその人が不幸になってしまうのなら、もうワタシは恋なんてしない方がいいのかもしれない。きっと、こんな自分には一生、今の仕事をやっているのがお似合いなのだろう。
そうやって悲観に暮れている中でも、容赦なく次の仕事がワタシを駆り立てる。突如として室内にサイレンが鳴り響いたと思うと、局内放送で出動要請が発信された。
「出動求ム、出動求ム! 槍木(やりもく)町の廃ビル5Fにて、喘ぎ声が聞こえるとの通報アリ!」
「ハァーまたか、せっかく着替えて帰ろうとしてたのに……。やっぱクリスマス近いと増えてくるわね……」
紗優は呆れ顔で少子化推進局の隊服を着なおす。一方でワタシの腹には沸々と怒りがこみ上げてきていた。ワタシが真剣に悩んでいる時にも、リア充どもはいつだってヤりまくりなのである。しかもその大抵は、不純な動機で集った違法性交者ばかりだ。ホント、世の中とは不公平なものである。もうすぐ2069年になろうともいう年の瀬なのに、いつの時代も人間の色恋沙汰というやつは変わらないらしい。
「……どうせ人間なんて、年がら年中サカってんでしょうがっ……! 行くわよ、紗優……」
そうしてワタシは二丁拳銃を手に取ると、再び夜の街へと繰り出した。
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