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違法性交者共め! リア充爆散しろ!
しおりを挟むワタシは通路の階段前から身をかがめて、吹き抜けの階下を見下ろす。その渋谷ホテルの巨大地下ホールでは、とあるパーティが意気揚々と楽しそうに開かれていた。
それはいわゆるお見合いパーティというヤツだった。それだけならまだいい。この時点ならまだ24歳独身女であるこの新妻莉深(にいづまりみ)も参加したいくらいだ。
だが、このパーティの違法性があるのはこの先だった。なんと、このパーティは実質、『婚活子作りパーティ』でもあったのだ。要は乱交パーティである。このパーティの参加者は渋谷ホテルの部屋が使い放題で、気に入った相手がマッチングしたら即ヤれるという代物だった。中には部屋まで待てずに、そこらでチュッチュをしておっぱじめている者もいる。それはまるで、繁殖期になったサケや鮎の大群が一所に遡上して来て発情している様を見ているようでもあった。実にうらやまけしからん。
「新妻隊長、こちらB班C班配置完了いたしました。いつでも突入出来ます!」
部下からの無線で、ワタシは沸き上がる嫉妬心からようやく我に返る。何よりワタシはこういういきずりの関係というか、一時の快楽に身を任せる陽キャ共が嫌いだ。やはり、こうした破廉恥な『不正』行為は常に正されなければならない。
「……わかった、いいでしょう。それでは突入開始!」
合図と同時に、パーティ会場の正面入り口が爆破され、B班C班が突入をする。同時にワタシ達、上階で待機していたA班も空中通路の手すりからロープをかけて降下し、参加者どもの制圧へとあたった。
「はーい残念でしたァ、リア充のみなさーん❤ 爆発のお時間でーす❤」
「がっ、ガサ入れだぁ! 『少子化推進局』の奴らだ! みんな逃げろぉっ!」
ワタシ達の部隊を見たパーティ参加者たちは慌てふためき、蜂の巣をつついたように逃げ惑う。それもその筈だった。ワタシ達、『少子化推進局』に逆らう事は社会的死を意味していたのだから。
「全員残らずしょっ引け! 違法性交者どもめ!」
ワタシはパーティ参加者どもに向かって次々と、両手に持った小型電磁銃の引き金を引く。脳天に銃弾が命中したパーティ参加者たちは、バタバタと折り重なるように倒れていった。
「安心しなさい。ただのパラライザー麻酔弾よ。だから、おとなしく全員――――――――『リア充爆散』しろ!!」
ワタシはその並外れた射撃能力と二丁拳銃で次々と、パーティ参加者たちを地へと伏せさせてゆく。そこには若干、自分の個人的感情も入っていない気がしないでも無かったが、これが少子化推進局隊長であるワタシの仕事なのだからしょうがない。
「たっ、隊長っ……!?」
「おーおー、今日もまた一段と荒れてるわねぇ。莉深(りみ)ちゃん……」
後ろの方で部下のドン引く声と、親友の分隊長の呆れ声が聞こえたような気がしたが、もうこうなってしまった自分は止まる事が出来ないのであった。
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