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第9話
訣別の時 24
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「殺せっ!! この男を優先して殺せっ!!」
メリナは怒りに任せて命令を下す。激情のあまり戦略が消し飛ぶほどの怒りだった。
その剣幕を見たヒューゴは「こりゃ、いかんっ!!」と慌てて後退する。
その姿を追いかけようとするメリナだったが、配下のエルフに引き留められて治癒を受ける。
両軍が大将が戦闘不能の状況になり、戦線に混乱が生じ始めていた。
その状況を危険視したのはフェリックスだった。
混乱状態では数の優位が生かせない。何のメリットもない消耗戦は無駄死にが出るだけで何の成果も得られないことを武人のフェリックスは経験で知っていた。
だから彼はここで大胆にも最も適切な決断を下す。
「双方、これ以上の戦闘は何の成果も生み出さずに多くの無駄死にを出すだけであることは火を見るよりも明らか。
無意味である。これまでといたすっ!!」
講和のシンボルである赤の布を巻いた剣の鞘を水平に高く掲げた姿勢でたった一言。その一言で戦場は静かになった。
フェリックスは人語で叫んだが、オークたちは自分たちの親方の声を聴き違えるはずもなくフェリックスの声を聞けば振り返る。そしてフェリックスの示したポーズからフェリックスが休戦を申し出たことを悟り、戦闘を止めた。
一瞬で戦場は静まり返ったのは光の勢力である討伐隊も彼の声を聞いたから。
そして、フェリックスが言わんとすることの意味を正しく理解した。
アルバートが戦闘不能となった今、討伐隊の責任者は社会地位的に考えて聖騎士レジーナだった。
彼女もフェリックスの休戦申し出を受け入れ、彼と同じく剣の鞘を水平に掲げて答える。
「休戦の申し出、もっともである。これより我らはこの場を離れるっ!!」
レジーナの申し出を受けたフェリックスは手旗信号でオークたちに後退するように命令する。彼らがフェリックスの命令に従って後退するのを確認したフェリックスはレジーナに返答する。
「我らもこの場を放棄し後退する!!
貴官らの勇敢さは我らの誇りである!! 再び相まみえる日まで健勝であれっ!!」
レジーナも短く「我らも全く持ってその通りである。健勝であれっ!!」と答えると討伐部隊に撤退の指示を出すのだった。
しかし、それを許さない者たちがいた。
メリナと意識を取り戻したアルバートだった。
「勝手な真似をするなっ!! あの男を殺せっ!! 殺せっ!!」
「ダメだっ!! 撤退は許さないっ! ローニャを取り戻すんだっ!!」
両者はフラつく体で徹底抗戦を命令する。
だが、メリナは配下のエルフたちに「おやめください。これ以上動けばお美しいお顔に傷が残ってしまいますっ!!」と彼女の体を気遣って引き留めた。
討伐部隊は、そもそもアルバートの意思に反する意見を出した。
「ローニャですって? 正気ですかアルバート様っ!!
彼女が闇の勢力に崇拝される姿と魔神シトリーを召喚する姿を貴方もご覧になったはずだっ!
あの女は闇の戦巫女だ。」
「そうだっ!! ローニャは救うどころか、いつか殺さなければならないっ!」
「あれは闇の勢力の人間だ。
不道徳の極み、あばずれローニャだっ!!」
討伐隊は口々にそう言って私を憎しみの目で睨みつけていた。
メリナは怒りに任せて命令を下す。激情のあまり戦略が消し飛ぶほどの怒りだった。
その剣幕を見たヒューゴは「こりゃ、いかんっ!!」と慌てて後退する。
その姿を追いかけようとするメリナだったが、配下のエルフに引き留められて治癒を受ける。
両軍が大将が戦闘不能の状況になり、戦線に混乱が生じ始めていた。
その状況を危険視したのはフェリックスだった。
混乱状態では数の優位が生かせない。何のメリットもない消耗戦は無駄死にが出るだけで何の成果も得られないことを武人のフェリックスは経験で知っていた。
だから彼はここで大胆にも最も適切な決断を下す。
「双方、これ以上の戦闘は何の成果も生み出さずに多くの無駄死にを出すだけであることは火を見るよりも明らか。
無意味である。これまでといたすっ!!」
講和のシンボルである赤の布を巻いた剣の鞘を水平に高く掲げた姿勢でたった一言。その一言で戦場は静かになった。
フェリックスは人語で叫んだが、オークたちは自分たちの親方の声を聴き違えるはずもなくフェリックスの声を聞けば振り返る。そしてフェリックスの示したポーズからフェリックスが休戦を申し出たことを悟り、戦闘を止めた。
一瞬で戦場は静まり返ったのは光の勢力である討伐隊も彼の声を聞いたから。
そして、フェリックスが言わんとすることの意味を正しく理解した。
アルバートが戦闘不能となった今、討伐隊の責任者は社会地位的に考えて聖騎士レジーナだった。
彼女もフェリックスの休戦申し出を受け入れ、彼と同じく剣の鞘を水平に掲げて答える。
「休戦の申し出、もっともである。これより我らはこの場を離れるっ!!」
レジーナの申し出を受けたフェリックスは手旗信号でオークたちに後退するように命令する。彼らがフェリックスの命令に従って後退するのを確認したフェリックスはレジーナに返答する。
「我らもこの場を放棄し後退する!!
貴官らの勇敢さは我らの誇りである!! 再び相まみえる日まで健勝であれっ!!」
レジーナも短く「我らも全く持ってその通りである。健勝であれっ!!」と答えると討伐部隊に撤退の指示を出すのだった。
しかし、それを許さない者たちがいた。
メリナと意識を取り戻したアルバートだった。
「勝手な真似をするなっ!! あの男を殺せっ!! 殺せっ!!」
「ダメだっ!! 撤退は許さないっ! ローニャを取り戻すんだっ!!」
両者はフラつく体で徹底抗戦を命令する。
だが、メリナは配下のエルフたちに「おやめください。これ以上動けばお美しいお顔に傷が残ってしまいますっ!!」と彼女の体を気遣って引き留めた。
討伐部隊は、そもそもアルバートの意思に反する意見を出した。
「ローニャですって? 正気ですかアルバート様っ!!
彼女が闇の勢力に崇拝される姿と魔神シトリーを召喚する姿を貴方もご覧になったはずだっ!
あの女は闇の戦巫女だ。」
「そうだっ!! ローニャは救うどころか、いつか殺さなければならないっ!」
「あれは闇の勢力の人間だ。
不道徳の極み、あばずれローニャだっ!!」
討伐隊は口々にそう言って私を憎しみの目で睨みつけていた。
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