あばずれローニャ

黒神譚

文字の大きさ
上 下
134 / 150
第9話

訣別の時 18

しおりを挟む
「いけませんっ! メリナ殿。戦いの流れが変わりました。
 これ以上、この場にとどまるのは危険ですっ!! 
 ここは我らが命に代えても足止めいたします。どうかローニャ様と共にお逃げ下さい。」

5人の天使の姿を見たフェリックスは極めて冷静で的確な決断をしてメリナに撤退を進言する。
だが、強敵を前に興奮するメリナはそれを拒否した。

「黙れっ!! あの奇跡を見よっ!!
 あの力の前に貴様たちオークが何の役に立つというのかっ!?」

メリナの一喝にフェリックスは言葉を失った。それは、図星だったからだ。
フェリックスもアルバートが強敵であることは察していた。そのための対策として完璧な撤退作戦も用意していた。
しかし、アルバートの起こした奇跡の前には、その作戦さへ無意味であると自覚せざるを得なかった。

一族の命を捨てての撤退戦さえ無意味だと認めるのはとても辛い事だった。フェリックスの無念さを私は彼の背中を見て感じていた。

だが、メリナはそうではなかった。彼女には彼女の秘策がまだ用意されていたのだった。

「戦いの流れが変わっただと? それはこちらのセリフだっ!!
 やつは切り札ラストリゾートを切ったのだ。
 5人の天使を召喚するほどの奇跡をおこなった奴が戦闘続行できなくなるのは時間の問題だ。
 
 あの天使とて、いつまでも召喚し続けてはおられまいっ!!
 だが、私にはまだ切っていない札があるっ!!
 
 あの男が光の勢力の天使を用意するならば、こちらはっ・・・・・・!!」

そう言うとメリナは私の元まで駆け寄ると私を肩に担ぎ上げて台座に運ぶ。
そうして私を台座に投げ捨てると、僅かに残った下着すら剥ぎ取り始めたのだ。

「きゃああっ!! な、なにをするのっ!!
 やめてっ! やめて、メリナっ!!
 ・・・・・・いやああああ~~~~っ!!」

メリナの腕力はまるで男性のようでか弱い少女の私に抗えるはずもない。
・・・・・いいえ。決してそれだけではなかった。私はもっと早くに気が付くべきだった。
私は彼女を望んでいる。彼女の責め苦を望んでいた。
私の魂は自分では気が付かないうちにそのように作り変えられ続けていた。
それは決して魔神シトリーが私を苦しめる為だけのために行っていた事ではないことに私はもっと早くに気が付くべきだった。

どうして私が女にされたのか。
どうしてチャームが生まれたのか。

それは全てこのため・・・・だった・・・・・・

胸を隠していたブラガ剥ぎ取られた恥辱の極みのようなその瞬間に私の心に湧き上がった「怒り」、「恥」、「恐怖」。そして「歓び」の感情。
それがチャームの中に流れ込み、私の感情を糧にして色欲の呪いの象徴であるチャームの魔力が爆発的に増幅する。
その魔力は闇の勢力の神殿という穢れた空間と影響しあい、相乗効果を得て、とある奇跡を起こす。

その奇跡とは次元を超える経路ルートを作り出すこと。

私がそのことをチャームの体を通じて感じた時、チャームの体の内部から現実世界を切り裂く異世界のエネルギーがあふれ出し、そこから異界の者が姿を現すのだった。

圧倒的な邪悪な魔力に巨大な肉体。そしてこの世の全ての者を凌駕する神鳴る存在。
魔神シトリーがこの世界に現界したのだった・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

処理中です...