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第8話
闇の戦巫女 14
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挨拶が済んだので私はメリナとフェリックスに立つように手で合図すると、二人はそれに従って速やかに立ち上がった。
「それで? メリナ。
このあと、私はどうすればいいのかしら?」
メリナは私の問いかけに
「今後、光の勢力がここを攻めてくる可能性が高うございます。
それ故、ローニャ様とチャーム様には闇の勢力がもっと深く支配する地に移動していただきます。
ですが・・・まずはお食事を・・・。」
と、説明してくれた後に両手を叩いてオークたちに用意させた食事を運ばせる。
用意された食事は、人間が作ったものと見分けがつかないほど手の込んだものだった。
とても下品なオークが用意した物とは思えない。
私は不思議に思い「ここにはオーク以外の種族もいるのですか?」とメリナに問いかけると、どうやらメリナの配下として数名のエルフがつき従っているのだという。それは誘拐された奴隷などではなく、闇の勢力に与した者共と言う事だった。
「私と種族的に近いエルフがいるのならば、私の護衛はエルフに任せたいのですが?」
「ローニャ様。お気持ちはわかりますが、先ほども申した通り、フェリックスは武に優れた戦士。
護衛にはこの者を置いて信頼できるものはおりませぬ。特にあの神官騎士がいる以上、フェリックス以外はあり得ません。」
私の頼みは有無を言わせぬメリナの一言で却下された。どうやら軍事的なことに私は口を挟む権利がない。お飾りの王妃として扱うつもりらしい。
こちらとしては、フェリックスよりもエルフの方がイザという時に倒しやすいと思っていたのだけれども、どうやらそんなに甘くないようだ。
諦めた私は、大人しく食事を取ることにした。
しかし、それは私の想像を超える品だった。
上等の食前酒に手の込んだ肉料理。それはチャームが指定した通り蜂蜜で煮込まれた甘い肉だった。
「いや~んっ!! なにこれ、おいしいっ!!」
口に含んだ瞬間、思わず身をよじらせて感激の声を上げる私に、メリナは呆れたように「どうぞ、ご自身の御立場にあったおふるまいを・・・」と苦言を呈した。
逆にオークたちは食事に感動する私の姿を見て安堵したかのようにホッとした表情を見せた。
そんなオークの姿に私は再び違和感を覚えて彼らを見つめていると、メリナは手を叩いてオークたちを神殿から追い払う。
「さぁ、お前達。いつまでこの場にいる?
忘れるなっ!! 光の勢力がローニャ様を狙っておられるのだ。警備に戻れっ!!」
メリナに厳しい口調で言われたオークたちは怯えた表情を見せて慌てて神殿から出て行く。
その様子を見て私は、オークたちがメリナの権力に怯えているのではなく、その実力を恐れているのだと悟る。
それはそうだろう。相手はハイエルフ。魔法に長け、長寿からくる様々な知識と経験をもつ高位の存在なのだ。私も初めて彼女と敵対した時、その実力を恐れたもの。ディエゴだった時の私ならともかく、今の私では勝ち目はない。
(メリナ。見事にオーク族を恐怖で従えているわね。
それもお父様の恩恵を受けて強化された魔力あっての事。
よくよく私達にお仕えなさい。)
チャームはそう言ってメリナを褒めるようにして、私が気が付かない情報を与えてくれるのだった。
「それで? メリナ。
このあと、私はどうすればいいのかしら?」
メリナは私の問いかけに
「今後、光の勢力がここを攻めてくる可能性が高うございます。
それ故、ローニャ様とチャーム様には闇の勢力がもっと深く支配する地に移動していただきます。
ですが・・・まずはお食事を・・・。」
と、説明してくれた後に両手を叩いてオークたちに用意させた食事を運ばせる。
用意された食事は、人間が作ったものと見分けがつかないほど手の込んだものだった。
とても下品なオークが用意した物とは思えない。
私は不思議に思い「ここにはオーク以外の種族もいるのですか?」とメリナに問いかけると、どうやらメリナの配下として数名のエルフがつき従っているのだという。それは誘拐された奴隷などではなく、闇の勢力に与した者共と言う事だった。
「私と種族的に近いエルフがいるのならば、私の護衛はエルフに任せたいのですが?」
「ローニャ様。お気持ちはわかりますが、先ほども申した通り、フェリックスは武に優れた戦士。
護衛にはこの者を置いて信頼できるものはおりませぬ。特にあの神官騎士がいる以上、フェリックス以外はあり得ません。」
私の頼みは有無を言わせぬメリナの一言で却下された。どうやら軍事的なことに私は口を挟む権利がない。お飾りの王妃として扱うつもりらしい。
こちらとしては、フェリックスよりもエルフの方がイザという時に倒しやすいと思っていたのだけれども、どうやらそんなに甘くないようだ。
諦めた私は、大人しく食事を取ることにした。
しかし、それは私の想像を超える品だった。
上等の食前酒に手の込んだ肉料理。それはチャームが指定した通り蜂蜜で煮込まれた甘い肉だった。
「いや~んっ!! なにこれ、おいしいっ!!」
口に含んだ瞬間、思わず身をよじらせて感激の声を上げる私に、メリナは呆れたように「どうぞ、ご自身の御立場にあったおふるまいを・・・」と苦言を呈した。
逆にオークたちは食事に感動する私の姿を見て安堵したかのようにホッとした表情を見せた。
そんなオークの姿に私は再び違和感を覚えて彼らを見つめていると、メリナは手を叩いてオークたちを神殿から追い払う。
「さぁ、お前達。いつまでこの場にいる?
忘れるなっ!! 光の勢力がローニャ様を狙っておられるのだ。警備に戻れっ!!」
メリナに厳しい口調で言われたオークたちは怯えた表情を見せて慌てて神殿から出て行く。
その様子を見て私は、オークたちがメリナの権力に怯えているのではなく、その実力を恐れているのだと悟る。
それはそうだろう。相手はハイエルフ。魔法に長け、長寿からくる様々な知識と経験をもつ高位の存在なのだ。私も初めて彼女と敵対した時、その実力を恐れたもの。ディエゴだった時の私ならともかく、今の私では勝ち目はない。
(メリナ。見事にオーク族を恐怖で従えているわね。
それもお父様の恩恵を受けて強化された魔力あっての事。
よくよく私達にお仕えなさい。)
チャームはそう言ってメリナを褒めるようにして、私が気が付かない情報を与えてくれるのだった。
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