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第6話
ヒロイン揃い踏み 8
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冒険者ギルドのややこしいやり取りは男の人に任せて武器屋を訪れた俺とナタリアは長剣を選んでいた。
店の店主は最初、高価な剣を欲しがる俺達を訝しんでいたが、予算を見せると途端に上機嫌になって親切な態度で高価な剣を見せてくれた。
「お嬢さん。あんたは女の子の割に背が高くて腕力もありそうだ。
この剣はどうかね?
長くて幅広。それでいて大きな樋が入っているから見た目とは裏腹に軽い。」
(※樋とは剣の軽量化のために刀身の中心が削ってあること。鉄の特性で刀身の肉が削られても強度は落ちない。世界中の剣で見られる技法。)
店主が見せた剣は名剣だった。その刀身の美しさに手にしたナタリアは思わずうっとりとした顔で見ていた。なかなか良い剣だ。
俺はその剣とさらに追い金して組み立て式ショートボウを購入するように勧めた。
「ええっ!? 弓なんかアタイに使えるかな?」
前衛ばかりやっていたナタリアは困惑したが、俺は譲らなかった。
「ダメ。前衛は男の人の仕事。女の子は援護が使命なの。」
「ええ~~っ!?」
ナタリアは困惑していたが、これが自然なのだ。
そもそも女の子が前衛とか言うのが破綻している。男女には絶対に越えられない生物学的限界がある。
ナタリアは女性の限界突破しているような体力を持っているけど、それでも鍛え上げた男の敵ではない。無理を通そうとしても過酷な俺たちの旅にはついていけなくなる。
そして女の子を前衛から下げる自然な流れと同じようにもう一つの提案をする。
「ねぇ、ナタリア。貴女、精霊魔法を覚える気はない?
女の子は全員、生まれ持った霊媒体質だから男よりも強い精霊魔法使いになれるわよ。」
「・・・男よりも・・・強い?」
その言葉にナタリアは食いついてきた。重戦士を多く輩出するモトリル出身のナタリアにとって、これほど魅力的な言葉はない。
ただ、自分の魔力が低い事を気にしているようだった。
「ア、アタイも考えたことがないわけじゃないけど・・・。
でもアタイ。魔力少ないから戦士しか選べなかったんだ。」
「大丈夫だよ! 俺が教えてあげる!
一日の魔法上限回数は増やせないかもしれないけれど、魔力効率を上げれば少ない魔力で強い魔法を覚えられるわ。」
「ほ、本当かい?」
ナタリアはやる気になってくれたようで、これから旅の中で俺から魔法を教わることになった。
ナタリアはお礼に何かしたいと言ってくれたので、俺はしばらく考えてからナタリアの髪を指差して言った。
「可愛い髪の結い方を教えて?」
そう。俺は男として生まれ育っていたから髪の結い方を知らない。それ故にあまり髪型にバリエーションが無かった。正直、ずっとナタリア一党の女の子の髪形が羨ましかったのだ。
「お安い御用よ! もっともっと可愛くしてあげるわっ!」
ナタリアは嬉しそうに俺の肩を掴んで微笑んだ。
・・・でも俺、これ以上可愛くなったらどうしよう?
店の店主は最初、高価な剣を欲しがる俺達を訝しんでいたが、予算を見せると途端に上機嫌になって親切な態度で高価な剣を見せてくれた。
「お嬢さん。あんたは女の子の割に背が高くて腕力もありそうだ。
この剣はどうかね?
長くて幅広。それでいて大きな樋が入っているから見た目とは裏腹に軽い。」
(※樋とは剣の軽量化のために刀身の中心が削ってあること。鉄の特性で刀身の肉が削られても強度は落ちない。世界中の剣で見られる技法。)
店主が見せた剣は名剣だった。その刀身の美しさに手にしたナタリアは思わずうっとりとした顔で見ていた。なかなか良い剣だ。
俺はその剣とさらに追い金して組み立て式ショートボウを購入するように勧めた。
「ええっ!? 弓なんかアタイに使えるかな?」
前衛ばかりやっていたナタリアは困惑したが、俺は譲らなかった。
「ダメ。前衛は男の人の仕事。女の子は援護が使命なの。」
「ええ~~っ!?」
ナタリアは困惑していたが、これが自然なのだ。
そもそも女の子が前衛とか言うのが破綻している。男女には絶対に越えられない生物学的限界がある。
ナタリアは女性の限界突破しているような体力を持っているけど、それでも鍛え上げた男の敵ではない。無理を通そうとしても過酷な俺たちの旅にはついていけなくなる。
そして女の子を前衛から下げる自然な流れと同じようにもう一つの提案をする。
「ねぇ、ナタリア。貴女、精霊魔法を覚える気はない?
女の子は全員、生まれ持った霊媒体質だから男よりも強い精霊魔法使いになれるわよ。」
「・・・男よりも・・・強い?」
その言葉にナタリアは食いついてきた。重戦士を多く輩出するモトリル出身のナタリアにとって、これほど魅力的な言葉はない。
ただ、自分の魔力が低い事を気にしているようだった。
「ア、アタイも考えたことがないわけじゃないけど・・・。
でもアタイ。魔力少ないから戦士しか選べなかったんだ。」
「大丈夫だよ! 俺が教えてあげる!
一日の魔法上限回数は増やせないかもしれないけれど、魔力効率を上げれば少ない魔力で強い魔法を覚えられるわ。」
「ほ、本当かい?」
ナタリアはやる気になってくれたようで、これから旅の中で俺から魔法を教わることになった。
ナタリアはお礼に何かしたいと言ってくれたので、俺はしばらく考えてからナタリアの髪を指差して言った。
「可愛い髪の結い方を教えて?」
そう。俺は男として生まれ育っていたから髪の結い方を知らない。それ故にあまり髪型にバリエーションが無かった。正直、ずっとナタリア一党の女の子の髪形が羨ましかったのだ。
「お安い御用よ! もっともっと可愛くしてあげるわっ!」
ナタリアは嬉しそうに俺の肩を掴んで微笑んだ。
・・・でも俺、これ以上可愛くなったらどうしよう?
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