82 / 150
第6話
ヒロイン揃い踏み 8
しおりを挟む
冒険者ギルドのややこしいやり取りは男の人に任せて武器屋を訪れた俺とナタリアは長剣を選んでいた。
店の店主は最初、高価な剣を欲しがる俺達を訝しんでいたが、予算を見せると途端に上機嫌になって親切な態度で高価な剣を見せてくれた。
「お嬢さん。あんたは女の子の割に背が高くて腕力もありそうだ。
この剣はどうかね?
長くて幅広。それでいて大きな樋が入っているから見た目とは裏腹に軽い。」
(※樋とは剣の軽量化のために刀身の中心が削ってあること。鉄の特性で刀身の肉が削られても強度は落ちない。世界中の剣で見られる技法。)
店主が見せた剣は名剣だった。その刀身の美しさに手にしたナタリアは思わずうっとりとした顔で見ていた。なかなか良い剣だ。
俺はその剣とさらに追い金して組み立て式ショートボウを購入するように勧めた。
「ええっ!? 弓なんかアタイに使えるかな?」
前衛ばかりやっていたナタリアは困惑したが、俺は譲らなかった。
「ダメ。前衛は男の人の仕事。女の子は援護が使命なの。」
「ええ~~っ!?」
ナタリアは困惑していたが、これが自然なのだ。
そもそも女の子が前衛とか言うのが破綻している。男女には絶対に越えられない生物学的限界がある。
ナタリアは女性の限界突破しているような体力を持っているけど、それでも鍛え上げた男の敵ではない。無理を通そうとしても過酷な俺たちの旅にはついていけなくなる。
そして女の子を前衛から下げる自然な流れと同じようにもう一つの提案をする。
「ねぇ、ナタリア。貴女、精霊魔法を覚える気はない?
女の子は全員、生まれ持った霊媒体質だから男よりも強い精霊魔法使いになれるわよ。」
「・・・男よりも・・・強い?」
その言葉にナタリアは食いついてきた。重戦士を多く輩出するモトリル出身のナタリアにとって、これほど魅力的な言葉はない。
ただ、自分の魔力が低い事を気にしているようだった。
「ア、アタイも考えたことがないわけじゃないけど・・・。
でもアタイ。魔力少ないから戦士しか選べなかったんだ。」
「大丈夫だよ! 俺が教えてあげる!
一日の魔法上限回数は増やせないかもしれないけれど、魔力効率を上げれば少ない魔力で強い魔法を覚えられるわ。」
「ほ、本当かい?」
ナタリアはやる気になってくれたようで、これから旅の中で俺から魔法を教わることになった。
ナタリアはお礼に何かしたいと言ってくれたので、俺はしばらく考えてからナタリアの髪を指差して言った。
「可愛い髪の結い方を教えて?」
そう。俺は男として生まれ育っていたから髪の結い方を知らない。それ故にあまり髪型にバリエーションが無かった。正直、ずっとナタリア一党の女の子の髪形が羨ましかったのだ。
「お安い御用よ! もっともっと可愛くしてあげるわっ!」
ナタリアは嬉しそうに俺の肩を掴んで微笑んだ。
・・・でも俺、これ以上可愛くなったらどうしよう?
店の店主は最初、高価な剣を欲しがる俺達を訝しんでいたが、予算を見せると途端に上機嫌になって親切な態度で高価な剣を見せてくれた。
「お嬢さん。あんたは女の子の割に背が高くて腕力もありそうだ。
この剣はどうかね?
長くて幅広。それでいて大きな樋が入っているから見た目とは裏腹に軽い。」
(※樋とは剣の軽量化のために刀身の中心が削ってあること。鉄の特性で刀身の肉が削られても強度は落ちない。世界中の剣で見られる技法。)
店主が見せた剣は名剣だった。その刀身の美しさに手にしたナタリアは思わずうっとりとした顔で見ていた。なかなか良い剣だ。
俺はその剣とさらに追い金して組み立て式ショートボウを購入するように勧めた。
「ええっ!? 弓なんかアタイに使えるかな?」
前衛ばかりやっていたナタリアは困惑したが、俺は譲らなかった。
「ダメ。前衛は男の人の仕事。女の子は援護が使命なの。」
「ええ~~っ!?」
ナタリアは困惑していたが、これが自然なのだ。
そもそも女の子が前衛とか言うのが破綻している。男女には絶対に越えられない生物学的限界がある。
ナタリアは女性の限界突破しているような体力を持っているけど、それでも鍛え上げた男の敵ではない。無理を通そうとしても過酷な俺たちの旅にはついていけなくなる。
そして女の子を前衛から下げる自然な流れと同じようにもう一つの提案をする。
「ねぇ、ナタリア。貴女、精霊魔法を覚える気はない?
女の子は全員、生まれ持った霊媒体質だから男よりも強い精霊魔法使いになれるわよ。」
「・・・男よりも・・・強い?」
その言葉にナタリアは食いついてきた。重戦士を多く輩出するモトリル出身のナタリアにとって、これほど魅力的な言葉はない。
ただ、自分の魔力が低い事を気にしているようだった。
「ア、アタイも考えたことがないわけじゃないけど・・・。
でもアタイ。魔力少ないから戦士しか選べなかったんだ。」
「大丈夫だよ! 俺が教えてあげる!
一日の魔法上限回数は増やせないかもしれないけれど、魔力効率を上げれば少ない魔力で強い魔法を覚えられるわ。」
「ほ、本当かい?」
ナタリアはやる気になってくれたようで、これから旅の中で俺から魔法を教わることになった。
ナタリアはお礼に何かしたいと言ってくれたので、俺はしばらく考えてからナタリアの髪を指差して言った。
「可愛い髪の結い方を教えて?」
そう。俺は男として生まれ育っていたから髪の結い方を知らない。それ故にあまり髪型にバリエーションが無かった。正直、ずっとナタリア一党の女の子の髪形が羨ましかったのだ。
「お安い御用よ! もっともっと可愛くしてあげるわっ!」
ナタリアは嬉しそうに俺の肩を掴んで微笑んだ。
・・・でも俺、これ以上可愛くなったらどうしよう?
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる