あばずれローニャ

黒神譚

文字の大きさ
上 下
73 / 150
第5話

目覚めちゃったら責任取ってよ!! 12

しおりを挟む
アルバートの魅力にチャームさえもやられてしまった事実を知り、俺がいつまでも不安がっているとナタリアが部屋のドアをノックした。

「ローニャ? いつまで荷下ろししているつもりなのさ?
 早く大衆浴場に行かないとアルバート様が先についちゃうわよ。」

「わわっ!! ご、ごめんなさいっ!!
 すぐ行きますっ!」

俺はナタリアを待たせてはいけないと焦り、それでも可愛い服と下着を選ばないといけない過酷な試練に立ち向かわなければいけなかった。

(うう~ん。あまりナタリアを待たせてはいけないし・・・。
 そういえば前回ナタリアと出会った時もアルバートを待たせてしまったなぁ。
 あの時は確か白のレース生地のブラと胸元の開いた黒のワンピースだったっけ・・・)

(だったら、今度は同じ服は除外して別のイメージで攻めてみたらいいんじゃないの?)

(うん、そうだね。ありがとう、チャーム!!)

アルバートへの恋心を自覚したチャームは非常に協力的だったので俺はアッサリ服を選ぶことができた。
(絶対に可愛いからっ!!)という後押しに女子は弱い。というか、その一言を待っていた。
俺はお気に入りのコーディネートであるボウタイ付きの白のブラウスの上に青のビスチェ。ピンクの花柄があしらっているフレアスカートを選択する。

(うう・・・折りシワが入っちゃってるよぉ・・・。気に入っていたのに~~)

冒険者の宿命に涙しながらマントを羽織りって帯剣すると、ナタリアが待つ廊下へ出る。
廊下の外には待たされた苛立ちで険しい顔になったナタリアが立っていた・・・が、

「きゃあっ! やっぱりローニャ、可愛いい~~~っ!!」

俺を見るなり機嫌が一変して、歓喜に満ちた声で俺に抱き着いてきた。

「わわっ!! ちょ、ちょっとナタリア~~っ」

「いや~ん! 可愛い、可愛いっ!!
 もう、今すぐ食べちゃいたいくらいだよ~~っ!!」

ナタリアは俺の抗議の声など気にも留めずに猫かわいがりで俺の頭をナデナデしたり、頬にキスしてきたりした。

「や、やめてよぉ~~っ! ほら、急がないとアルバート様が待ってるぞっ!!」 

女同士とはいえ体格差があるナタリアと俺ではいかんともしがたい腕力差があり、俺はナタリアを振りほどくことができない。仕方なくアルバートの名を上げてナタリアを正気に戻し、大衆浴場に向かった。

俺達が大衆浴場の建物の前までついた時にはすでにアルバートが到着していた。

「ご、ごめんなさいっ!! 待たせちゃった?」

「かまわないさ。女の子の支度が遅くなるのは承知の上さ。
 それよりも二人とも可愛い服だね。よく似合っているよ。」

二人とも・・・? その言葉にちょっとイラっと来たけれど、改めて見るとナタリアも随分と可愛らしい清楚なイメージのいでたちだった。

「あら、アルバート様。女は常に1着、2着の勝負服を用意しているものですよ。」

ナタリアは随分、ご満悦の表情で自分の奥深さを演出してきた。
その余裕さから俺はナタリアが想像以上に強敵な恋のライバルになる予感を覚えるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...