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第1話
イケメン以外に用はない・11
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戦いに必要なスタミナは二つある。
一つは筋力や肺活量といったような肉体的なスタミナ。
もう一つは精神力のスタミナ。
この二つはともに影響しあう歯車のようなものでどちらかが低下すれば、それに比例して両方のスタミナが低下してしまう。
戦いに於いて平常心を保つことの大切さが問われるのは、これが理由。
そして、経験豊富なオーガはその事を熟知していた。
ひ弱な女の力で剣を振るってもオーガにダメージは負わせられない。反対に彼らの攻撃を受け止めただけで私はダメージを受けてしまう。
今、襲い掛かって来るオーガの剣をどうにかやり過ごせるのは、チャームの防衛の加護と魔神シトリーを打ち取ったこの名剣あってのこと。
並の剣ならすでに叩きおられているし、私は先の戦いのように一撃受け止めただけで吹き飛ばされていた。
つまり、私は防戦一方ということ。
反撃の手段のない防衛は一方的に体力も精神力も疲弊する。特に精神力のダメージが大きい。
私の肌は見る見るうちに紅潮して汗ばんでいく。
その様子はオーガやゴブリンを喜ばせた。
「はははっ!! いい香りだっ!!
女が放つ恐怖の汗の香りは最高だっ!!」
「お前の白い肌。悩ましい肉付きは男を狂わせるっ!!
お前はただでは殺さん。
手足を破壊し、逃げられぬようにして死ぬまで俺達の子供を産み続ける道具にしてくれるっ!!」
乙女に向かってとんでもないことを言い出した。
私は全身総毛立つ思いがしたけれど、私の魅力の前にオーガの目的が変わりだしたのは良い事。
彼らは私を決して殺さない。私を自分の女にしたいから。
敵をひきつけることが目的の私にとってそれはある意味、狙い通りだった。
私は彼らの心のゆるみを利用することにした。
体にかけていたマントを脱ぎ捨てると私の体をさらに見えやすいようにした。
思わずオーガが「おおっ・・・」と、ため息を漏らす。
「バカな子達。私はイケメンしか相手にしないわ。」
私がそう挑発するとオーガは更にいきり立って私を殺さず捕まえようと躍起になったので攻撃のプレッシャーが先ほどまでとは全く違って軽くなった。
だから私は、彼ら相手でも呪文を詠唱できる。
「おお、闇を照らす光の使者。我が友ウィル・オ・ウィスプよ。
黄泉への灯火を一灯、我に与えたまえ。
悪しきものどもをくらまし、我が姿をお隠し下さい。」
私の呪文詠唱を聞いたオーガたちは慌てて攻撃を強めたり、激しくつかみかかろうとしたが、チャームの加速の加護を受けたおかげで私はどうにかギリギリのところで彼らの攻撃をかわすことができた。
「しまったっ!!」
私の呪文詠唱が完了した時、色欲に囚われた愚かさに気づきオーガたちは悔やんだ。
私の美貌にうつつを抜かし、できるだけ傷をつけずに自分のものにしたいと願ったばかりに彼らは私の呪文詠唱を許してしまったのだ。彼らが本気なら私は殺されていた可能性さえあったのに。
「ライトニングっ!!」
辺り一面を眩い閃光が包み込んだ。
一つは筋力や肺活量といったような肉体的なスタミナ。
もう一つは精神力のスタミナ。
この二つはともに影響しあう歯車のようなものでどちらかが低下すれば、それに比例して両方のスタミナが低下してしまう。
戦いに於いて平常心を保つことの大切さが問われるのは、これが理由。
そして、経験豊富なオーガはその事を熟知していた。
ひ弱な女の力で剣を振るってもオーガにダメージは負わせられない。反対に彼らの攻撃を受け止めただけで私はダメージを受けてしまう。
今、襲い掛かって来るオーガの剣をどうにかやり過ごせるのは、チャームの防衛の加護と魔神シトリーを打ち取ったこの名剣あってのこと。
並の剣ならすでに叩きおられているし、私は先の戦いのように一撃受け止めただけで吹き飛ばされていた。
つまり、私は防戦一方ということ。
反撃の手段のない防衛は一方的に体力も精神力も疲弊する。特に精神力のダメージが大きい。
私の肌は見る見るうちに紅潮して汗ばんでいく。
その様子はオーガやゴブリンを喜ばせた。
「はははっ!! いい香りだっ!!
女が放つ恐怖の汗の香りは最高だっ!!」
「お前の白い肌。悩ましい肉付きは男を狂わせるっ!!
お前はただでは殺さん。
手足を破壊し、逃げられぬようにして死ぬまで俺達の子供を産み続ける道具にしてくれるっ!!」
乙女に向かってとんでもないことを言い出した。
私は全身総毛立つ思いがしたけれど、私の魅力の前にオーガの目的が変わりだしたのは良い事。
彼らは私を決して殺さない。私を自分の女にしたいから。
敵をひきつけることが目的の私にとってそれはある意味、狙い通りだった。
私は彼らの心のゆるみを利用することにした。
体にかけていたマントを脱ぎ捨てると私の体をさらに見えやすいようにした。
思わずオーガが「おおっ・・・」と、ため息を漏らす。
「バカな子達。私はイケメンしか相手にしないわ。」
私がそう挑発するとオーガは更にいきり立って私を殺さず捕まえようと躍起になったので攻撃のプレッシャーが先ほどまでとは全く違って軽くなった。
だから私は、彼ら相手でも呪文を詠唱できる。
「おお、闇を照らす光の使者。我が友ウィル・オ・ウィスプよ。
黄泉への灯火を一灯、我に与えたまえ。
悪しきものどもをくらまし、我が姿をお隠し下さい。」
私の呪文詠唱を聞いたオーガたちは慌てて攻撃を強めたり、激しくつかみかかろうとしたが、チャームの加速の加護を受けたおかげで私はどうにかギリギリのところで彼らの攻撃をかわすことができた。
「しまったっ!!」
私の呪文詠唱が完了した時、色欲に囚われた愚かさに気づきオーガたちは悔やんだ。
私の美貌にうつつを抜かし、できるだけ傷をつけずに自分のものにしたいと願ったばかりに彼らは私の呪文詠唱を許してしまったのだ。彼らが本気なら私は殺されていた可能性さえあったのに。
「ライトニングっ!!」
辺り一面を眩い閃光が包み込んだ。
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