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第1話
イケメン以外に用はない・9
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遺跡の目の前まで来るとハンスは手信号で部下に合図を送り、部隊を3つに分ける。
一つは、敵を誘い出す為の陽動部隊。
一つは、それに釣られて遺跡から出てきた化物の手薄な方向から人知れず内部に突入するハンスの部隊。
最後にオーガを引き付ける俺の部隊。
フト、脇を見ると実戦経験の少ない美少年・メイソンが震えて歯をカチカチと噛み鳴らしていた。
(男の時だったら、「しっかりしろ! 男だろ?」と、発破をかけるときだが、今は女の俺にそれを言われたら少年の立つ瀬がない。ここは一つ、男を立ててやろう。)
と、思い立ち。俺は震える素振りを見せながら彼の腕に抱きつき、怯えた様子の声で
「・・・大丈夫かな?
ねぇ。ちゃんと、私の事を守ってくれるよね?」と、頼んだ。
俺のような美少女に頼まれては奮い立たぬわけにはいかないとばかりに、メイソンは目をキリッと引き締めて
「僕に任せておけ!
命に替えても君を守る!」と、言ってくれた。
・・・っ!! かっ、カッコいい!!
・・・じゃなかった。何その気になってんだ俺は。しっかりしろ。
戻ってこれなくなるぞ。
(そうそう。24歳にもなって、こんなうら若い子をかどわかすなんて、ママって悪い女ね。)
(年齢の話はやめろっ!!)
面白がってイジってくるチャームに文句を言いながら、若干、傷つく俺だった。見た目に反して微妙なお年頃なんだよっ!!
なんて馬鹿げたことをやっているうちに陽動部隊が気勢を上げながら遺跡に突撃していく。
化物達も町への奇襲が失敗したこともあって警戒はしていたようだが、所詮、少数の見張り役のゴブリン達では相手にならない。奴らの武器はその数にある。
ギャーギャーと大きな悲鳴をゴブリン達が上げると、遺跡の奥から大きな足音を立ててオーガ2体とゴブリンの群がやってきた。
この声が合図の笛だ。人質救出部隊が物陰から遺跡に侵入。後続部隊も馬に乗って援護に来る。
そして、いよいよ俺の出番である。
迫りくるオーガ2体の前に躍り出ると、腰にさしたナイフを抜き取り、オーガに向けて投げ放つ。
オーガの目を狙って投げ放たれたナイフは女の力によるものとはいえ無視できるものでは無い。前にいたオーガはとっさに手で受け止めてしまい右手を負傷した。
「ぎゃあああっ!!」
途端にオーガは悲鳴を上げる。ナイフには聖油がタップリ入った油が染み込ませてあり、傷口が焼けるように痛んだのだ。
奴の悲鳴を勝鬨代わりに俺は2体のオーガを指さして吠えた。
「さぁっ!! おいでっ!!
イケメン以外に用はないけど、特別に遊んであげるわっ!!」
そんな俺の姿に驚いたのはオーガだけではない。ゴブリン達は俺を指さしてしきりにオーガに何かを告げている。
大方、奴らの兄弟を倒したのが私だって報告しているのね。
その証拠に怒り狂ったオーガ2体は私に向かって突撃してきた。
「殺してやる! 兄弟の仇だ!!」
いつの間にか日はすっかり落ちてしまっていた。
一つは、敵を誘い出す為の陽動部隊。
一つは、それに釣られて遺跡から出てきた化物の手薄な方向から人知れず内部に突入するハンスの部隊。
最後にオーガを引き付ける俺の部隊。
フト、脇を見ると実戦経験の少ない美少年・メイソンが震えて歯をカチカチと噛み鳴らしていた。
(男の時だったら、「しっかりしろ! 男だろ?」と、発破をかけるときだが、今は女の俺にそれを言われたら少年の立つ瀬がない。ここは一つ、男を立ててやろう。)
と、思い立ち。俺は震える素振りを見せながら彼の腕に抱きつき、怯えた様子の声で
「・・・大丈夫かな?
ねぇ。ちゃんと、私の事を守ってくれるよね?」と、頼んだ。
俺のような美少女に頼まれては奮い立たぬわけにはいかないとばかりに、メイソンは目をキリッと引き締めて
「僕に任せておけ!
命に替えても君を守る!」と、言ってくれた。
・・・っ!! かっ、カッコいい!!
・・・じゃなかった。何その気になってんだ俺は。しっかりしろ。
戻ってこれなくなるぞ。
(そうそう。24歳にもなって、こんなうら若い子をかどわかすなんて、ママって悪い女ね。)
(年齢の話はやめろっ!!)
面白がってイジってくるチャームに文句を言いながら、若干、傷つく俺だった。見た目に反して微妙なお年頃なんだよっ!!
なんて馬鹿げたことをやっているうちに陽動部隊が気勢を上げながら遺跡に突撃していく。
化物達も町への奇襲が失敗したこともあって警戒はしていたようだが、所詮、少数の見張り役のゴブリン達では相手にならない。奴らの武器はその数にある。
ギャーギャーと大きな悲鳴をゴブリン達が上げると、遺跡の奥から大きな足音を立ててオーガ2体とゴブリンの群がやってきた。
この声が合図の笛だ。人質救出部隊が物陰から遺跡に侵入。後続部隊も馬に乗って援護に来る。
そして、いよいよ俺の出番である。
迫りくるオーガ2体の前に躍り出ると、腰にさしたナイフを抜き取り、オーガに向けて投げ放つ。
オーガの目を狙って投げ放たれたナイフは女の力によるものとはいえ無視できるものでは無い。前にいたオーガはとっさに手で受け止めてしまい右手を負傷した。
「ぎゃあああっ!!」
途端にオーガは悲鳴を上げる。ナイフには聖油がタップリ入った油が染み込ませてあり、傷口が焼けるように痛んだのだ。
奴の悲鳴を勝鬨代わりに俺は2体のオーガを指さして吠えた。
「さぁっ!! おいでっ!!
イケメン以外に用はないけど、特別に遊んであげるわっ!!」
そんな俺の姿に驚いたのはオーガだけではない。ゴブリン達は俺を指さしてしきりにオーガに何かを告げている。
大方、奴らの兄弟を倒したのが私だって報告しているのね。
その証拠に怒り狂ったオーガ2体は私に向かって突撃してきた。
「殺してやる! 兄弟の仇だ!!」
いつの間にか日はすっかり落ちてしまっていた。
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