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第4章「聖母誕生」
第96話 神々の戦い・1
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ラーマが数百万の軍勢との戦闘を始めた頃、明けの明星と高き館の主とが上空で睨み合っていた。
神々には神々の戦いがあった。
明けの明星には数十柱の神々が味方をしていたが、高き館の主は数百万の人間を手にしたのと同じように神々もまた数百柱が服従していた。
「なんだルーちゃん。たったそれだけしか集められなかったの?
昔と違って人望ないね・・・。
数百万の悪魔の軍勢の王とは思えない落ちぶれようだね。」
高き館の主はそう言って笑ったが、彼は知っている。明けの明星に味方するこの異界の神々がいくら少なくとも戦況を大きく変えるほどの事ではないことを・・・。
「お前こそ。有象無象の輩ばっかり集めおってからに・・・。
暴走族の抗争の助っ人に中学生ばっかり集めてきた成人みたいな寂しい感じやで?」
高き館の主の挑発を聞いても明けの明星は狼狽えなかった。そして、その理由を高き館の主も知っていた。
「それにお前、随分と異界の王たちに嫌われとるみたいやな。
俺が頼まんでも、お前がここに来ただけで向こうから協力的に来てくれたで・・・。」
明けの明星がそう言うと同時に天空には大雷鳴が鳴り響くとともに10個の異界の門が姿を現し、その扉を開いて異界の王が続々と姿を見せる。
各々が一つの異界を管理する大神というだけあって魔力量が魔神たちとは桁外れに多い。その威光を察知して高き館の主に味方した神々が青ざめるのだった。
「ああっ!! い、異界の王がお出ましになられたぞっ!?」
「そ、それもこんなにたくさんっ!?」
「き、聞いていないぞこんなこと。
これでは勝ち目などあるわけがないだろうがっ!!」
そうやって異界の王の降臨に高き館の主に味方した神々が狼狽える姿は高き館の主の癇に障り粛清されてしまうのだった。
高き館の主はただ指を擦り鳴らしただけだったが、それだけで雷撃が走って数柱の神々を焼き殺してしまった。
「やかましいっ!
今、俺とルーちゃんが喋っているんだっ!!
邪魔するなら殺すっ!! 寝返っても殺すっ!!
ガタガタ抜かさず、戦が始まるまで黙ってろっ!!」
その一喝だけでその場が静まり返った。
明けの明星を除いてその場にいた誰もが彼を恐れた。
その高貴なオーラに明けの明星と引けを取らない邪悪なオド。そして異界を滅ぼしてしまうほどの圧倒的魔力量を肌で感じた面々は驚き恐れたのだった。
ましてや神の領域に達し下級の神なら相手にもならない程の昇華を遂げたヴァレリオにとっても計り知れない脅威にしか見えなかった。
いや。高き館の主は脅威と呼ぶにはおこがましいほどの存在だった。そもそも高き館の主はヴァレリオなど問題にもしていないのだから。ヴァレリオにとって高き館の主は恐怖でしかなかった。
そして、それは魔神シェーン・シェーン・クーを始めとする明けの明星に服従した魔神たち、異界の王にとっても同様の事であった。
しかし、高き館の主が如何にその威光を振りまこうと明けの明星は決して揺るがないのだった。
それどころか高き館の主にたいして説教を垂れるのであった。
「全く、お前がやらかした異界壊しのツケは大きいなぁ。
異界の王を敵に回すわ、ペナルティは受けるわ・・・。
まぁ、これもお前の生きざま、日ごろの行いの報いや。
お前も少しは聖書を読んでまっとうな生活をせいっちゅーことやな・・・。」
高き館の主はそれを聞いて笑った。
彼もまた明けの明星を相手にとっても揺るがないのだった。
「ははははっ。
それ、ルーちゃんが言う?
それにそもそも戦いは俺達だけのものじゃないよ?
下で戦うアホ共が全滅したら、それはそれでルーちゃんの負けやで?」
高き館の主は外科医を指差しながら言った。その指先が指し示した方向にはラーマがいる。
「あの女は何だ?
ルーちゃん。何を企んでいる?
あんな清楚でアンポンタンな小娘に何を指せようというんだい?
どうせ何もできないよ。」
「ほら、外界を見てごらん。自分たちの百倍はいる俺の軍勢になすすべもないじゃないか。
可哀想にラーマに味方した種族はここで死ぬよ?
すぐに死ぬ。誰も生き残らない。くすくすくす。」
高き館の主が嬉しそうにそう言った時、明けの明星は「助からんのはラーマに味方した種族だけと違うやろ。」と冷たい声で反論した。
「お前に味方した神々も種族も勝とうが負けようがお前に滅ぼされる
せやろ?」
明けの明星は刺すような視線で高き館の主の狙いを看破する。
だが、高き館の主は明けの明星が言ったことを否定することもなく当たり前の事のように返事を返した。
「何怒ってんのさルーちゃん。いいじゃないか、こんな奴ら殺したって・・・。ああ、いや・・・ここにいる神々は別だよ?
俺は次の世界でこいつらに働いてもらうから。
そうやって次の世界次の世界を俺は滅ぼしていく。」
高き館の主はそこまでいうとやっと視線を他の者に移す。
立ち並ぶ異界の王たちのそうそうたるメンバーに対して「え~と・・。」っと物を選ぶように指差しながら呟くと、一柱の異界の王を射止めるかのように指差した。
「まずはお前だ。
この異界を滅ぼしたら次はお前の異界を滅ぼす。
それから他の王たちの異界も優先的に俺が壊す。」
「それが高貴な俺に逆らった代償と知れ。
そして俺はお前達の異界を滅ぼしながら、ルーちゃんをメス犬のように可愛がってやる。」
高き館の主は未だ戦いが始まってもいないのに既に勝利した時のことを宣言した。
言われた異界の王たちは高き館の主に気圧されつつも、怒りに震えて立ち向かおうとした。
だが、それを明けの明星が右手を上げて制止する。
「まぁ、待てや。」
ドスの利いたその声に異界の王たちは目をむいて驚いた。
その威風堂々とした立ち姿から彼の高貴さが改めて示されたからだ。異界の王ほどの存在であっても明けの明星の存在には遠く及ばないのだった。
「高き館の主よ。
このまま戦えば、下々の者共に被害が出る。
俺たちは奴らを救わねばならん立場やし、お前たちも我らの攻撃が下界まで届いた時、ペナルティを払うことになる。
高き館の主。特にお前は二度目のペナルティを課せられることになるんやで。」
「・・・ルーちゃん。何が言いたい?」
「せやから、神々の戦いを始める前に下界と天界を魔法で区切ろう。
下界上空にバリアを張っておれたちの攻撃が当たらんようにしようや。
そうでなければオチオチ戦ってられへん。」
「お前かて、これ以上のペナルティは御免やろ?
せやさかいにこんな回りくどい手段つこうて責任がこの異界の王であるタヴァエルに行き届くように策略したんやろうしな。」
「互いに公正な取り決めや。どうや?」
明けの明星の提案はもっともなものだった。
もし、絶大な力を誇る高き館の主の攻撃が地上に堕ちたら核攻撃並みの被害が出る。そうなれば高き館の主には再び重いペナルティが課されてします。その苦痛は高き館の主にとっても願い下げの事だった。
「そうだな・・・。公正な取り決めだ。
では、俺達の魔力をそれぞれ出し合って強力な壁を作ろう。」
ここに両陣営の合意がなされ、それぞれの神々が力を出し合って強力な次元の裂け目によるバリアが造られた。
地上のはるか上空に張り巡らされた次元の裂け目は、いかなる攻撃を受けてもそれらの攻撃を吸い込んで外宇宙に転送させる。故に地上には一切の被害が出ない。次元の間を利用した大禁呪だった。
「さぁ、それではそろそろ殺しあおうっ!!
者共っ!! ルーちゃんの配下の神々をやれっ!!
俺はルーちゃんと異界の王をやるっ!!」
突撃の合図を高き館の主が叫んだその時だった・・・。明けの明星は不敵に笑った。
「かかったな・・・アホが・・・。」
その一言に自分が何か策略に嵌められたと悟った高き館の主が顔を歪める。
「なに?」
そんな高き館の主の変化を楽しむ様に明けの明星は腕組みしていた両腕をほどくと、その手を大きく左右に広げながら叫んだ。
「お前、まだ俺の恐ろしさがわかって無いようやな?
公正な取引やと?
それが公平な取引ではないとなんで気が付かんかったんじゃボケが・・・」
「俺は明けの明星っ!!
さぁっ!! 星々の王の力を見るがいいっ!!」
明けの明星がそう叫ぶと天空から信じられないほどの流星が降り注ぎ、高き館の主の配下の神々を焼き殺していく。
悲鳴を上げながら焼け死んでいく遺体と的を外れた星々が次元の間に消えていった。
高き館の主はそれを呆然と見ているしかなかった。
「お、おのれ・・・おのれっ!!
ルーちゃんよくも俺を騙したなっ!!」
「公正な取引と持ち掛けて、自分の魔法を最大限生かせる条件を整えるなんて・・・。」
「ズルいっ!! ズルいぞっ!! 明けの明星っ!!」
怒りに震える高き館の主は我を忘れて明けの明星を非難した。しかし、それを受けて明けの明星は平然と答えるのだった。
「ズルいやと? アホたれ。
悪魔に何を言うとんねん、お前は・・・。」
その一言で高き館の主は怒り狂った。
「おのれっ!! 貴様ぁっ、許さん。
☆●を切◯して××○にして○しぬき、自分の意思で◆◆も出来ぬほど○○○○○してやる。
心して聴けっ!!
俺はお前が男の身でありながら俺の子供を産み続ける××××にしてやるぞっ!!
命乞いしようが何をしようが、お前の意識が壊れるまで徹底的に△してやるっ!!」
高き館の主は呪いの言葉を吐きながら、あっさりと明けの明星が企んだ彼の魔法を最大限に使いやすい状況を作り上げるように利用されたことを地団太踏んで悔しがったのだ。
「おいおい、色々な意味でわかるように喋らんかい。」
明けの明星はそう軽口を叩きながらもヴァレリオ達には厳しい口調で言った。
「異界の王は俺とこいっ!! 高き館の主をここで潰す。
それ以外の者達は残った神々を倒せ。陣形の中央の者共は逃げ道が無く死んだが、陣形の外側にいた連中は別だ。
気をつけろっ!! 運よく俺の魔法を生き残った奴らだが、強者揃いだ。決して油断はするなよっ!!」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに高き館の主は明けの明星に襲い掛かり、残った神々は、ヴァレリオ達を静かな目で睨みつけながら突撃してくるのだった。
「やれやれ・・・。これはどいつもこいつも明けの明星様の仰る通りの化け物ぞろいだ・・・。
果たして私は生きてラーマの下へ戻れるのかな?」
生き残った強力な神々を見つめながらヴァレリオはため息混じりにそう呟くのだった。
ラーマが数百万の軍勢との戦闘を始めた頃、明けの明星と高き館の主とが上空で睨み合っていた。
神々には神々の戦いがあった。
明けの明星には数十柱の神々が味方をしていたが、高き館の主は数百万の人間を手にしたのと同じように神々もまた数百柱が服従していた。
「なんだルーちゃん。たったそれだけしか集められなかったの?
昔と違って人望ないね・・・。
数百万の悪魔の軍勢の王とは思えない落ちぶれようだね。」
高き館の主はそう言って笑ったが、彼は知っている。明けの明星に味方するこの異界の神々がいくら少なくとも戦況を大きく変えるほどの事ではないことを・・・。
「お前こそ。有象無象の輩ばっかり集めおってからに・・・。
暴走族の抗争の助っ人に中学生ばっかり集めてきた成人みたいな寂しい感じやで?」
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俺が頼まんでも、お前がここに来ただけで向こうから協力的に来てくれたで・・・。」
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各々が一つの異界を管理する大神というだけあって魔力量が魔神たちとは桁外れに多い。その威光を察知して高き館の主に味方した神々が青ざめるのだった。
「ああっ!! い、異界の王がお出ましになられたぞっ!?」
「そ、それもこんなにたくさんっ!?」
「き、聞いていないぞこんなこと。
これでは勝ち目などあるわけがないだろうがっ!!」
そうやって異界の王の降臨に高き館の主に味方した神々が狼狽える姿は高き館の主の癇に障り粛清されてしまうのだった。
高き館の主はただ指を擦り鳴らしただけだったが、それだけで雷撃が走って数柱の神々を焼き殺してしまった。
「やかましいっ!
今、俺とルーちゃんが喋っているんだっ!!
邪魔するなら殺すっ!! 寝返っても殺すっ!!
ガタガタ抜かさず、戦が始まるまで黙ってろっ!!」
その一喝だけでその場が静まり返った。
明けの明星を除いてその場にいた誰もが彼を恐れた。
その高貴なオーラに明けの明星と引けを取らない邪悪なオド。そして異界を滅ぼしてしまうほどの圧倒的魔力量を肌で感じた面々は驚き恐れたのだった。
ましてや神の領域に達し下級の神なら相手にもならない程の昇華を遂げたヴァレリオにとっても計り知れない脅威にしか見えなかった。
いや。高き館の主は脅威と呼ぶにはおこがましいほどの存在だった。そもそも高き館の主はヴァレリオなど問題にもしていないのだから。ヴァレリオにとって高き館の主は恐怖でしかなかった。
そして、それは魔神シェーン・シェーン・クーを始めとする明けの明星に服従した魔神たち、異界の王にとっても同様の事であった。
しかし、高き館の主が如何にその威光を振りまこうと明けの明星は決して揺るがないのだった。
それどころか高き館の主にたいして説教を垂れるのであった。
「全く、お前がやらかした異界壊しのツケは大きいなぁ。
異界の王を敵に回すわ、ペナルティは受けるわ・・・。
まぁ、これもお前の生きざま、日ごろの行いの報いや。
お前も少しは聖書を読んでまっとうな生活をせいっちゅーことやな・・・。」
高き館の主はそれを聞いて笑った。
彼もまた明けの明星を相手にとっても揺るがないのだった。
「ははははっ。
それ、ルーちゃんが言う?
それにそもそも戦いは俺達だけのものじゃないよ?
下で戦うアホ共が全滅したら、それはそれでルーちゃんの負けやで?」
高き館の主は外科医を指差しながら言った。その指先が指し示した方向にはラーマがいる。
「あの女は何だ?
ルーちゃん。何を企んでいる?
あんな清楚でアンポンタンな小娘に何を指せようというんだい?
どうせ何もできないよ。」
「ほら、外界を見てごらん。自分たちの百倍はいる俺の軍勢になすすべもないじゃないか。
可哀想にラーマに味方した種族はここで死ぬよ?
すぐに死ぬ。誰も生き残らない。くすくすくす。」
高き館の主が嬉しそうにそう言った時、明けの明星は「助からんのはラーマに味方した種族だけと違うやろ。」と冷たい声で反論した。
「お前に味方した神々も種族も勝とうが負けようがお前に滅ぼされる
せやろ?」
明けの明星は刺すような視線で高き館の主の狙いを看破する。
だが、高き館の主は明けの明星が言ったことを否定することもなく当たり前の事のように返事を返した。
「何怒ってんのさルーちゃん。いいじゃないか、こんな奴ら殺したって・・・。ああ、いや・・・ここにいる神々は別だよ?
俺は次の世界でこいつらに働いてもらうから。
そうやって次の世界次の世界を俺は滅ぼしていく。」
高き館の主はそこまでいうとやっと視線を他の者に移す。
立ち並ぶ異界の王たちのそうそうたるメンバーに対して「え~と・・。」っと物を選ぶように指差しながら呟くと、一柱の異界の王を射止めるかのように指差した。
「まずはお前だ。
この異界を滅ぼしたら次はお前の異界を滅ぼす。
それから他の王たちの異界も優先的に俺が壊す。」
「それが高貴な俺に逆らった代償と知れ。
そして俺はお前達の異界を滅ぼしながら、ルーちゃんをメス犬のように可愛がってやる。」
高き館の主は未だ戦いが始まってもいないのに既に勝利した時のことを宣言した。
言われた異界の王たちは高き館の主に気圧されつつも、怒りに震えて立ち向かおうとした。
だが、それを明けの明星が右手を上げて制止する。
「まぁ、待てや。」
ドスの利いたその声に異界の王たちは目をむいて驚いた。
その威風堂々とした立ち姿から彼の高貴さが改めて示されたからだ。異界の王ほどの存在であっても明けの明星の存在には遠く及ばないのだった。
「高き館の主よ。
このまま戦えば、下々の者共に被害が出る。
俺たちは奴らを救わねばならん立場やし、お前たちも我らの攻撃が下界まで届いた時、ペナルティを払うことになる。
高き館の主。特にお前は二度目のペナルティを課せられることになるんやで。」
「・・・ルーちゃん。何が言いたい?」
「せやから、神々の戦いを始める前に下界と天界を魔法で区切ろう。
下界上空にバリアを張っておれたちの攻撃が当たらんようにしようや。
そうでなければオチオチ戦ってられへん。」
「お前かて、これ以上のペナルティは御免やろ?
せやさかいにこんな回りくどい手段つこうて責任がこの異界の王であるタヴァエルに行き届くように策略したんやろうしな。」
「互いに公正な取り決めや。どうや?」
明けの明星の提案はもっともなものだった。
もし、絶大な力を誇る高き館の主の攻撃が地上に堕ちたら核攻撃並みの被害が出る。そうなれば高き館の主には再び重いペナルティが課されてします。その苦痛は高き館の主にとっても願い下げの事だった。
「そうだな・・・。公正な取り決めだ。
では、俺達の魔力をそれぞれ出し合って強力な壁を作ろう。」
ここに両陣営の合意がなされ、それぞれの神々が力を出し合って強力な次元の裂け目によるバリアが造られた。
地上のはるか上空に張り巡らされた次元の裂け目は、いかなる攻撃を受けてもそれらの攻撃を吸い込んで外宇宙に転送させる。故に地上には一切の被害が出ない。次元の間を利用した大禁呪だった。
「さぁ、それではそろそろ殺しあおうっ!!
者共っ!! ルーちゃんの配下の神々をやれっ!!
俺はルーちゃんと異界の王をやるっ!!」
突撃の合図を高き館の主が叫んだその時だった・・・。明けの明星は不敵に笑った。
「かかったな・・・アホが・・・。」
その一言に自分が何か策略に嵌められたと悟った高き館の主が顔を歪める。
「なに?」
そんな高き館の主の変化を楽しむ様に明けの明星は腕組みしていた両腕をほどくと、その手を大きく左右に広げながら叫んだ。
「お前、まだ俺の恐ろしさがわかって無いようやな?
公正な取引やと?
それが公平な取引ではないとなんで気が付かんかったんじゃボケが・・・」
「俺は明けの明星っ!!
さぁっ!! 星々の王の力を見るがいいっ!!」
明けの明星がそう叫ぶと天空から信じられないほどの流星が降り注ぎ、高き館の主の配下の神々を焼き殺していく。
悲鳴を上げながら焼け死んでいく遺体と的を外れた星々が次元の間に消えていった。
高き館の主はそれを呆然と見ているしかなかった。
「お、おのれ・・・おのれっ!!
ルーちゃんよくも俺を騙したなっ!!」
「公正な取引と持ち掛けて、自分の魔法を最大限生かせる条件を整えるなんて・・・。」
「ズルいっ!! ズルいぞっ!! 明けの明星っ!!」
怒りに震える高き館の主は我を忘れて明けの明星を非難した。しかし、それを受けて明けの明星は平然と答えるのだった。
「ズルいやと? アホたれ。
悪魔に何を言うとんねん、お前は・・・。」
その一言で高き館の主は怒り狂った。
「おのれっ!! 貴様ぁっ、許さん。
☆●を切◯して××○にして○しぬき、自分の意思で◆◆も出来ぬほど○○○○○してやる。
心して聴けっ!!
俺はお前が男の身でありながら俺の子供を産み続ける××××にしてやるぞっ!!
命乞いしようが何をしようが、お前の意識が壊れるまで徹底的に△してやるっ!!」
高き館の主は呪いの言葉を吐きながら、あっさりと明けの明星が企んだ彼の魔法を最大限に使いやすい状況を作り上げるように利用されたことを地団太踏んで悔しがったのだ。
「おいおい、色々な意味でわかるように喋らんかい。」
明けの明星はそう軽口を叩きながらもヴァレリオ達には厳しい口調で言った。
「異界の王は俺とこいっ!! 高き館の主をここで潰す。
それ以外の者達は残った神々を倒せ。陣形の中央の者共は逃げ道が無く死んだが、陣形の外側にいた連中は別だ。
気をつけろっ!! 運よく俺の魔法を生き残った奴らだが、強者揃いだ。決して油断はするなよっ!!」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに高き館の主は明けの明星に襲い掛かり、残った神々は、ヴァレリオ達を静かな目で睨みつけながら突撃してくるのだった。
「やれやれ・・・。これはどいつもこいつも明けの明星様の仰る通りの化け物ぞろいだ・・・。
果たして私は生きてラーマの下へ戻れるのかな?」
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