60 / 102
第3章「ゴルゴダの丘」
第59話 5年
しおりを挟む「裏運営……、ムトウさんからのメールで決心がつきました」
『えー、何のー?』
シュウカさんがのんびりと聞いてくるのを、シュウさんが小突く。
『分からないのか』
『分かんない』
画面の向こうで肩をすくめているシュウカさん。かわいい。
「私、やっぱりログインします」
『ああ、そのことねー。あたしも付き合うー。でもさっきより気分は楽になったかもー。だって再ログインしたとしても、3日後には強制ログアウトできるんだもんね』
そう。ログインしたとしても、ログアウトできない状況にはならない。少なくとも、3日後には強制的にログアウトさせられる。
再ログインの権限は前回ログアウトする前にもらったけど、自由にログアウトできる権限が付与されているかどうかは保証されていなかったからちょっと怖かったんだよね。
「とはいえ、色々と考えることがありそうですね」
そもそも、さっきのシュウカさんの話に関連してるけど、このゲームのヘッドギアってまだまだ品薄状態が続いているんじゃなかったっけ?
据え置き型ゲーム機や携帯ゲーム機の新世代バージョンが出ると大概、品薄状態になる。店頭や通販での予約は早々に終了となり、発売日には店頭に長蛇の列ができたりする。
そもそもこのゲーム、元々はそれ以上に、抽選での購入権戦争が激しかったってSNSで確認している。
予約合戦、抽選合戦、店頭当日張り込み合戦に負けてしまった人たちは、購入を諦めるか、テンバイヤーから購入するかの二択になる。
テンバイヤー。転売を目的とする買占め屋さん。どうしても増産を待てず、今遊びたいという人たちは、テンバイヤーから購入することになる。テンバイヤーは、定価の倍以上の値段で商品を売っているから、大きな出費だ。
「テンバイヤーさんから購入した人たちからも、文句が出そうですね……」
これからたくさん遊ぶつもりで定価の倍以上の金額で購入したのに、まさかこんなすぐに、ゲームで遊べなくなるなんて、誰も想像してなかったよね。
しかも自分が飽きて遊ばなくなるのは仕方がないことだけど、言ってみればサービス終了でゲームが強制的に終了してしまったわけだよね。しかも発売してから何年も経ったわけじゃないし、プレイしている人の人口が少ない訳でもない。絶対文句が出る。
「それに少なくとも、あと3日間は自由にログアウトできない状況が続くということになりますし……」
私たちみたいにムトウさんが設定した条件をクリアした人は別だけど、それ以外の人は、3日間はログアウトできない。そうなると、ログインしている人たちの現実に影響が出るよね。
「3日間後にはログアウトできるとしても、それまでに私生活に影響が出てまずい人たちもいるはずです。やっぱりログアウト条件を知っている以上、ほっておけませんし、ログインします」
『えー、何のー?』
シュウカさんがのんびりと聞いてくるのを、シュウさんが小突く。
『分からないのか』
『分かんない』
画面の向こうで肩をすくめているシュウカさん。かわいい。
「私、やっぱりログインします」
『ああ、そのことねー。あたしも付き合うー。でもさっきより気分は楽になったかもー。だって再ログインしたとしても、3日後には強制ログアウトできるんだもんね』
そう。ログインしたとしても、ログアウトできない状況にはならない。少なくとも、3日後には強制的にログアウトさせられる。
再ログインの権限は前回ログアウトする前にもらったけど、自由にログアウトできる権限が付与されているかどうかは保証されていなかったからちょっと怖かったんだよね。
「とはいえ、色々と考えることがありそうですね」
そもそも、さっきのシュウカさんの話に関連してるけど、このゲームのヘッドギアってまだまだ品薄状態が続いているんじゃなかったっけ?
据え置き型ゲーム機や携帯ゲーム機の新世代バージョンが出ると大概、品薄状態になる。店頭や通販での予約は早々に終了となり、発売日には店頭に長蛇の列ができたりする。
そもそもこのゲーム、元々はそれ以上に、抽選での購入権戦争が激しかったってSNSで確認している。
予約合戦、抽選合戦、店頭当日張り込み合戦に負けてしまった人たちは、購入を諦めるか、テンバイヤーから購入するかの二択になる。
テンバイヤー。転売を目的とする買占め屋さん。どうしても増産を待てず、今遊びたいという人たちは、テンバイヤーから購入することになる。テンバイヤーは、定価の倍以上の値段で商品を売っているから、大きな出費だ。
「テンバイヤーさんから購入した人たちからも、文句が出そうですね……」
これからたくさん遊ぶつもりで定価の倍以上の金額で購入したのに、まさかこんなすぐに、ゲームで遊べなくなるなんて、誰も想像してなかったよね。
しかも自分が飽きて遊ばなくなるのは仕方がないことだけど、言ってみればサービス終了でゲームが強制的に終了してしまったわけだよね。しかも発売してから何年も経ったわけじゃないし、プレイしている人の人口が少ない訳でもない。絶対文句が出る。
「それに少なくとも、あと3日間は自由にログアウトできない状況が続くということになりますし……」
私たちみたいにムトウさんが設定した条件をクリアした人は別だけど、それ以外の人は、3日間はログアウトできない。そうなると、ログインしている人たちの現実に影響が出るよね。
「3日間後にはログアウトできるとしても、それまでに私生活に影響が出てまずい人たちもいるはずです。やっぱりログアウト条件を知っている以上、ほっておけませんし、ログインします」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる