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第3章「ゴルゴダの丘」
第44話 理想と現実
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「よう覚えておけ、ラーマよ。
お前が追い求めているのは理想や。誰とも争わずに会話で解決し、助け合う。まさに理想的な世界や。」
明けの明星様は私の考え方を全肯定してくださいました。そして、その上で全否定されました。
「だが、その理想はお前の理想や。周りを見てみい。
不正を犯してでも利益を自分のものにしたい。
家族の為なら殺人もいとわない。
それが生きとし生ける者の自然な姿なんや。
お前はそれを今まで見てきたはずやで?
お前が王女になってからいくつの不正を見て来た?」
「先の戦争だってそうや。お前は俺の画策のせいで起きたと思ッとるけどな、それは違うぞ。
あれがお前ら穢れた生物の本性やっただけの話や。
お前は知らんやろうけどな、戦争の理由が花嫁やなんて珍しい事と違うんやで? 俺は見て来た。そういうつまらない理由で始まる戦争をな。
事の発端がメンツの問題か、本当に女に惚れたのが原因かなんて些末な問題や。要はその原因となっているのが、そいつらの魂を解き放つことができないそいつらが持つ独占欲と言う名の穢れや。」
「あいつらが何でそういう欲を持っていると思う?
お前みたいに穢れのない生命にはわかるまい。その苦悩が持って生まれたもんやと言う事を。
その苦悩は本来、生き物は持っているもんで別に珍しいもんでもないで?
野生動物見てみいや。メスのために争い、食料を確保するための縄張り争いの為やったら外敵はおろか骨肉の争いも辞さない。それはお前らが戦争したり人から物を強奪する犯罪を犯すのと大差ない。
知的生物と野生動物の違いなんかお前らが思ってるほど大きくないぞ。
お前らと野生動物の違いなんて、環境を破壊する力がデカいか小さいかくらいや。」
「それらの欲求が生命の宿命であるなら、当然、目指すもんがお前とは異なるんや。
奴らは生命の宿命のまま奪い、犯し、己のみの繁栄を求め続ける。
それはお前が理想とする分かち合う世界と相反するんや。
わかるか? お前の理想はお前の理想であって他の者の理想とは違う。」
明けの明星様は私の理想を全否定してから、今度は私の理想について問いかけました。
「お前は俺のすることに対してガタガタ抜かすけどな、ほんなら逆に聞かせてくれ。
お前はこの国をどうしたいんや?」
「お前が追い求める理想は臣民の求める理想とは程遠い。
奴らは敵から強奪し、己が楽に生活できる環境を整えてくれる君主を求めている。
その臣民に対してお前はお前の理想を押し付けて、苦難の道を歩ませようというのか?
それがお前の正義か?」
私は、その問いかけに即答は出来ませんでした。明けの明星様の御言葉はあまりに正論だったからです。
確かに明けの明星様の仰っておられることは道理にかなっています。王なれば、臣民の望む理想を叶えてあげることこそ使命ともいえるからです。
そして、私の目指す道は必ずしも臣民を幸福にしてくれるものではないのです。
明けの明星様の問いかけとはつまり、私の理想の押し付けが正義と言えるのかと私を責めておられると言えましょう。質問ではなく、私を責めておられるのです。
私は明けの明星様に対してなんとお返事すればいいのでしょうか?
心のあるままにお返事をしてもいいのでしょうか? それは私の傲慢ではないでしょうか?
返事に困る私を明けの明星様は、急かすこともなく美しい瞳でジッと見つめてこられます。きっと私の答えを待っておられるのでしょう。私が返事に窮して言葉を濁すような真似をすることを望んではおられないと思います。
ならば、言ってもいいのでしょうか? お答えしても良いのでしょうか?
私の胸の内の拷問を・・・。
悩む私の目には明けの明星様と同じように私を見つめるタヴァエル様とアンナお姉様の御姿が見えました。
その美しい姿勢と凛とした表情からタヴァエル様は私を試しておられるのがわかります。私が何を答えるのか、その内容を見定めてやろうという厳しさを感じさせるのです。高位の魂から向けられるその視線は下等な私には耐えがたい重圧を感じさせます。
ただ、アンナお姉様は違いました。私を優しい瞳を向けてこられるのです。その瞳はまるで私に
「あるがまま答えていいのですよ。」と、背中を押してくださっているかのようでした。
その瞳に押されて私は決意しました。
思うがままを開けの明星様に聞いていただこうと。自分の傲慢をぶつけてみようと。私、そう思いましたの、
深呼吸を一つ。そして、私はお答えするのです。自分の胸の内を。
「恐れ多くも明けの明星様に申し奉ります。
明けの明星様の御話、ただただ、感動いたしました。
そして、私の理想と臣民の理想が違う事と、私の理想の押し付けが正義であるかどうかを考えさせていただきました。
その上でお答えいたします。」
私は語気を強めてハッキリと自分の意思を申し上げるのです。
「私、正義なんてどうでもよろしい事かと思いますっ!!」
私のその一言で部屋に静寂が訪れました。ただ、私の一言を聞いたタヴァエル様の呆れたように息を吸い込む声だけが聞こえただけでした。
そして、その呆れたように吸い込んだ息は怒りの言葉に変わって私に向けられるのでした。
「正義をないがしろにするとは、なんたる凶悪っ!!
お兄様っ!! こんな娘に何を期待なさっておられるのですか?
こんな娘、さっさと洗脳して傀儡になさったらよろしいのですわっ!!」
私に向かって指を差しながらタヴァエル様はお怒りになられたのです。それは高位の存在としては正しいお言葉でありました。いえ、正確に言えば、私たちこの世界に住む生き物にとって都合のいい価値観と言えますね。高位の存在が必ずしも善とは限りません。明けの明星様のように闇の属性をお持ちの方なれば、私の発言を悪しきものとは思いにならないでしょう。
そして、それを証明するかのように明けの明星様は左手を上げて「まぁ、待てや。」とタヴァエル様を制止なさったのです。
「ラーマは話の途中や。
最後まで聞いてやろうやないか。
・・・ラーマ。続きを申せ。」
明けの明星様はそういって私に続きを催促なさいました。当然、これに怯むところはなく、私は自分の考えをお話しするのでした。
「私、正義だとか崇高な意思など持ち合わせてはおりません。
ただ、争うよりも分かち合うことを求めた方が効率的でそして、誰も傷つかないものだと確信しているのです。
今は無理解と無理解からくる不満をぶつけられるかもしれません。
しかし、ようは結果なのです。
結果的に皆が幸せになる世界が来るならば、私の理想を押し付けることもあながち悪しゅうはごさいません。
むしろ、このまま混沌のように同じ殺し合いの螺旋を続ける未来の方が、結果的には悪と言えましょう。なれば、私の理想の押し付けにも一理がございましょう。
私。理想や正義なんてどうでもよろしい事。結果が全てと、このように考える次第でございます。」
私の返答を聞かれた明けの明星様は、お怒りにもなられず、かといって納得もしておられないご様子の表情を浮かべておられました。
私の返答は及第点を取れなかったのでしょうか?
少し自信を無くしてタヴァエル様とアンナお姉様を見ると、お二人とも意外なほどご納得の表情を浮かべておられました。それで、私は自分の発言に自信が持てたのでした。
それにしても先ほど、正義をないがしろにした発言をした私に対して激昂なされたタヴァエル様が反発なされなかったことは意外でした。意外と懐が深い御方なのでしょうか?
ただ、明けの明星様は、その上でお答えになられました。
「お前の考え、ようわかった。
要するにどうあってもお前の理想を貫きたいというんやな?」
「はい。左様でございます。」
「では、なおの事、お前の考えを認めてやることは出来んな。」
「ええっ!? ど、どうしてですかっ!?」
良い手ごたえをつかんだと思った私は意外な判定を貰って面食らってしまいました。
明けの明星様は言葉をお続けになられます。
「お前の話には具体性に欠けるっちゅーねん。
お前はホンマに俺の話を聞いとったんか?
お前の理想は臣民に理解されん。そして苦難の道やぞ。その苦難の道をお前はどうやって臣民に理解してもらおうというんや?
理解を得られん理想の押し付けは暴力や。暴力を押し通そうとするために必要なことは恐怖やぞ?
さっきも言うたけど、反発したら何をされるかわからん恐怖があるから他人は引き下がるんや。
理想を理解しないものは会話を必要とせず、話を聞く前に暴力をもってこれを貫こうとする。まず話を聞いてもらおうと思ったら、反発する暴力を起こす気が無くなるほど相手を恐怖させる必要があるんや。
お前がすることも俺がすることも目的は違っても手段は同じと言う事や。わかるか?」
「理想論は結構やけどな。理想と現実は違う。
現実にそぐわない理想は理想とは言わん。それは妄想というんや。
そして、その妄想で言葉巧みに人から信頼を得ようとする者の事を何と言うか知っとるか?
それは詐欺師と言うんや。
俺は見て来たぞ。理解されん理想を押し付けるために暴力行為を働いて恐怖で人を支配しようとする輩を。
今のままではお前は同じ道をたどる。」
「俺に言わせたら、お前は言葉巧みに臣民を出口の見えない迷宮に連れ込む悪魔や。
理想を語るならば、現実に合う具体的な解決策を持て。
理想を理解できない者を納得させられる具体的な解決策や。
それを持たん限り、お前も俺と同じ恐怖を手にするしか他なくなるぞ。」
明けの明星様はそう言うと
「話はここまでや。お前は、黙って俺のすることを見てろ。
それで何が起こるか見て学べ。
お前は俺がすることを突き進めば、これから何が起こるのか想像もしてないやろ?」
「いや、正確に言うたら、あの穢れた魂共がこれから何をしてくるか想像もしてないはずや。
そうして奴らの生きざまを見て、生命の尊さと苦悩を学べ。
お前は救い主の母にはまだほど遠い・・・」
そう仰るとタヴァエル様の手を取って執務室から出て行かれました。
残された私とアンナお姉様は明けの明星様の御言葉の真意がわからずに困惑するばかりでしたが、ただ一つ決定した事は、私の意見は却下され、今の恐怖体制が続くという事でした。
お前が追い求めているのは理想や。誰とも争わずに会話で解決し、助け合う。まさに理想的な世界や。」
明けの明星様は私の考え方を全肯定してくださいました。そして、その上で全否定されました。
「だが、その理想はお前の理想や。周りを見てみい。
不正を犯してでも利益を自分のものにしたい。
家族の為なら殺人もいとわない。
それが生きとし生ける者の自然な姿なんや。
お前はそれを今まで見てきたはずやで?
お前が王女になってからいくつの不正を見て来た?」
「先の戦争だってそうや。お前は俺の画策のせいで起きたと思ッとるけどな、それは違うぞ。
あれがお前ら穢れた生物の本性やっただけの話や。
お前は知らんやろうけどな、戦争の理由が花嫁やなんて珍しい事と違うんやで? 俺は見て来た。そういうつまらない理由で始まる戦争をな。
事の発端がメンツの問題か、本当に女に惚れたのが原因かなんて些末な問題や。要はその原因となっているのが、そいつらの魂を解き放つことができないそいつらが持つ独占欲と言う名の穢れや。」
「あいつらが何でそういう欲を持っていると思う?
お前みたいに穢れのない生命にはわかるまい。その苦悩が持って生まれたもんやと言う事を。
その苦悩は本来、生き物は持っているもんで別に珍しいもんでもないで?
野生動物見てみいや。メスのために争い、食料を確保するための縄張り争いの為やったら外敵はおろか骨肉の争いも辞さない。それはお前らが戦争したり人から物を強奪する犯罪を犯すのと大差ない。
知的生物と野生動物の違いなんかお前らが思ってるほど大きくないぞ。
お前らと野生動物の違いなんて、環境を破壊する力がデカいか小さいかくらいや。」
「それらの欲求が生命の宿命であるなら、当然、目指すもんがお前とは異なるんや。
奴らは生命の宿命のまま奪い、犯し、己のみの繁栄を求め続ける。
それはお前が理想とする分かち合う世界と相反するんや。
わかるか? お前の理想はお前の理想であって他の者の理想とは違う。」
明けの明星様は私の理想を全否定してから、今度は私の理想について問いかけました。
「お前は俺のすることに対してガタガタ抜かすけどな、ほんなら逆に聞かせてくれ。
お前はこの国をどうしたいんや?」
「お前が追い求める理想は臣民の求める理想とは程遠い。
奴らは敵から強奪し、己が楽に生活できる環境を整えてくれる君主を求めている。
その臣民に対してお前はお前の理想を押し付けて、苦難の道を歩ませようというのか?
それがお前の正義か?」
私は、その問いかけに即答は出来ませんでした。明けの明星様の御言葉はあまりに正論だったからです。
確かに明けの明星様の仰っておられることは道理にかなっています。王なれば、臣民の望む理想を叶えてあげることこそ使命ともいえるからです。
そして、私の目指す道は必ずしも臣民を幸福にしてくれるものではないのです。
明けの明星様の問いかけとはつまり、私の理想の押し付けが正義と言えるのかと私を責めておられると言えましょう。質問ではなく、私を責めておられるのです。
私は明けの明星様に対してなんとお返事すればいいのでしょうか?
心のあるままにお返事をしてもいいのでしょうか? それは私の傲慢ではないでしょうか?
返事に困る私を明けの明星様は、急かすこともなく美しい瞳でジッと見つめてこられます。きっと私の答えを待っておられるのでしょう。私が返事に窮して言葉を濁すような真似をすることを望んではおられないと思います。
ならば、言ってもいいのでしょうか? お答えしても良いのでしょうか?
私の胸の内の拷問を・・・。
悩む私の目には明けの明星様と同じように私を見つめるタヴァエル様とアンナお姉様の御姿が見えました。
その美しい姿勢と凛とした表情からタヴァエル様は私を試しておられるのがわかります。私が何を答えるのか、その内容を見定めてやろうという厳しさを感じさせるのです。高位の魂から向けられるその視線は下等な私には耐えがたい重圧を感じさせます。
ただ、アンナお姉様は違いました。私を優しい瞳を向けてこられるのです。その瞳はまるで私に
「あるがまま答えていいのですよ。」と、背中を押してくださっているかのようでした。
その瞳に押されて私は決意しました。
思うがままを開けの明星様に聞いていただこうと。自分の傲慢をぶつけてみようと。私、そう思いましたの、
深呼吸を一つ。そして、私はお答えするのです。自分の胸の内を。
「恐れ多くも明けの明星様に申し奉ります。
明けの明星様の御話、ただただ、感動いたしました。
そして、私の理想と臣民の理想が違う事と、私の理想の押し付けが正義であるかどうかを考えさせていただきました。
その上でお答えいたします。」
私は語気を強めてハッキリと自分の意思を申し上げるのです。
「私、正義なんてどうでもよろしい事かと思いますっ!!」
私のその一言で部屋に静寂が訪れました。ただ、私の一言を聞いたタヴァエル様の呆れたように息を吸い込む声だけが聞こえただけでした。
そして、その呆れたように吸い込んだ息は怒りの言葉に変わって私に向けられるのでした。
「正義をないがしろにするとは、なんたる凶悪っ!!
お兄様っ!! こんな娘に何を期待なさっておられるのですか?
こんな娘、さっさと洗脳して傀儡になさったらよろしいのですわっ!!」
私に向かって指を差しながらタヴァエル様はお怒りになられたのです。それは高位の存在としては正しいお言葉でありました。いえ、正確に言えば、私たちこの世界に住む生き物にとって都合のいい価値観と言えますね。高位の存在が必ずしも善とは限りません。明けの明星様のように闇の属性をお持ちの方なれば、私の発言を悪しきものとは思いにならないでしょう。
そして、それを証明するかのように明けの明星様は左手を上げて「まぁ、待てや。」とタヴァエル様を制止なさったのです。
「ラーマは話の途中や。
最後まで聞いてやろうやないか。
・・・ラーマ。続きを申せ。」
明けの明星様はそういって私に続きを催促なさいました。当然、これに怯むところはなく、私は自分の考えをお話しするのでした。
「私、正義だとか崇高な意思など持ち合わせてはおりません。
ただ、争うよりも分かち合うことを求めた方が効率的でそして、誰も傷つかないものだと確信しているのです。
今は無理解と無理解からくる不満をぶつけられるかもしれません。
しかし、ようは結果なのです。
結果的に皆が幸せになる世界が来るならば、私の理想を押し付けることもあながち悪しゅうはごさいません。
むしろ、このまま混沌のように同じ殺し合いの螺旋を続ける未来の方が、結果的には悪と言えましょう。なれば、私の理想の押し付けにも一理がございましょう。
私。理想や正義なんてどうでもよろしい事。結果が全てと、このように考える次第でございます。」
私の返答を聞かれた明けの明星様は、お怒りにもなられず、かといって納得もしておられないご様子の表情を浮かべておられました。
私の返答は及第点を取れなかったのでしょうか?
少し自信を無くしてタヴァエル様とアンナお姉様を見ると、お二人とも意外なほどご納得の表情を浮かべておられました。それで、私は自分の発言に自信が持てたのでした。
それにしても先ほど、正義をないがしろにした発言をした私に対して激昂なされたタヴァエル様が反発なされなかったことは意外でした。意外と懐が深い御方なのでしょうか?
ただ、明けの明星様は、その上でお答えになられました。
「お前の考え、ようわかった。
要するにどうあってもお前の理想を貫きたいというんやな?」
「はい。左様でございます。」
「では、なおの事、お前の考えを認めてやることは出来んな。」
「ええっ!? ど、どうしてですかっ!?」
良い手ごたえをつかんだと思った私は意外な判定を貰って面食らってしまいました。
明けの明星様は言葉をお続けになられます。
「お前の話には具体性に欠けるっちゅーねん。
お前はホンマに俺の話を聞いとったんか?
お前の理想は臣民に理解されん。そして苦難の道やぞ。その苦難の道をお前はどうやって臣民に理解してもらおうというんや?
理解を得られん理想の押し付けは暴力や。暴力を押し通そうとするために必要なことは恐怖やぞ?
さっきも言うたけど、反発したら何をされるかわからん恐怖があるから他人は引き下がるんや。
理想を理解しないものは会話を必要とせず、話を聞く前に暴力をもってこれを貫こうとする。まず話を聞いてもらおうと思ったら、反発する暴力を起こす気が無くなるほど相手を恐怖させる必要があるんや。
お前がすることも俺がすることも目的は違っても手段は同じと言う事や。わかるか?」
「理想論は結構やけどな。理想と現実は違う。
現実にそぐわない理想は理想とは言わん。それは妄想というんや。
そして、その妄想で言葉巧みに人から信頼を得ようとする者の事を何と言うか知っとるか?
それは詐欺師と言うんや。
俺は見て来たぞ。理解されん理想を押し付けるために暴力行為を働いて恐怖で人を支配しようとする輩を。
今のままではお前は同じ道をたどる。」
「俺に言わせたら、お前は言葉巧みに臣民を出口の見えない迷宮に連れ込む悪魔や。
理想を語るならば、現実に合う具体的な解決策を持て。
理想を理解できない者を納得させられる具体的な解決策や。
それを持たん限り、お前も俺と同じ恐怖を手にするしか他なくなるぞ。」
明けの明星様はそう言うと
「話はここまでや。お前は、黙って俺のすることを見てろ。
それで何が起こるか見て学べ。
お前は俺がすることを突き進めば、これから何が起こるのか想像もしてないやろ?」
「いや、正確に言うたら、あの穢れた魂共がこれから何をしてくるか想像もしてないはずや。
そうして奴らの生きざまを見て、生命の尊さと苦悩を学べ。
お前は救い主の母にはまだほど遠い・・・」
そう仰るとタヴァエル様の手を取って執務室から出て行かれました。
残された私とアンナお姉様は明けの明星様の御言葉の真意がわからずに困惑するばかりでしたが、ただ一つ決定した事は、私の意見は却下され、今の恐怖体制が続くという事でした。
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