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第2章 新国家「エデン」
第12話 新婚初夜
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異界の魔王様。明けの明星様のご活躍により戦争は終結しました。
敵国も我が国の臣民も全てが明けの明星様に服従したのでした。
これで私は魔王ルーカ・シューの一人娘としてこの国の王族でありましたが、明けの明星様が新国家の王とおなり遊ばされた上は、私がどうなるかは全ては新国王様であらせられる明けの明星様がお決めになられることでございました。
ところが・・・。
「アホたれ。俺がこんな小国の王なんぞに収まるものか。相手見て物言えよ。
俺はこの世界の全ての異界を支配する器やぞっ!!
新たな新国家はラーマ。お前が治めるんや。」
と、魔王様はそっぽを向かれて、それどころか新王国の王に私を据えると本気で仰ったのです。
「・・・ハイ?」
「いや、ハイ? やのうて、新国家の王はお前や。」
「・・・は?」
「いや。は? やのうてやな。
お前、わかってるか? これからは大変やで?
新体制の国家の整備をし直さなアカンし、戦後で弱体化したこの国を他国が狙ってきよる。しっかり気張らな敵にやられてまうで?」
「・・・・・・」
「おい、聞いとんか?
国の復興と合わせて、戦争指揮。全部お前がやるんや。
お前の新国家やからな。
女王ラーマ。ええな? お前がやるんやぞっ!!」
「・・・・・・・」
・・・って。・・・ええええええええ~~~っ!!!?
む、無理です無理ですっ!!
ウチに王様なんか無理ですよってにっ!!
そんなん全然ええことないですって旦那はんっ!!
「↑とか考えてへんやろうな?
これは決定事項や、お前がやるんやぞ。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ラーマ? 黙ってないで何とか返事せんかいっ・・・って・・・。」
「こいつ・・・・・・。目を開けたまま失神しとる・・・。」
はっ!!
と、私が目を覚ました時、私は自室のベッドの上で寝ておりました。そうして、目を覚ましたばかりの私は何が起きたのか全く分からない状態でした。
(いつの間に私は寝ていたのでしょうか? 一体、何が起こったのでしょうか?)
混乱する頭を理性でどうにか制御しながら、とりあえずは自分の今の状況を確かめるためにベッドから起き上がり窓の外を確認した時、既にお月様が煌々と輝く真夜中でありました。
そうか。私、途中から全く記憶がありませんが、いつのまにか寝てしまったのですね。
・・・・・・でも、無理もありませんわね。全く、酷い一日でしたもの。
お父様に異界の魔王との契約を迫られたり、異界の魔王様が絶世の美少年の上に変態だったり。挙句の果てに魔王様はジャック・ダー・クーばかりかお父様まで殺したり・・・・・・。
ああ、そうね。お父様・・・・・・。可哀想なお父様、もうお会いすることは出来ませんのね。
私の脳裏には父上との幼いころからの思い出が頭をよぎるのですが、あの愛されていると思っていた日々が嘘偽りだったなんて・・・・・・。今でも信じたくはありませんわ。
あれが嘘だとわかるくらいなら、政略結婚の道具にされた方がマシでしたわ。
・・・・・・政略結婚。そういえば、私、明けの明星様の妻にすると宣言されていましたわね。人身御供というからてっきり、魂を吸い取られるものだと思い込んでおりましたのに。
言ってみれば、これも政略結婚なのですわね。お飾りのお姫様にはお似合いの末路でしたわ。
夫・・・。つまりは明けの明星様は私の家族になるという事でよろしいのですわね? お父様という唯一の家族を失って、その日のうちに新たな家族が出来るなんて、本当になんて一日なのでしょう・・・?
そういえば、魔王様は魔神ギーン・ギーン・ラー様を配下にお加えあそばされた後に異界の王とお話しされていましたわよね。確か妹君だとか・・・。ということは、私、異界の王ともご家族になれたということになりますわよねっ!! なんだか、それって本当に素晴らしい事ですわ。
・・・。・・・・・・。・・・・・・・・・。
ああ・・・。だめ、冷静に考えれば考えるほど、今の状況に理解が追い付きませんわ。今日はもう、何も考えずにこのまま眠りましょう。
おやすみなさい。お父様・・・。
と、私がベッドに戻りシーツを引き上げようとした時の事でした。
私は、自分のベッドに違和感を感じたのでございますっ!!
「きゃあああああ~~~~~~っ!!
だ、誰か来て~~っ!! く、くせ者ですっ!! 誰か、私にベッドに潜んでいますわ~~っ!!」
そう、私は気が付きました。私のベッドがこんもりと盛り上がっていることにっ!!
く、くくく、くせ者ですわっ!! 曲者が私のベッドにもぐりこんでいるのですわっ!!
た、戦わなければっ!! え、え~と。剣・・・。剣はと・・・。
と、慌てて剣を取ろうとした私は所定の位置に自分の剣がないことに気が付きました。
「あら? 私、お気に入りの剣をどこに置いたのかしら・・・。」
そういって、キョロキョロと探すのですが見当たりません。
「・・・え~と、あら? いつもはここにあるはずなのに?」
「おかしいですわ。こんなのおかしいですわ。
どこへ行ってしまったのかしら。・・・もうっ!!」
いくら探しても見当たらない剣に私は少し苛立ってきました。そもそも、どうして私が一人で探さないといけないのでしょうか?
「ねぇ、そこのベッドの貴方。貴方も一緒に私の剣を探すべきじゃないかしら?
なにをボーっとしているのです。私は姫なのですよっ!!」
お気に入りの剣がいつもの場所に見当たらないので、ベッドに隠れ潜んでいる者に探すように命じたのですが、その者はピクリとも動きませんでした。
「ねぇっ! そこの貴方。
聞こえているのでしょう? 一緒に剣を探しなさいと言っているのですよ?」
ところが、私が何度そう言って話しかけても、ベッドに潜んだ者は、お返事も致しません。いくらなんでもお返事くらいはすべきではありませんか? 私はお飾りと言っても一国の姫です。こんな扱いはこれまで受けたことがありません。
私、もう腹が立ってしまって、思わずその身を手でゆすって起こそうとしました。
「ほらっ!! 起きてっ!! 起きなさいっ!!
私と一緒に剣を探すのですっ!!」
すると、やおらベッドの掛布団がガバッと持ち上がったかと思うと、人影が立ち上がってきたのですっ!!
「って、お前。アホか~~~いっ!!」
「きゃぁっ!!!」
なんという事でしょう。驚くことなかれ。私が背をゆすっていた相手は何と全裸の魔王様だったのです。
魔王様は私に起こされたのがよほど腹立たしかったのか、ガバッとベッドから身を起こして、私を怒鳴りつけました。
「お前、アホちゃうんかっ!?
慮外者が部屋におると気が付いたんなら、お前は先ず逃げんかいっ!!」
「はっ!!」
私は、我に返りました。確かに魔王様の仰る通りですっ!!
「挙句の果てに慮外者に一緒に剣探せやと? 頭おかしいんかお前~~~っ!?」
す、鋭い指摘っ!!
・・・・・・というか、さすがにありえませんわね。普段の私でしたら、そこまで間の抜けたことをするはずもありませんし・・・・・
「あの、魔王様。私、どうしてこうなったのでしょうか?」
「知らんわ~~~っ!!!」
おかしいですわね。おかしいですわ。私も姫の教養として兵法くらいは学んだ身。このようなことになるわけがありません。危険を察知したのならすぐさま行動に・・・・・・。
「あ、そっか。
私、魔王様に全然脅威を感じていなかったのですわ。きっと。
心の奥底で正体不明の曲者に対してさえどこか安心できる人であろうと察知していたから、このような間抜けな対応になってしまったのですわ。
脅威から逃げ出そうにも、脅威を感じていない存在からは逃げようとも致しませんから・・・・・・」
私がそう言って魔王様を見ると、魔王様は顔を真っ赤にされて
「こ、こここ、この俺が脅威に感じんかったやと?
安心できる相手やとっ!!?」
と、何やらフニャフニャ申された後に、ベッドにへたり込むと頭を掻きむしってから
「お前、天然のたらしやな・・・・・・。くそっ・・・。
この俺が安心できる相手やと? そんなん言われたん初めてやわっ・・・・・・」
と、ブツブツ仰っておられました。
・・・・・・もしかして理由はわかりませんが、何やら照れておられるのでしょうか?
不思議なお方。
全てに超越されておられるように見えて、見た目通り少年のように純粋なお気持ちを持たれている・・・・・・。本当に不思議なお方・・・。
・・・・・・いや、不思議・・・というかですわね。
「どうして、全裸で私のベッドに入っておられるんですのっ!!
女性に対して無礼ではありませんかっ!」
私、一番大事なことに今頃気が付きました。
そう、婦女子のベッドにもぐりこむ男など、たとえ絶世の美少年でも許されることではありませんわっ!!
私が怒ってそう言ったにも拘らず、明けの明星様はキョトンとした顔でしばらく私を見つめておられました。そのお顔の愛らしい事っ!! 私、思わず抱きしめてあげたくなりましたが、騙されませんわよっ!!
その美貌に篭絡されかけながらも、どうにか踏みとどまった私は、魔王様に向かって仁王立ちになって強い意志を示しました。
そこに至って明けの明星様は初めて私の言う意味にお気づきになられて、心底呆れたご様子で仰いました。
「・・・いや。お前な・・・。
無礼も何も、お前は俺の嫁やんけ。」
「・・・だったら、なんですか?
それが私のベッドに入っていい理由だとでも?」
魔王様と私の意見は全く食い違っていると思われます。
お互いの言いたいことが全くかみ合わないのです。そこで、魔王様もご納得されないようで何度か首をかしげてから、私にその御意志が明確に伝わるように、もう少しかみ砕いてご説明なされました。
「・・・・・・?・・・・
いや、お前は俺と子作りせにゃならんやろ? そういう契約やで俺ら」
「・・・?・・・・・。子供を作るのにどうして魔王様が私のベッドに入る理由が・・・
はっ!!」
・・・・・いやあああああああ~~~~~っ!!!
私、気が付きましたっ!! 思い出したくないことを思い出してしまいましたっ!!
そうです、地下の封禁の間で明けの明星様が私にお見せになられたいやらしい映像をっ!!
私が魔王様に魔性の者を産ませるあの未来の映像をっ!!
私はあの時知ったのですっ!! 赤子ができるシステムの神秘をっ!!
「ようやっと理解した素振りやなぁ~。
せやったら、もう、わかるやろ?
新婚さんの初夜でなにがおこるのか・・・な。」
魔王様は私が悟ったことに気が付くと嬉しそうに黒ヘビと共に立ち上がると、私に迫ってきました。
「さぁ、そのけしからんサイズの乳房を揉みし抱かせてもらうで。
地下でお前の全裸を見てから、こっちはもう辛抱溜まらんのじゃ」
(やだっ。やだやだやだやだっ!! 怖いっ!!)
私、もう恐ろしくて恐ろしくて、お許し願えるように懇願しました。
「い、嫌ですぅ~~~。お許しください、魔王様。お慈悲をっ!!
わ、私。せめて赤ちゃんを産むまでは清い体でいたいのですっ!」
「順番が逆じゃっ!!
ボケ~~~~~~~~~~っ!!」
魔王様はそういって、私を怒鳴りつけると、しばらく肩で息をするほどお怒りになられていましたが、
「お前みたいな物知らんロリータ頭に手ぇ出して何がおもろいねんっ!! 萎えたわ、ボケっ!!」
と、仰るとお部屋から出て行ってしまわれました。
・・・・何故だか、どうにか、私、今夜は助かったようです。
今夜は・・・・・・。
そう。私が救われたのは夜だけの事でした。
翌朝、私は現実を思い知らされるのでした。
それは、私が失神していた間に明けの明星様が新国家「エデン」の建国を宣言なさせ、私を新王国の初代女王に任命遊ばされたという事実を端女共から聞かされた時に思い出したのでした。
そう、私。それが理由で失神していたのですわ・・・・・・。
酷い。
本当に何という一日だったのです~~~っ!!!
敵国も我が国の臣民も全てが明けの明星様に服従したのでした。
これで私は魔王ルーカ・シューの一人娘としてこの国の王族でありましたが、明けの明星様が新国家の王とおなり遊ばされた上は、私がどうなるかは全ては新国王様であらせられる明けの明星様がお決めになられることでございました。
ところが・・・。
「アホたれ。俺がこんな小国の王なんぞに収まるものか。相手見て物言えよ。
俺はこの世界の全ての異界を支配する器やぞっ!!
新たな新国家はラーマ。お前が治めるんや。」
と、魔王様はそっぽを向かれて、それどころか新王国の王に私を据えると本気で仰ったのです。
「・・・ハイ?」
「いや、ハイ? やのうて、新国家の王はお前や。」
「・・・は?」
「いや。は? やのうてやな。
お前、わかってるか? これからは大変やで?
新体制の国家の整備をし直さなアカンし、戦後で弱体化したこの国を他国が狙ってきよる。しっかり気張らな敵にやられてまうで?」
「・・・・・・」
「おい、聞いとんか?
国の復興と合わせて、戦争指揮。全部お前がやるんや。
お前の新国家やからな。
女王ラーマ。ええな? お前がやるんやぞっ!!」
「・・・・・・・」
・・・って。・・・ええええええええ~~~っ!!!?
む、無理です無理ですっ!!
ウチに王様なんか無理ですよってにっ!!
そんなん全然ええことないですって旦那はんっ!!
「↑とか考えてへんやろうな?
これは決定事項や、お前がやるんやぞ。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ラーマ? 黙ってないで何とか返事せんかいっ・・・って・・・。」
「こいつ・・・・・・。目を開けたまま失神しとる・・・。」
はっ!!
と、私が目を覚ました時、私は自室のベッドの上で寝ておりました。そうして、目を覚ましたばかりの私は何が起きたのか全く分からない状態でした。
(いつの間に私は寝ていたのでしょうか? 一体、何が起こったのでしょうか?)
混乱する頭を理性でどうにか制御しながら、とりあえずは自分の今の状況を確かめるためにベッドから起き上がり窓の外を確認した時、既にお月様が煌々と輝く真夜中でありました。
そうか。私、途中から全く記憶がありませんが、いつのまにか寝てしまったのですね。
・・・・・・でも、無理もありませんわね。全く、酷い一日でしたもの。
お父様に異界の魔王との契約を迫られたり、異界の魔王様が絶世の美少年の上に変態だったり。挙句の果てに魔王様はジャック・ダー・クーばかりかお父様まで殺したり・・・・・・。
ああ、そうね。お父様・・・・・・。可哀想なお父様、もうお会いすることは出来ませんのね。
私の脳裏には父上との幼いころからの思い出が頭をよぎるのですが、あの愛されていると思っていた日々が嘘偽りだったなんて・・・・・・。今でも信じたくはありませんわ。
あれが嘘だとわかるくらいなら、政略結婚の道具にされた方がマシでしたわ。
・・・・・・政略結婚。そういえば、私、明けの明星様の妻にすると宣言されていましたわね。人身御供というからてっきり、魂を吸い取られるものだと思い込んでおりましたのに。
言ってみれば、これも政略結婚なのですわね。お飾りのお姫様にはお似合いの末路でしたわ。
夫・・・。つまりは明けの明星様は私の家族になるという事でよろしいのですわね? お父様という唯一の家族を失って、その日のうちに新たな家族が出来るなんて、本当になんて一日なのでしょう・・・?
そういえば、魔王様は魔神ギーン・ギーン・ラー様を配下にお加えあそばされた後に異界の王とお話しされていましたわよね。確か妹君だとか・・・。ということは、私、異界の王ともご家族になれたということになりますわよねっ!! なんだか、それって本当に素晴らしい事ですわ。
・・・。・・・・・・。・・・・・・・・・。
ああ・・・。だめ、冷静に考えれば考えるほど、今の状況に理解が追い付きませんわ。今日はもう、何も考えずにこのまま眠りましょう。
おやすみなさい。お父様・・・。
と、私がベッドに戻りシーツを引き上げようとした時の事でした。
私は、自分のベッドに違和感を感じたのでございますっ!!
「きゃあああああ~~~~~~っ!!
だ、誰か来て~~っ!! く、くせ者ですっ!! 誰か、私にベッドに潜んでいますわ~~っ!!」
そう、私は気が付きました。私のベッドがこんもりと盛り上がっていることにっ!!
く、くくく、くせ者ですわっ!! 曲者が私のベッドにもぐりこんでいるのですわっ!!
た、戦わなければっ!! え、え~と。剣・・・。剣はと・・・。
と、慌てて剣を取ろうとした私は所定の位置に自分の剣がないことに気が付きました。
「あら? 私、お気に入りの剣をどこに置いたのかしら・・・。」
そういって、キョロキョロと探すのですが見当たりません。
「・・・え~と、あら? いつもはここにあるはずなのに?」
「おかしいですわ。こんなのおかしいですわ。
どこへ行ってしまったのかしら。・・・もうっ!!」
いくら探しても見当たらない剣に私は少し苛立ってきました。そもそも、どうして私が一人で探さないといけないのでしょうか?
「ねぇ、そこのベッドの貴方。貴方も一緒に私の剣を探すべきじゃないかしら?
なにをボーっとしているのです。私は姫なのですよっ!!」
お気に入りの剣がいつもの場所に見当たらないので、ベッドに隠れ潜んでいる者に探すように命じたのですが、その者はピクリとも動きませんでした。
「ねぇっ! そこの貴方。
聞こえているのでしょう? 一緒に剣を探しなさいと言っているのですよ?」
ところが、私が何度そう言って話しかけても、ベッドに潜んだ者は、お返事も致しません。いくらなんでもお返事くらいはすべきではありませんか? 私はお飾りと言っても一国の姫です。こんな扱いはこれまで受けたことがありません。
私、もう腹が立ってしまって、思わずその身を手でゆすって起こそうとしました。
「ほらっ!! 起きてっ!! 起きなさいっ!!
私と一緒に剣を探すのですっ!!」
すると、やおらベッドの掛布団がガバッと持ち上がったかと思うと、人影が立ち上がってきたのですっ!!
「って、お前。アホか~~~いっ!!」
「きゃぁっ!!!」
なんという事でしょう。驚くことなかれ。私が背をゆすっていた相手は何と全裸の魔王様だったのです。
魔王様は私に起こされたのがよほど腹立たしかったのか、ガバッとベッドから身を起こして、私を怒鳴りつけました。
「お前、アホちゃうんかっ!?
慮外者が部屋におると気が付いたんなら、お前は先ず逃げんかいっ!!」
「はっ!!」
私は、我に返りました。確かに魔王様の仰る通りですっ!!
「挙句の果てに慮外者に一緒に剣探せやと? 頭おかしいんかお前~~~っ!?」
す、鋭い指摘っ!!
・・・・・・というか、さすがにありえませんわね。普段の私でしたら、そこまで間の抜けたことをするはずもありませんし・・・・・
「あの、魔王様。私、どうしてこうなったのでしょうか?」
「知らんわ~~~っ!!!」
おかしいですわね。おかしいですわ。私も姫の教養として兵法くらいは学んだ身。このようなことになるわけがありません。危険を察知したのならすぐさま行動に・・・・・・。
「あ、そっか。
私、魔王様に全然脅威を感じていなかったのですわ。きっと。
心の奥底で正体不明の曲者に対してさえどこか安心できる人であろうと察知していたから、このような間抜けな対応になってしまったのですわ。
脅威から逃げ出そうにも、脅威を感じていない存在からは逃げようとも致しませんから・・・・・・」
私がそう言って魔王様を見ると、魔王様は顔を真っ赤にされて
「こ、こここ、この俺が脅威に感じんかったやと?
安心できる相手やとっ!!?」
と、何やらフニャフニャ申された後に、ベッドにへたり込むと頭を掻きむしってから
「お前、天然のたらしやな・・・・・・。くそっ・・・。
この俺が安心できる相手やと? そんなん言われたん初めてやわっ・・・・・・」
と、ブツブツ仰っておられました。
・・・・・・もしかして理由はわかりませんが、何やら照れておられるのでしょうか?
不思議なお方。
全てに超越されておられるように見えて、見た目通り少年のように純粋なお気持ちを持たれている・・・・・・。本当に不思議なお方・・・。
・・・・・・いや、不思議・・・というかですわね。
「どうして、全裸で私のベッドに入っておられるんですのっ!!
女性に対して無礼ではありませんかっ!」
私、一番大事なことに今頃気が付きました。
そう、婦女子のベッドにもぐりこむ男など、たとえ絶世の美少年でも許されることではありませんわっ!!
私が怒ってそう言ったにも拘らず、明けの明星様はキョトンとした顔でしばらく私を見つめておられました。そのお顔の愛らしい事っ!! 私、思わず抱きしめてあげたくなりましたが、騙されませんわよっ!!
その美貌に篭絡されかけながらも、どうにか踏みとどまった私は、魔王様に向かって仁王立ちになって強い意志を示しました。
そこに至って明けの明星様は初めて私の言う意味にお気づきになられて、心底呆れたご様子で仰いました。
「・・・いや。お前な・・・。
無礼も何も、お前は俺の嫁やんけ。」
「・・・だったら、なんですか?
それが私のベッドに入っていい理由だとでも?」
魔王様と私の意見は全く食い違っていると思われます。
お互いの言いたいことが全くかみ合わないのです。そこで、魔王様もご納得されないようで何度か首をかしげてから、私にその御意志が明確に伝わるように、もう少しかみ砕いてご説明なされました。
「・・・・・・?・・・・
いや、お前は俺と子作りせにゃならんやろ? そういう契約やで俺ら」
「・・・?・・・・・。子供を作るのにどうして魔王様が私のベッドに入る理由が・・・
はっ!!」
・・・・・いやあああああああ~~~~~っ!!!
私、気が付きましたっ!! 思い出したくないことを思い出してしまいましたっ!!
そうです、地下の封禁の間で明けの明星様が私にお見せになられたいやらしい映像をっ!!
私が魔王様に魔性の者を産ませるあの未来の映像をっ!!
私はあの時知ったのですっ!! 赤子ができるシステムの神秘をっ!!
「ようやっと理解した素振りやなぁ~。
せやったら、もう、わかるやろ?
新婚さんの初夜でなにがおこるのか・・・な。」
魔王様は私が悟ったことに気が付くと嬉しそうに黒ヘビと共に立ち上がると、私に迫ってきました。
「さぁ、そのけしからんサイズの乳房を揉みし抱かせてもらうで。
地下でお前の全裸を見てから、こっちはもう辛抱溜まらんのじゃ」
(やだっ。やだやだやだやだっ!! 怖いっ!!)
私、もう恐ろしくて恐ろしくて、お許し願えるように懇願しました。
「い、嫌ですぅ~~~。お許しください、魔王様。お慈悲をっ!!
わ、私。せめて赤ちゃんを産むまでは清い体でいたいのですっ!」
「順番が逆じゃっ!!
ボケ~~~~~~~~~~っ!!」
魔王様はそういって、私を怒鳴りつけると、しばらく肩で息をするほどお怒りになられていましたが、
「お前みたいな物知らんロリータ頭に手ぇ出して何がおもろいねんっ!! 萎えたわ、ボケっ!!」
と、仰るとお部屋から出て行ってしまわれました。
・・・・何故だか、どうにか、私、今夜は助かったようです。
今夜は・・・・・・。
そう。私が救われたのは夜だけの事でした。
翌朝、私は現実を思い知らされるのでした。
それは、私が失神していた間に明けの明星様が新国家「エデン」の建国を宣言なさせ、私を新王国の初代女王に任命遊ばされたという事実を端女共から聞かされた時に思い出したのでした。
そう、私。それが理由で失神していたのですわ・・・・・・。
酷い。
本当に何という一日だったのです~~~っ!!!
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