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錬金術師のヤリ始め

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 王都に魔法薬の店を開いて一年。売り上げは順調で、近所の人たちからはある程度の信頼を得られているはずだ。

 元いた世界とは違ってここでは医者の数が少ない。理由は回復魔法という便利な存在によるところが大きかった。

 簡単な傷や病気であれば医者の肩書がない者でも治せてしまうため、わざわざ病院を頼る発想には及びにくいらしい。ただ、そうは言っても回復魔法ではどうにもならない病気はあるし、すべての人が回復魔法を満足に使えるわけでもなかった。

 そこで考えたのが魔法薬の店だ。ある興味から錬金術を学んだおかげで頭痛薬や胃腸薬など、日常的にあれば便利な薬を作ることができる。結果を見れば、気軽に通える病院の立ち位置を目指したのは成功だった。

 そろそろ欲望へ忠実になるときか。


――カラン。


 今後を考えながら店番をしていると、客がやってきたのをドアベルが知らせてくれた。

「こんにちは、シグレさん」
「いらっしゃい、リナリアさん」

 店に入ってきたのは近所に住む常連、リナリアさんだ。金色の長い髪が綺麗な美人さんで、十四歳の娘さんがいるとは思えないほどに若く見える人妻だった。

 旦那は騎士でひと月以上の期間、家を空けるのも珍しくないと世間話で聞いている。そして、気分を良くする効果のある陶酔薬を買っていくことが多かった。

「今日はどうしましたか?」
「騎士学園から休暇で娘が帰ってきているのですが、熱を出してしまって……」
「疲れがたまっていたのかもしれませんね」
「魔力過剰症の可能性はないでしょうか?」

 魔力過剰症は魔力の才能に恵まれた子供にありがちな症状だ。体内で生成される魔力量が多く、過剰な魔力に対する扱いに不慣れな年頃で引き起こる。リナリアさんは不安そうにこちらを見ていた。

 命にかかわるのは稀な症状だが、親として心配するのは当然だろう。疲れて見えるのはそんな事情もあってのことだったか。

「良ければご自宅に窺って診ますけど、どうですか?」

 ゆったりしたワンピースを着た彼女の盛り上がる胸元を見て、自然と提案が口をつく。リナリアさんは口元に手を当てて少し驚いたような表情をした。

「時々行かせてもらってるんです。リナリアさんにはいつもご利用いただいているので、それぐらいはさせてもらいますよ」
「その、でしたらお願いしても……?」
「もちろんです。薬を用意しますからお待ちください」

 実際は店に訪れた客の家に行ったことなど一度もないが、リナリアさんはずっと狙っていた相手。今日は楽しい日になりそうだ。





 薬品や道具を入れたバッグを肩に下げて向かったのは貴族街。一軒一軒が大きいのは当たり前で、家同士が無駄に離れているのも特徴的だった。

「ここです」

 リナリアさんが足を止めたのはその中でも立派な部類の家だ。レンガ造りの外壁に赤茶けた屋根が目を引く。門から玄関まで伸びる石畳は十歩じゃとても足りず、横には綺麗に手入れされた庭が広がっていた。

 褒めるべきか一瞬悩むが思いとどまる。そんなことで喜ぶ人種ではないか。

 家の中に招かれてエントランスに入る。ゴテゴテした装飾は少なく印象は良かった。

「娘は二階で寝ていますので、早速診ていただけますか?」
「わかりました」

 階段を上がってすぐの部屋、中央に置かれたベッドの上でリナリアさんの娘が眠っていた。

 部屋を見回すが年頃の女の子にしては色気がない。机以外には鞘に納められた剣が複数飾られ、壁に騎士が描かれたタペストリーがあった。

 騎士学園で寮生活を送っているため、必要な物は持ち出しているのかもしれない。この世界では大概の学園が全寮制だった。

 ベッドの枕元に立ち、汗が伝う首に触れてみる。

「ん……はぁ、はぁ……」

 苦しそうな息遣いを聞きながら身体に流れる魔力を感じる。錬金術の師匠について回り色々なことを学ぶ過程で、魔力過剰症などは何度も出会ってきた。それなりの錬金術師になったという自負はあるのだ。

「魔力の流れが乱れていますね」

 内にある魔力量も年頃にしては多い。さぞ周りに将来を有望視されているのだろう。

「魔力過剰症で間違いないと思います」
「あの、薬は……」

 リナリアさんはベッドの傍らにしゃがんで娘の手を握り、不安げな顔でこちらを見る。前傾姿勢になっているため谷間が覗いた。

「持って来ていますので大丈夫です」

 はやる気持ちを押さえてバッグから小瓶を取り出す。

「身体強化薬です。無理に魔力を抜く方法もありますが、身体に魔力を馴染ませ自然に放出させると負担が少なく済みます。薬の身体強化は通常の魔法とは違い体の内側に影響しやすくて、過剰な魔力の流れに抵抗できるようになります」

 まくし立てるだけまくし立ててリナリアさんに薬を渡した。

「飲ませてあげてください」

 後ろに引いて枕元を譲る。

「ユリ、お薬よ」
「んっ……」

 娘さんが頭を少し持ち上げられ薬を飲まされる。名前はユリちゃんか。母親に似て綺麗な顔立ちをしているが、後ろから見たリナリアさんのデカ尻につい目が行く。ムラムラしてチンコが勃ってきた。

「どうですか?」
「っ……!」

 姿勢を低くしてリナリアさんの肩に手を置き、ユリちゃんの様子を覗き込む。ついでにデカ尻へ股間を当てて感触を確かめた。

「呼吸は楽になったと思います……」
「一日程度で熱は引きます。あとは静かに眠らせてあげましょう」
「はい……ありがとうございました」

 リナリアさんから手を離して一緒に部屋を出る。階段を下りてリビング、薬代を手渡され仕事は終わった。残るは個人的な用事だけ。

「そうだ、お得意さんにはサービスで魔法薬をお渡ししてるんですよ。リナリアさんも気を揉んでお疲れのはず。この陶酔薬を飲んでゆっくりお休みください」

 バッグから出した小瓶を渡すとお礼を言い、素直に受け取ってくれた。

 貴族だったりある程度豊かな生活を送っている客は習慣なのか、プレゼントに対して後ろ向きな発言をしない。もらうのが悪いだとか遠慮する態度は見せず、もちろん代金を払うこともなかった。

 その代わり、次回店に来た時には多くの品を買ってくれる。前提に信用という条件が必要になるが。

 リナリアさんが小瓶を置こうとするので飲むように勧めた。怪しく見られてもここは飲んでもらわないと困る。

 若干の不審者振りも心配と捉えたらしく、微笑みを浮かべながら飲んでくれた。

「元気になりました?」
「ええ、はい……」

 そんなすぐに効果は表れないし、いつもと微妙に味が違うはず。リナリアさんも気づいているのか、不思議そうに何度か小さく頷いた。中身が陶酔薬ではないのだから当たり前だ。

「あ、もしかして」

 慌てた素振りでバッグに手を入れ、やってしまった感を出して説明する。

「すいません。陶酔薬とは違う魔法薬を渡してしまったみたいです」
「えっと、でしたら私が飲んだのは……」
「避妊魔法薬です」
「え?」
「ああ、効果は一日で消えるので安心してください」
「でも、そんな……」

 驚くのもわかる。この世界での避妊方法はひどく粗末なもの。そして、それこそが錬金術を学んだ理由だった。

「試してみますか?」

 勃起して仕方ないチンコに触れると、リナリアさんの視線が動いて生唾を飲んだのがわかった。
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