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二話 木を叩いただけでレベルアップ⁉︎

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 終わらない密林。
 雲ひとつない青空。
 聞いたことない生物達の鳴き声。
 見た事ない植物。
 
「ここ、どこだよ」

 迷子になりました。
 あの後地図を渡された俺は、すぐにダンジョンに向かわされた。
 行きたくないと言いたかった。
 でもギルドを辞めろと言われるのが怖くて言えなかった。
 これが社会というものなのだろう。
 突如舞い降りた理不尽になす術なくおもちゃにされる感覚。
 助けを乞うても誰も来ず、いるのは頼りない自分だけ。
 はぁ、本当頼りねぇな俺。

「なんだあれ」

 自分の頼りなさに絶望しかけていたとき、前方に黄金に輝く木が見えた。
 とりあえず金の匂いがするので近づいてみる。
 うわぁ、なんだよこれ。
 おそらく純金であろう輝きを放つその木は、威圧感全開でそこにあった。
 なんとなく触ってみる。
 なんだろ、冷んやりする。
 あと手触りめっちゃいい。
 次に叩いてみることにした。

「よっと」
『ピコン!レベルアップおめでとうございます、レベルが50上がりました』
「え?」

 レベルアップ?おいおい木を叩いただけだぞ。
 しかも50だと、真面目にやっても一年で10レベ上がれば良いほうなのに一気にその五年分だと……。
 なにかのバグだろ。
 まぁでも、おもしろいから叩いてみよう。

「そい!」
『ピコン!レベルアップおめでとうございます、レベルが100上がりました』
「わ、わーい」

 え、怖い。
 なにこれ、実はかなりやばいものなんじゃないか。
 さっきよりも少し強く叩いただけで、十年分の経験値きたんだけど。
 で、でもなんか楽しいぞ。


『ピコン!レベルアップおめでとうございます、レベルが30上がりました』
「ち、30かよ」

 あれから無心で30分ほど木を叩きまくった。
 叩けば叩くほど上がるレベルが楽しくてついやり過ぎてしまった。
 なんとなく自分のステータスカードを見てみると、レベルが440になっていた。
 この木は、叩いたところによってもらえる経験値にバラつきがあるらしく。
 MAXは100で、最低が5だった。
 僕のレベル440は、おそらく国家武力に相当する。
 その理由として、例えばこのステータスカードのパラメータにある筋力7000という数字。
 一般男性の筋力がだいたい50と言われ、レベル10の冒険者で200くらいと言われている。
 つまり数値上だが、俺は筋力がとりあえず恐ろしく高いらしい。
 別に体格に変化は生じてないので、自分でも正直疑っている。
 まぁでもこれ以上叩いても、俺が人間兵器である事に変わり無いしここら辺で叩くのやめよう。
 つか、この木どうするか。
 悪用されたら大変だけど燃やしたりはしたくない。
 うーん、困ったなぁ。

「まぁでも、とりあえずなんかありがとな」

 そう言って俺はまたその木に触れた。
 すると触れた瞬間、黄金の木は枯れ始めた。

「え、なんで?」
『ギフトスキル発動、ドレインタッチ』

 ドレインタッチ?
 なんだそれ、ていうかギフトスキルってなんだ……まてよ聞いた事があるぞ。
 レベル100を超えるとスキルがもらえるって話。
 本当だったのか。
 つかドレインってまさか。

『ピコン!レベルアップおめでとうございます、レベルが559上がりました』

 た、大変だー。
 レベルが999になってしまった。
 これはもう、国家武力とかそういうレベルじゃなくて神そのものだぞ。
 試しにステータスカードのパラメータの筋力を見てみた、筋力99999と書いてあった。
 もしかして俺、なにかやっちゃいけない事やったのか。
 
『ギフトスキル発動、解析』

 なんかスキルが発動した。
 一つだけじゃないのか。
 ……なんだ、急速に頭に情報が流れ込んできた。
 なになに、ギフトスキルはレベルが100上がるごとに一つ習得でき、現在俺には九つのギフトスキルがあると……。
 この異次元パラメータに加えて、どうやら俺にはスキルが九つあるらしい。
 なんだがいよいよ、化け物みたいな感じになってきたぞ。
 まぁでもとりあえず家に帰るか。
 話はそれからだな。

『ギフトスキル発動、広域知覚センサー』

 な、なんだ、俺の周りの地形の情報が流れ込んでくるぞ。
 か、帰れる、これなら帰れるぞ。
 ありがとうスキル!
 ていうかスキルはこれだけでいいんだけど、あとついでにレベルもいらない。
 なんでこんなことになるんだ。
 俺はただ高給取り不労者となって、悠々自適に暮らしたいだけなのに。
 神よ、何故俺なのですか。
 こんな力俺よりもやる気があって、才能もあるジョンに与えてくださいよ。
 俺、仕事しませんからね絶対に。
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 






 
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