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四話 おいしいダンジョン料理の作り方

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 本日のメニューは槍豚のビーフストロガノフ風煮込みとさっき切ったパンの木を焼いたもの。
 あと、精進豆の炒め物でいこうと思っている。
 食材に槍豚を選んだ理由として深い意味はなく、単純に煮込むと美味しいからだ。
 槍豚の肉は刃を通さないほど硬いがじっくり煮込むと柔らかくなり、長時間煮込むから味もしっかり染み込んでおりとても美味しくなる。
 パンの木は文字通りパンのように柔らかい木のことでだいたい太さは成人男性の腕二本分ほど、焼くとパンのようにサクサクの食感になる。
 精進豆は食べると元気が出る豆で塩で炒めると結構おいしい、なにより疲れてそうなユイカさんにはこれが一番だろうと思う。

「ユイカさん、喜んでくれるかなぁ」
「きゃあああ!」
「え、なんだ?」

 俺が夕飯作りをしていると突如ユイカさんの悲鳴が湯浴み処から聞こえてきた、大変だ!もしかしてモンスターが入ってきたのか。
 そんなことあるはずないがとりあえず行かなくては。

「ユイカさん!大丈夫ですか……って、あ!」
「え、あ、タツベイさん?」

 しまった!つい慌てて確認せずに入ってしまった。
 案の定湯浴み中ということもありユイカさんは一糸纏わない姿をしていた。
 やばい俺はなんてことを……というかユイカさん意外といい身体してるなぁ、って何考えてんだ俺は!

「す、すいませぇん」
「い、いえいいんです、それよりこのワンちゃんは一体……」
「ワンちゃん?」

 まずいと思い下に逸らしていた目をユイカさんの方へ向けると足下に黒い小型犬がいた。

「ああケルベロスですか」
「え、ケルベロス?」
「そうです、そいつはケルベロス……あっ」
「ん?なっ、そ、そんなしっかりは見いでください!」

 しまったー、ついユイカさんの華奢な身体のわりには出ているところはしっかり出ている美しい身体をじっと見てしまったぁぁ。


「もういいですよ」
「あ、すいません失礼しまーす」

 一度出てから改めて湯浴み処に入ると、しっかり服を着たユイカさんが少し膨れた顔で立っていた。

「先程は本当にすいません」
「いやいいんです、いいんですよそんなことは」

 そう言ってユイカさんはプイッと顔を逸らしてしまった。
 やってしまったいい歳して年頃の娘の身体を凝視してしまうなんて、罰として1週間禁酒しよう。

「それよりタツベイさん、このワンちゃん本当にケルベロスなんですか?」

 ユイカさんはそう言って大人しく座っているケルベロスの頭を撫でた。

「ええそうですよ、まぁ幼体ですけど」
「ど、どこで手に入れたんですか?」
「まぁちょっと色々あって、そいつ幼体ですけどそこそこ強いのでこの小屋の番犬みたいな感じで飼ってます」
「い、色々ですか……」

 一年ほど前にとあるクエストでこいつの親を俺は殺した。
 その時拾ったのがこいつだ。
 流石にまだ小さい子犬ほどの大きさだったこいつを俺は殺す事ができなかった。
 まぁ本当はそれでも殺処分しないといけないんだけどね……。

「まぁ色々です、基本人のことは襲わないので普通の犬だと思って接してもらって大丈夫です」
「それはそれでなんか怖いですけど、確かにこの子からはあの凶暴なケルベロスって感じはしませんね」

 そう言ってユイカさんはケルベロスを持ち上げて抱っこした。
 もしかしてユイカさん犬とか結構好きなのかな。
 心なしかさっきよりかはリラックスしてるように見えるし。
 まぁなんにせよ緊張が解れてよかった。

「ではもう少しで夕飯できるのでリビングに行きましょうか」
「わかりました」

 1人でダンジョン来たりとか、最初に選んだダンジョンが難易度は大したことないけど全然人気のないこのダンジョンだったりとか、この子も色々ありそうだよな……。
 夕飯の時少し探りを入れてみるか。
 
 
 







 
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