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第二章 裏切り

第四話

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芽衣side

はぁ。ムー君大丈夫かな。こっちは戦闘面では問題ないんだけど

「先生!!後ろから来てます」
「分かってる。“ウインド・ドラグナー”!!!!!」
「アハハハハハ!!!どいたどいた!!主人公が通るぞ!!!」

1人テンション高い人がいるんだよね。ムーくんはたしか眞城先生と騎士の人達と一緒だったはずだけど・・・。ん?そういえば眞城先生って職業ってなんだったんだろう。

「先生!!こっちにおびき寄せてください!!俺が仕留めます」
「よし分かった!!そっちに飛ばすぞ!!」
「アッハッハッハッハ!!主人公である俺の前に敵はいねぇ!!」

にしてもなんだろう?眞城先生がムーくんと一緒にいると思うだけでもやもやする。うーん。なんなんだろうこの感覚は?帰ったらムー君に聞ぃこうっと。にしても

「まとまりがないんだよねぇ。なんでだろう?」

迷宮に入ってからずーとこんな感じ。まとまってるように見えてるけど実際はまとまっていないんだよね。

河原君は協力しているようで騎士の人から聞いた経験値の多い魔物しか倒していない。

中谷先生は特に打つ必要のない上級の魔法しか撃っていない。

木村君はさっきから「主人公」がどうのこうのしか言っていない。

私は私で「回復役だから後ろに下がってて」と言われて戦いに参加させてくれないから3人の様子を見ることしかできない。

「芽衣!!危ない!!」
「言われなくても分かってるよ」

後ろから来ていたごぶりん(?)というらしい魔物を杖で殴った。あっ。しまった。ついいつもの癖で武器で攻撃してしまった。いけないいけない。

「ウォーターボール」

そう言うと水の球が現れて先ほど飛ばしたごぶりん(だっけ?)に向かっていった。すると、その水の球がごぶりんの頭を包みこみ、水の球が弾けるとごぶりんは倒れ込み、ピクリとも動かなかった。確認してみると息をしていなかった。どうやら溺死してしまったようだ。

「初級魔法でここまでの威力があるならそこまで強い魔法は必要ないと思うんだけどなぁ」

そう小さく口にして「先に進もう」という河原君の声がしたので進むことにした。

隣で河原君が「大丈夫だったか?怪我はしなかったか?」と声かけをしていたが、それよりもムー君のことについて考えていた。そのせいか、そのときの河原君の目が正気でなかったことに気づいていなかった。

それに気づいて入れば避けられたかもしれないことがあったというのに。

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霧雨side

「ふぃー。こいつでおしまいか」

わりと長い時間をかけて最後の一体を斬り伏せた。結構固かったとはいえ倒せないわけではなかった。まあ、流石に自分の刀を使ったわけだから楽勝とはいえなかったわけだが。

「さて、とっとと先生達と合流するか」

そう思いながら奥に進んだ。それがこれからの俺の運命を変えることにつながることを知らないまま。
__________________________________

「なんだこれ?」

迷宮の奥に進むと、そこには帽子を被った人と同じぐらいの大きさの虫がいた。

「なんだとはなんなんだい?僕はここの番人さ。ここを通りたいのなら。僕の問いかけ答えなさい」

ギターを弾きながら無駄にいい歌声で言ってきた。正直な感想でいうと気持ち悪いしかないわけだが。ぶった斬りたいという衝動を抑えながら聞き返した。

「問いかけ?一体何を聞くんだ?」
「ソーレワー。トテモカンタンナトーイーサーーーーー!!」

この虫をぶち殺したいと思った俺はおかしいだろうか?というか一瞬だが刀を取り出そうとしたぞ。
だが、目の前の虫はその俺の行動を見なかったことにしたのかギターを取り出すと・・・。

「あ、ちょっと待った」

先に進む前に聞かなくちゃいけないことがあった。

「ん~~♪なんだい~~♪」
「俺より前にここを通った奴はいるのか?」

もし進んでいないなら合流できないからな。

「そういえば~~♪今さっき鎧を着た人達がここにき~た~よ~♪そしてそのまま帰って行ったんだよ~~~♪」

この虫はいちいちギターを弾くな。わりとイラッてくるんだよなあ。
にしても帰って行った?別れた場所からここにくるまでは一本道だったはずなんだが会っていないぞ?

「ココワ~♪イキトカエリジャ~♪チガウバショエトツーヅク~♪ソンナフシギデオカシナクウカン~♪ラーララーラー。シュツゲンスルテキモカワルヨーーー!!!」

いちいち歌にしていうのがマジでうざい!!ここまでうざいと思ったのは数年ぶりだぞ!!

というか敵が変わる?どういうことだ?さっきはスペードとハートだったから今度はクラブとダイヤか?トランプ兵だし。

「まあ、問い掛けは今はいい。俺も戻るからな。次来たらするよ」
「ザンネンダーケド~♪ソレガケンメイナハンダン~♪トイカケコタエテサキニススムモノ~♪イマーダカーツテ~♪ダレモモドッテナーイカラーーーー!!!」

・・・誰も戻ってきていない?

「確認するんだが。この先を進んだら一体何があるんだ?それを聞かせてくれ。あ、ギターは弾かなくていい」
「コッノサキ アッルノワ ジーゴク~♪ ソシッテ ジーゴク~♪ サイテイレベルワ2000ダイサ。メイキュウクリアのホウシュウワ、ハカナキキボウカユメナキゼツボウ。キミガテニイレルノハドチラダロ~~♪」

ギターは弾かなかっただけで話し方が変らねぇ。ほんと腹が立つ。まあ、それよりも気になるのは

「希望と絶望?なに、殺し合えばいいのか?それとも論破でもしろと?」
「ソレニコタエルコトハナイ。ソノコタエヲシルノハユウキアルモノ。ススマヌナラバココカラサリナ。ビビリハトットトドッカイケ~♪」

ほう。ついに言ったか。俺に対してびびりと言ったか。そうかそうか。そう思った途端。俺は自然と刀を取り出していた。なにが言いたいのかというと。

「死ねやオラァァァァァァァァァァ!!!!」

早い話が我慢の限界だった。
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あれから体感で30分くらい経過した。

「ハア、ハア、なんで当たんねえんだよ」
「ムダサムダムダキミノコウゲキ。オイラカラミテミリャカガトマッテミエル。ソウサ、オイラガムシダーケーニ~♪」

こいつ、下手すりゃさっきのトランプ兵共より強いぞ。刀しか使っていないとはいえ俺の攻撃を全部ギターで的確に防いできやがる。

ていうかあのギターなんだよ!!刀がもろに当たっているのに傷一つ付いてないぞ。どんだけ硬いんだよ。

「はあ、仕方がない。今回は諦めよう。だが、次は仕留める」

そう言うと俺は来た道を戻った。

「ハイハイデマシタマケイヌノトオボエ。コノサキイキタキャマタオイデ。トイヲトイタラトオラセテヤールーゼ~~♪」

内心「次はぶっ殺す」と思いながら。
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来た道を戻っていると、不思議と魔物に会わなかった。なのでなんの障害もなく入り口まで戻れた。

だが、そこには異様な雰囲気が漂っていた。
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