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第一章 新たな世界

第二話

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王様の案内に従いながら移動すると、周りをたくさんの水晶に囲まれた部屋にたどり着いた。

その部屋の中央付近まで移動すると、そこには純白の鎧を身に纏っている男と深い緑色の鎧を身に纏っている女がいた。

「勇者の皆様にこの2人を紹介しよう。この髪が長く、昔から町娘から貴族令嬢まで全てにモテている俗にいうイケメンというこやつはワーキア・ドミニオン、そしてもう片方はナミニク・ドーフェルだ。2人とも騎士団長をしておる。2人とも、挨拶しなさい」

ワーキアという人の扱いひどくね?あと、ナミニクっていう人の紹介短かくね!?まあ、そこんところは置いておいて。

王のその言葉に2人がうなづき、自己紹介を始めた。

「お初にお目にかかります。勇者の方々。私の名前はワーキア・ドミニオンと申します。先程国王様がおっしゃっていた通りこの国の騎士団長をさせていただいております。剣や槍といった近接用の武器だけでなく、ブーメランやチャクラムなどの投擲武器の指導に当たらせていただきます」

なるほど、かなりのイケメンだ。それに言葉遣いも丁寧で騎士団長ときたものだ。・・・爆ぜろ。

「そして私が魔法騎士団騎士団長ナミニク・ドーフェルと申します。私は魔法を用いた戦闘と魔法の指導をさせていただきます。指導に熱が入ることも多々あると思いますが、どうぞよろしくお願い致します」

なんか言葉遣いが丁寧過ぎてむしろ気持ち悪いな。ま、どうでもいいんだけど。こちらの顔は美人な令嬢といったところかな。

「「「「よろしくお願いします」」」」
「うむ、では早速だが勇者の皆様、こちらの石板に手をかざしてくだされ。そうすることで自分たちの職にあった武器が現れる。その武器はこの世界に存在するものかもしれんし、別の世界の武器なのかもしれない。ただし共通していることは、その武器が誰の物でもないということだ。だが、それでもそこの2人が持っている武器よりは強いものが出てくる。その武器を何の不自由もなく使えるようになればこの城にある伝説級の武器を与えようと思っておる。
では、早速だが天命の勇者の方々から始めてくだされ」
「わかりました」

さっそく健一が手をかざす。すると剣が一本出てきた。

__________________________________
聖剣 ウイングバード 
英雄級

遥か昔の勇者が使用していたと言われる聖剣。風の魔力を内部に宿しており、持ち主の魔力残量が尽きるまで空を飛び続けることができる。

飛翔 消費魔力 10毎秒
__________________________________

・・・この聖剣を持ってた勇者ってすごい剣の使い手だったんだな。とてもじゃないが素人には使えなさそうだな。

そんな俺の感想に反して健一は喜んでいた。

「やった!!聖剣だ。これで僕も勇者だ」

・・・こいつこんな反応するやつだったっけ?どうでもイイのだが。それに続くように芽依、木村先生、中谷が続いて行った。結果は以下の通りだ。

__________________________________
聖杖(せいじょう)ホルン
英雄級

天界の木で作られた魔法杖。持ち主の魔力消費を半分にする効果がある。
____________________________________________________________________
魔導師の籠手
英雄級

鉱石化した魔力の塊を使って作られたもの。魔法名を言うだけでその魔法を使えるようになる。
____________________________________________________________________
魔将の指揮棒
英雄級

自分の支配下にあるものの性質を向上させる効果を持ち、指揮力が上がる。
__________________________________

「やった。なんか凄そうなのが出た」
「ふ、ふ、ふ。これで伊那ちゃんは俺のものだ」
「これが、これこそが勇者ダァァォ!!!!!!」

なんか危ない人が2人ほどいた気がする。まあ、そんな言葉どうでもいいか。そんなことよりもとっととステータスの偽装でもしておこう。・・・・・まあ、こんな感じでいいか。

__________________________________
遠島 霧雨(男)17歳
レベル1

魔力 10
攻撃 20
防御 20
敏捷 40

スキル
なし

称号
異世界の勇者
__________________________________

少しやりすぎたか?ま、これでいいだろう。ん?そろそろ俺の番か。よし、やってみるとしよう。さっきの説明を聞いた限りだと何も出てこないだろうけどな。あ、その前に王様に念話っと。

『偽装おわたで』
『うお!!いきなりなんだ!!』
『嫌だなぁ。俺と王様の仲じゃないか』
『それとなんの関係があるのだ?』
『ああ、今更だけど質問。もし既に自分に一番合う武器を持っていた場合は武器召喚ってどうなるの?』
『ん?持っておるのか?』
『シツモンニコタエロヤバラスゾワレ』
『・・・・・すまん。質問に答えよう。既に持っている場合は何も出されずに終わる』
『へえ。他に出ない場合ってあるの王ちゃん』
『お、王ちゃ・・・・ゴホン、他に出てこない場合は1つしかない。それは』
『ひょっとしてそんな武器は存在しないっていうこと?』
『なんだ知っておったのか。それを聞いてどうするつもり・・・お主、まさか』
『んじゃそういうことであとヨロ』
『おい、ちょっとは待たん『残念。俺の番になったから。バーイビー』あ、お』

ガチャン

なんか言いかけてたきがするがまあいいか。

「最後の者は前に出てください」
「はい」

前に出た俺は早速言われた通りに手をかざした。すると石板が輝きはした。だが

「何も、出てこない」

ひかっただけで終わった。まあそうだろうな。だって既に持ってるもん。

そんなことを考えていると、『それを待ってました』と言わんばかりに豚のように太った者が来た。・・・・・そういえば召喚された部屋にこんな奴いたな。流れからしてこいつは大臣か?

「なんとなんとなぁんということでしょう!!まさかまさかまぁさか勇者の方々の中に無能が混じっていようとは!!」

うるさいよ。というかその喋り方やめろイライラするとても。

「どうせステータスもカスなのだろう。どれどれどぉれ、見てやろうではないか」

やめろよぉ。個人情報漏洩はんたぁい。

「ん、ん、ん!?これはこれはこぉれは、カスだカスだと思ってはおったがまさかここまでとは。こんなゴミのようなステータス、この場にいるものはおろか赤ん坊ですらここまで弱くはないですぞぞぞ!!」

ひどいやい。王ちゃんにすらまだ見せたことがないのに。(嘘)
・・・というかさっきから言いたい放題言うなぁ。こいつ絶対いい死に方しないぞ。

「他の勇者の方々、このゴミのようなステータスをご覧くだくだくだぁさい!!」

あ、こら。勝手に俺のステータスを見せるなよ。・・・恥ずかしいだろ。

「これは、確かに」
「酷いな。まあ、安心しろ。伊那ちゃんは俺が守ってやるからな。お前は部屋に閉じこもって震えていろ」
「大丈夫だよ。私が守ってあげるから」
「なん、だと。俺が主人公じゃないのか・・・」

ああ、やっぱり哀れんでやがりますね。中谷先生に至ってはなんか腹立つ言い方だし、最後の奴、名前は確か、えぇと・・・・・最後の奴はツッコミどころが多すぎて話にならん。王ちゃんに至っては「いくらなんでもやりすぎだろ」
とでも言いたげな顔をしている。別にいいでしょ。いじるのはこっちなんだから。

「国王様!!このようなゴミ、戦闘に参加させることはおろか、ましてや国税を使ってやる義理はないと思います。いまいまいぃますぐにでも殺した方がよろしいと思います」

なんか狂ったことを言い出したぞ。ま、そのときは偽装解くけど。というか地味に王女と騎士団長2人が頷いていやがる。・・・そういえば王妃はどこだ?

「まあ待て、こちらがお呼びしたのだ。霧島殿、後で私の部屋に来なされ。これから先どうするか話し合おうぞ」
「は、はい」

そう王さ・・・王ちゃんが一緒に来いと言わんばかりに歩き始めた。なぜか大臣みたいな例のウザデブを連れて。まあ、話の流れからして付いて行った方がいいだろう。そう判断して付いて行くことにした。

例のウザデブの反応はまあ分かる。ま、ここには38人(一クラス36人、先生1人、教育実習生1人)もの勇者がいるんだ。無能な奴が1人いるかいないかでだいぶ違うからな。そう、だから正しいんだ。だから、静まれ俺の右腕ぇぇ!!

「・・・・一体何をしておるのだ貴殿は」
「まったくでござござごぉざいます!!国王様!!やはりいますぐにでも国外追放か処刑か投獄のどれかをした方がよろしいかと思います」

嗚呼ん?いいかげんぶっ殺したろうか?なんかめっさイライラしてきた。

イライラとストレスが溜まりに溜まっていくのを我慢し続けていると、王ちゃんと例のウザデブが立ち止まった。ふと顔を上げると、そこには豪華な扉があった。

「着いたぞ。ここが我の個室だ。さあ、入りたまえ。なぁに、盗聴や襲撃の心配はするな。その辺は安心してくれて構わない」

若干疑いながら部屋に入ると、そこにはいままでに見たことがない空間が広がっていた。

クマの剥製(異世界産)
天蓋付きのでかいベッド
見渡す限り金の壁
メチャクチャ高そうなシャンデリア
そう、いま見ていることを一言で表すと、それは

「なんか成金みたいな部屋ですね」
「素がでとるぞ素が」

ん?ここで例のウザデブがなんか言ってくると思っていたのになんも入ってこないぞ。しかも襲撃者は1人もいないと言っておきながらベッドになんか居るじゃないか。まさか

「・・・連れ込んだ?」
「連れ込んどらんわ!!我はフィー一筋なのだ!!それと素がでとるゆうとるだろうがぁぁ!!!」

王ちゃん、さっきからなんかハイテンションだな。疲れないものなのか。

「ゴホン」
「お、そうだった。早速だが、本題に入る前に2つほどお主に知っていてもらいたいことがある」

ん?なんだ。改まって。あと、今の咳、多分例のウザデブがしたんだな。別に良いんだけど。

「それは構いませんが「もういろいろと素が出ておるからもう本音で良いぞ」・・・んじゃそうさせてもらうよ。それで?俺に知ってもらいたいことって?」
「それで本当に変えるとは・・・まあ、まず1つ目だが、この者の紹介をしよう」

そう言って王ちゃんは例のウザデブの肩に手を置いた。そういえばまだ自己紹介していなかったな。まあ例のウザデブと心の中で呼ばせてもらうのだが。

「こやつの名はこの姿ではマーシャル・ストロガノフだ」

この姿では?

「だが、本名はフィスカロト・ド・シャドメティア・セフィロト、この国の王妃であり、わしの妻でもある」

な、こいつが王妃だと!?こんなのが!?こんなクソデブが!?いや、というよりそもそも“男”で“王妃”ってどういうことだ?・・・はっ!!まさか

「王ちゃん。まさかそういう趣味が」
「はっ!!忘れておった。フィー、素の姿に戻ってはくれないか?このままだと我は男好きだと思われてしまう!!」
「はいはい、いますぐに」

そうクソデブが言った途端、クソデブの全身が光に包まれた。その光は段々と縮んでゆき、人型を取ると光が消えていった。そして、クソデブがいた場所には

「・・・・・誰?」

ドレスを身にまとった金色の髪を腰まで伸ばした美人さんがいた。
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