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第二章 変化、触発

第一話

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しばらく日常編です。あと、一話が短いです。それと、だいたい七話くらいで終わります。
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雲ひとつない空、ジリジリと肌を焼く太陽、そして街を行き交う魔物ひとびと。やって来たは魔国の城下町。そして隣には私服姿のミーナ。なんか前に見たことがある気がするがデジャヴだろう。そんなことより楽しむぞ!!

・・・なんでこうなったんだろう?

先ほども言ったが、俺はヒュプノスに「そろそろ城下町を歩いてみたら?ミーナが案内してくれるよ。1週間くらい休暇をあげるからさ」と言われてヒュプノスが治める魔国の城下町に来ている。

正直日本にいるのとほとんど変わらない街並みだ。寧ろ進んでいるとさえいえる。

店によっては人型のロボット(ヒューマンゴーレムというらしい)が店主の苦手な部分をサポートし、日本で見たことがあるカードゲームやらゲーム機種があった。

普通にアイドル(サキュバスだけの“ミルキーている”やデュラハン、リッチー、そしてヴァンパイアの3人組の“血みどろ死隊”が人気らしい。知らんがな)も存在していた。

更に馬車が走っている横で『夜路死句』と背中に書かれた服を着ながら暴走族がブイブイ言わせているという世界観ガン無視の光景を見た。字が違うと思うのだが、この世界ではあれが普通なのだろう。

しかも、まだ魔王城の門を出たばかりだ。個人的にはこれで終わりでいいのだが、そうもいかない。

「あーやーくー!!べうう、あそいたい!!」

そう、ミーナだけでなくベルルもいるのだ。はたから見たら親子連れってところか?

「はいはい。それでは行きましょう」
「おう」
「おー!!」

今日は早くに占める店が多いという東地域のところから回ることにする。

それにしても、ミーナは表情は笑顔なんだが、どこかおかしい気がする。
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東地域に到着する。そこには武器や魔法薬を販売する店を中心とする自営業の店が集まった地域だそうだ。

そして、いま俺たちは武器屋に来ていた。

「って、ベルルがいるのにここに来て良かったのか?」
「べううはいいよ?」
「だそうですよ?」

小さい子供には刺激がありそうだと思ったが、よく考えたらベルルの中にはよくわからないロスルがいるんだよなぁ。小さい子供扱いでいいのだろうか?

「お、これ結構良さそうな刀だな」

ふと1本の刀が目に止まった。

その刀はただの刀に見えるのだが、何かが違う気がする。

「おや?お客さん。その刀、気に入ったのかい?」
「いや、気にいるというより気になったと言いますか」
「ははは。まあそうだろうな。なにせこの刀には“魅了”スキルを付与させたんだからな」

刀にそんなもん付けるなの!!

「それで、その刀は業物なのか?」
「いいえ?ただの“魅了”を付与した刀ですけど?」

こんな店、二度とくるかぁ!!
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