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最終章 龍と英雄の子
第十話
しおりを挟む「ミーナ。予定通りここは任せるぞ」
「はい。こちらは任せてください」
「おう」
仮面の気配を感じた俺はその場所に向かって走っていた。なにせこの辺一帯は無論俺が知らない場所だ。そのため正確な転移はまだできない。眼に見える範囲であれば転移できるのだが、そんなことに魔力は使えない。
それに、仮面のやつもこっちに近づいてきているわけだしな。
そして
「・・・よっ。また会ったな。リベンジマッチと洒落込もうや」
「・・・・・」
仮面と再会した。
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やはりというか、仮面はなにも喋らない。というよりよくあの攻撃を受けて生きられたな。そこが不思議だ。
「よく生きていたな」
「・・・・・」
「何か言ったらどうなんだ?」
「・・・・・」
「何も言わないか。だったらもういい。始めるとしよう」
「始める」その言葉を待っていたかのようにあのときのように短剣を撃ってくる。その攻撃を俺は避ける。ここは荒地だ。なので木も壁も存在しない。前のようなことはできないだろうが、それでも強いことには変わりがない。だが
「俺は、前の俺とは違うんだよ!!」
俺はヴァルディア・フライトを取り出して目で仮面の奴の姿を捉えると『斬撃転移』を放った。
これはヒュプノスと戦ったとき、最後に使ったものだ。
斬撃転移は転移のスキルを応用して“剣を振った”という結果だけを摘出して転移先に“剣を振った”という結果を実行するというものだ。
ただ斬撃を放つのと違うのは斬撃は真っ直ぐ飛び、障害物が発生するのに対し、斬撃を転移させることで障害物を無視でき、さらに直接相手を狙うことができる。
無論。この斬撃転移にも短所がある。それは相手の位置を正確に知らなければならないということだ。
斬撃であれ転移させるということはその場所の位置を正確に把握しなければただの空撃ちに終わる。
要するに敵がいないところで剣を振る感じだ。
だが、それを可能にしたのが“空間把握”だ。
このスキルを同時に使うことで相手の位置を正確に把握することができる。
まあ、今の俺の練度だと眼に見える範囲が限界だが、練度を上げれば目で見えないところでも転移できるようになる。
そして、俺はそれを使って
パキンッ!!カランッカラン
仮面を切断することにした。その先の顔を見て俺は自分が正しかったと思った。
「よう。仮面は無くなったんだ。もう話せるんだろ?なあ。翔也」
「・・・けっ!!バレちゃ仕方がねぇな。ま、テメェはぶっ殺すがな!!」
仮面の中にいたのは俺が殺した筈の地球の人間だった。
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