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サタン@異世界編PART2
教会を丸ごと覆う超巨大竜巻
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「えっと……なんでかわかんないんだけどさ……」
「早く言えよ」
「う、うるさいな!お前には乙女の言葉を待つって概念が無いのかよ!?そんなんだから『ゲロカスクソ豚野郎』って言われるんだよ!!」
「言われたことねーよ!」
「そ、その……ま、まあなんでかわかんないけど、"サタンが近くにいる"と力が出しやすいっていうか……」
「……え?」
意外な回答に面食らってしまった。
俺がいると力が出しやすい?
「なんだそりゃ?」
ジョウチンも不思議そうにカトリーナを見る。
「そ、それはもしや……『愛の力』でしょうか……!?」
クロエが面白がって煽り立てる。
「いや、違うわ!ってかなんじゃそりゃ!意味わからんわ!」
「あ、あたしだって意味わかんないよ!でも、あの風を発動する時にはサタンが近くにいたし……。今やった時はいなかったし……って思っただけ!」
「まぁ、イケメンが近くにいれば力が出るっていうのはわからんでもないが……」
「……………」
「なんか言えよ!!」
「あの……カイさん。もしや……」
クロエがジョウチンに近づき、小声で話しかける。
「……ああ。俺も思った。多分、アレだ」
「ん?なになに?なんか知ってんの?」
俺は何か知ってそうな2人に問いかけると、ジョウチンが教えてくれた。
「『魔王の芽』の効果じゃねーか?」
「魔王の芽?ああ、コレね」
俺は2つの魔王の芽を懐から取り出すと、怪しく光る玉を掲げてみせる。
「き、きゃぁああああ!!!」
「う、うわぁぁあああ!!!」
「うっぐ……や、やめっ……!!」
あまりの瘴気にそれぞれ苦悶の表情を浮かべる。
「コレの効果って?」
「テ、テメェ……!それ出すんなら先に言えや……!カ、カトリーナ!!さっきの能力を発動しろ……!」
「ぅぅぅ……えっ……!?」
カトリーナは急に話を振られて呆気に取られている。
「は、早くしろ!!さっきの解呪の風を発動してみろ!!」
「ぅうぇ……わ、わかった……よ!!」
カトリーナは口を押さえながら、風の能力を発動した。
その瞬間、魔王の芽がピカリと光った。
ーーーカキィィイイイイイン。
そして、同時にカトリーナの周囲に今までで最大の爆風が巻き起こる。
ーーーシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュル!!!
「うっ……うわぁああああ!!!」
カトリーナの能力の範囲を超えるとてつもない突風。
ーーーブゥゥゥウウウウウオオオオオオオオオオ!!!
俺たちを中心に台風の目のようになり、この巨大な教会を瞬く間に包み込むほどの巨大さになった。
「き、きゃっ……!」
あまりの風にメイジーの体がフワリと浮き、竜巻に飲み込まれていく。
「メイジーーーー!!!」
クロエの大声が響いた瞬間、地面からツタが生え、メイジーの足首に絡みついた。
「させるかよ!!メイジー!!しっかりツタに掴まってろ!!」
ジョウチンが能力で繋ぎ止めてくれたようだ。
さらに近くの柱に捕まると、能力で床から複数のツタを生やし、7人全員の足首に巻きつけた。
「ナイス!ジョウチン!」
俺は咄嗟の判断で全員を救った男に礼を言いながら、窓から外の景色を見る。
巨大な緑色の竜巻が左回りに巻き起こり、ガレキなどを巻き込みながら回転している。
「竜巻すごっ……」
まるで車の中にいながら洗車機に入るような妙な気持ちになった。
するとその瞬間、下の階から大勢の人間の絶叫が聞こえてきた。
ーーーゥゥオオオオ!!
ーーーヴァァアアア!!
ーーーキャアアアア!!
その絶叫のボリュームに比例して、竜巻に紫の色が混じり始める。
ーーーウガァアアア!!
ーーーギャァアアア!!
ーーーウァァアアアアーー!!
みるみる絶叫は大きくなり、竜巻は完全に紫に染色された。
ーーーすると、絶叫がピタリと止んだ。
そして、竜巻もゆっくりと空気中に溶けていき、消えていく。
ーーーーーーフワッ。
最後に穏やかな風が全員の頬を撫でると、そのまま消失していった。
「早く言えよ」
「う、うるさいな!お前には乙女の言葉を待つって概念が無いのかよ!?そんなんだから『ゲロカスクソ豚野郎』って言われるんだよ!!」
「言われたことねーよ!」
「そ、その……ま、まあなんでかわかんないけど、"サタンが近くにいる"と力が出しやすいっていうか……」
「……え?」
意外な回答に面食らってしまった。
俺がいると力が出しやすい?
「なんだそりゃ?」
ジョウチンも不思議そうにカトリーナを見る。
「そ、それはもしや……『愛の力』でしょうか……!?」
クロエが面白がって煽り立てる。
「いや、違うわ!ってかなんじゃそりゃ!意味わからんわ!」
「あ、あたしだって意味わかんないよ!でも、あの風を発動する時にはサタンが近くにいたし……。今やった時はいなかったし……って思っただけ!」
「まぁ、イケメンが近くにいれば力が出るっていうのはわからんでもないが……」
「……………」
「なんか言えよ!!」
「あの……カイさん。もしや……」
クロエがジョウチンに近づき、小声で話しかける。
「……ああ。俺も思った。多分、アレだ」
「ん?なになに?なんか知ってんの?」
俺は何か知ってそうな2人に問いかけると、ジョウチンが教えてくれた。
「『魔王の芽』の効果じゃねーか?」
「魔王の芽?ああ、コレね」
俺は2つの魔王の芽を懐から取り出すと、怪しく光る玉を掲げてみせる。
「き、きゃぁああああ!!!」
「う、うわぁぁあああ!!!」
「うっぐ……や、やめっ……!!」
あまりの瘴気にそれぞれ苦悶の表情を浮かべる。
「コレの効果って?」
「テ、テメェ……!それ出すんなら先に言えや……!カ、カトリーナ!!さっきの能力を発動しろ……!」
「ぅぅぅ……えっ……!?」
カトリーナは急に話を振られて呆気に取られている。
「は、早くしろ!!さっきの解呪の風を発動してみろ!!」
「ぅうぇ……わ、わかった……よ!!」
カトリーナは口を押さえながら、風の能力を発動した。
その瞬間、魔王の芽がピカリと光った。
ーーーカキィィイイイイイン。
そして、同時にカトリーナの周囲に今までで最大の爆風が巻き起こる。
ーーーシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュル!!!
「うっ……うわぁああああ!!!」
カトリーナの能力の範囲を超えるとてつもない突風。
ーーーブゥゥゥウウウウウオオオオオオオオオオ!!!
俺たちを中心に台風の目のようになり、この巨大な教会を瞬く間に包み込むほどの巨大さになった。
「き、きゃっ……!」
あまりの風にメイジーの体がフワリと浮き、竜巻に飲み込まれていく。
「メイジーーーー!!!」
クロエの大声が響いた瞬間、地面からツタが生え、メイジーの足首に絡みついた。
「させるかよ!!メイジー!!しっかりツタに掴まってろ!!」
ジョウチンが能力で繋ぎ止めてくれたようだ。
さらに近くの柱に捕まると、能力で床から複数のツタを生やし、7人全員の足首に巻きつけた。
「ナイス!ジョウチン!」
俺は咄嗟の判断で全員を救った男に礼を言いながら、窓から外の景色を見る。
巨大な緑色の竜巻が左回りに巻き起こり、ガレキなどを巻き込みながら回転している。
「竜巻すごっ……」
まるで車の中にいながら洗車機に入るような妙な気持ちになった。
するとその瞬間、下の階から大勢の人間の絶叫が聞こえてきた。
ーーーゥゥオオオオ!!
ーーーヴァァアアア!!
ーーーキャアアアア!!
その絶叫のボリュームに比例して、竜巻に紫の色が混じり始める。
ーーーウガァアアア!!
ーーーギャァアアア!!
ーーーウァァアアアアーー!!
みるみる絶叫は大きくなり、竜巻は完全に紫に染色された。
ーーーすると、絶叫がピタリと止んだ。
そして、竜巻もゆっくりと空気中に溶けていき、消えていく。
ーーーーーーフワッ。
最後に穏やかな風が全員の頬を撫でると、そのまま消失していった。
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