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サタン@異世界編PART2
チンピラが感じる、前世オリヴィアとの絆
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マリアが俺に死刑宣告を言い放つと、像が怪しげに光り、空中に魔法陣が現れる。
「ククク。マリア……。やってしまいなさい」
エーギルがマリアに告げる。
「ペペン神よ…!私に力を!!」
その瞬間、魔法陣から光が放たれマリアを覆った。
「くっ……」
あまりの眩しさに目を細める。
「グォオオオオオオンンン!!」
そして、光が収束したと思ったら、そこにいたのは地響きと共に叫ぶ『マリア(巨豚形態)』だった。
「巨豚過ぎるだろ!」
その大きさ、高さ5メートル、横幅3メートルといったところか。
部屋の高い天井にも迫りそうな大きさだった。
「グォオオオオオオンンン?(死ぬ準備はできましたか?)」
「ちょっと何言ってるかわからない」
「グォオオオオオオンンン!!(ペペンの名の下に死を与えて差し上げましょう!)」
するとマリアは巨大な口をガバッと開け、火炎エネルギーを溜める。
「ちっ………!」
そして巨大な炎の球を俺に向かって吐き出した。
「ガァァォオオオオオオオ!!」
……ボンッ!!!
(ぐ……!これはやべぇ!)
巨大な火球のスピードは思ったよりも速く、一瞬で俺の目前まで迫る。
今から飛んでも避けられず、かと言って能力で岩の壁を出す時間も無い。
(ここまでか……。オリヴィア……。すまねぇ。俺は、また……)
俺はルシフェルに会うまで忘れていた最愛の人の顔を思い浮かべながら、そっと目を閉じた。
「豚が口から出した火球斬り!!!」
ーーーーズズズズズッ……!!
凛々しい女の声が響いたかと思うと、俺の目の前の火球が真っ二つに割れ、左右に飛び散っていった。
俺は何が起こったか一瞬わからず、斬撃が飛んできた方を凝視する。
そこにいたのは、先ほどまで伸びていたメイド女だった。
「大丈夫ですか?」
刀を振って火の粉を払うと、鞘に収めながら俺の方を向いた。
「あ、ああ。それより、技名いま考えただろ」
「いえ、最初から決まってました」
「そんなわけねーだろ」
俺は真顔で嘘をつくメイドにツッコミながら立ち上がった。
「……あの火球、気をつけなければなりませんね」
「……だな。危うく色黒で歯の白いいかがわしいビジネスマンとして生きていくことになる所だった。助かったぜ」
「そうでなくても十分怪しいのですが……」
「うるせぇよ。っつーかあんたは大丈夫なのか?さっきはボロボロになってたが」
俺はメイドに問いかける。
「ええ。魔物の叫び声で目を覚ましました。思ったより外傷は少なかったようです」
「そうか」
どうやら何かの攻撃で気を失っていただけのようだった。
「それより、その服。あなたはここの司祭では?なぜこんな化け物と戦っているのですか?」
「まぁ……色々。とりあえず今は話している暇は無い。でも、俺はサタンとカトリーナと知り合いで、お前らの味方だ」
「そうですか。サタン様の。では、今は共闘といきましょう」
「あぁ。頼む。でも、これどうするよ?かなり骨が折れそうだぜ」
「図体が大きいだけであれば、私が斬ります」
笑い無しの所を見ると、どうやら本気のようだ。
だが、それには大きな問題があった。
「いや、そうしてほしいのは山々なんだが……。あの化け物がお前らが探してた『マリア』なんだよな」
「な、なんですって?ただの豚じゃないですか!」
「いや、ただの豚ではないだろ。こんなでかい豚いるか」
「連れて帰るにも馬車に乗りませんよ!」
「そんなことどうでもいいだろ!……ってか変身してんだよ!天然かお前!」
「馬車の車輪、直したばかりなんですよ!?」
「うるせーよ!」
「とりあえず状況はわかりました。恐らく変化(へんげ)の魔法でしょう。何かを媒介にして魔物の魂を降ろしているはずですが……」
クロエはマリアを観察し始めた。
媒介、というとマリアが握りしめていたあのペペンの像だろうか。
「そういやマリアがさっきあの神豚の像を握りしめていたぜ。えっと……メイドの姉ちゃん」
俺が名前がわからず言い淀むと、メイドは胸に手を当ててお辞儀をした。
「……申し遅れました。私はクロエ・ボールドウィン。メイジー・T・アルコットのメイド兼護衛です」
「あ、ああ。カイ・グランデだ。メイド兼護衛ってすげーな。そんな刃物振り回すメイド初めて見たぜ」
「多様化してるのです」
「いや、多様化ってそういうことなのか?」
「……ん?そういえば、私は気絶する前……メイジーを助けようと……」
「メイジー?それってそこの……?」
俺は椅子に繋がれた女を見た。
ーーードクン。
(やっぱり……あいつは……)
ーーー俺の胸に響く『絆』の感覚。
なんだかわからないが、彼女と俺は大切な何かで繋がっていると確信できる。
それが示す事実はたったひとつ。
ーーーあれは、間違いない。
ーーーオリヴィアだ。
俺は改めて絶対に救うと拳を固めた。
「ククク。マリア……。やってしまいなさい」
エーギルがマリアに告げる。
「ペペン神よ…!私に力を!!」
その瞬間、魔法陣から光が放たれマリアを覆った。
「くっ……」
あまりの眩しさに目を細める。
「グォオオオオオオンンン!!」
そして、光が収束したと思ったら、そこにいたのは地響きと共に叫ぶ『マリア(巨豚形態)』だった。
「巨豚過ぎるだろ!」
その大きさ、高さ5メートル、横幅3メートルといったところか。
部屋の高い天井にも迫りそうな大きさだった。
「グォオオオオオオンンン?(死ぬ準備はできましたか?)」
「ちょっと何言ってるかわからない」
「グォオオオオオオンンン!!(ペペンの名の下に死を与えて差し上げましょう!)」
するとマリアは巨大な口をガバッと開け、火炎エネルギーを溜める。
「ちっ………!」
そして巨大な炎の球を俺に向かって吐き出した。
「ガァァォオオオオオオオ!!」
……ボンッ!!!
(ぐ……!これはやべぇ!)
巨大な火球のスピードは思ったよりも速く、一瞬で俺の目前まで迫る。
今から飛んでも避けられず、かと言って能力で岩の壁を出す時間も無い。
(ここまでか……。オリヴィア……。すまねぇ。俺は、また……)
俺はルシフェルに会うまで忘れていた最愛の人の顔を思い浮かべながら、そっと目を閉じた。
「豚が口から出した火球斬り!!!」
ーーーーズズズズズッ……!!
凛々しい女の声が響いたかと思うと、俺の目の前の火球が真っ二つに割れ、左右に飛び散っていった。
俺は何が起こったか一瞬わからず、斬撃が飛んできた方を凝視する。
そこにいたのは、先ほどまで伸びていたメイド女だった。
「大丈夫ですか?」
刀を振って火の粉を払うと、鞘に収めながら俺の方を向いた。
「あ、ああ。それより、技名いま考えただろ」
「いえ、最初から決まってました」
「そんなわけねーだろ」
俺は真顔で嘘をつくメイドにツッコミながら立ち上がった。
「……あの火球、気をつけなければなりませんね」
「……だな。危うく色黒で歯の白いいかがわしいビジネスマンとして生きていくことになる所だった。助かったぜ」
「そうでなくても十分怪しいのですが……」
「うるせぇよ。っつーかあんたは大丈夫なのか?さっきはボロボロになってたが」
俺はメイドに問いかける。
「ええ。魔物の叫び声で目を覚ましました。思ったより外傷は少なかったようです」
「そうか」
どうやら何かの攻撃で気を失っていただけのようだった。
「それより、その服。あなたはここの司祭では?なぜこんな化け物と戦っているのですか?」
「まぁ……色々。とりあえず今は話している暇は無い。でも、俺はサタンとカトリーナと知り合いで、お前らの味方だ」
「そうですか。サタン様の。では、今は共闘といきましょう」
「あぁ。頼む。でも、これどうするよ?かなり骨が折れそうだぜ」
「図体が大きいだけであれば、私が斬ります」
笑い無しの所を見ると、どうやら本気のようだ。
だが、それには大きな問題があった。
「いや、そうしてほしいのは山々なんだが……。あの化け物がお前らが探してた『マリア』なんだよな」
「な、なんですって?ただの豚じゃないですか!」
「いや、ただの豚ではないだろ。こんなでかい豚いるか」
「連れて帰るにも馬車に乗りませんよ!」
「そんなことどうでもいいだろ!……ってか変身してんだよ!天然かお前!」
「馬車の車輪、直したばかりなんですよ!?」
「うるせーよ!」
「とりあえず状況はわかりました。恐らく変化(へんげ)の魔法でしょう。何かを媒介にして魔物の魂を降ろしているはずですが……」
クロエはマリアを観察し始めた。
媒介、というとマリアが握りしめていたあのペペンの像だろうか。
「そういやマリアがさっきあの神豚の像を握りしめていたぜ。えっと……メイドの姉ちゃん」
俺が名前がわからず言い淀むと、メイドは胸に手を当ててお辞儀をした。
「……申し遅れました。私はクロエ・ボールドウィン。メイジー・T・アルコットのメイド兼護衛です」
「あ、ああ。カイ・グランデだ。メイド兼護衛ってすげーな。そんな刃物振り回すメイド初めて見たぜ」
「多様化してるのです」
「いや、多様化ってそういうことなのか?」
「……ん?そういえば、私は気絶する前……メイジーを助けようと……」
「メイジー?それってそこの……?」
俺は椅子に繋がれた女を見た。
ーーードクン。
(やっぱり……あいつは……)
ーーー俺の胸に響く『絆』の感覚。
なんだかわからないが、彼女と俺は大切な何かで繋がっていると確信できる。
それが示す事実はたったひとつ。
ーーーあれは、間違いない。
ーーーオリヴィアだ。
俺は改めて絶対に救うと拳を固めた。
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