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サタン@異世界編PART2

全世界指名手配中の最強犯罪者3人

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「君、帝国から指名手配されてるんだよね」


ロクサスは笑顔で告げた。


「………………………」

「………………………」

「………………………」



「いや、なんで!?」



ちょっと考え込んだが、結局わからず叫ぶ。


「うーん。動画で派手に暴れ回ってたからね。ギガントクラブ狩りの動画ではガリレオさんの隣の市有地に不法侵入してたし、クラーケンの動画では潜水禁止エリアで潜ったりしてたし」


「いや、あんなバケモンと戦ってる時にそんなこと考えてられるか!」


俺は笑顔のイケメン風に噛み付いた。

「まぁそれはごもっとも。だから、一番の罪はギガントモンスターから出た『魔王の芽』を持ってる可能性が高いってことだよ。あと、戦闘力が魔王級モンスターと同じレベルの危険度、って帝国が判断したんじゃないかな?あと素性もよくわかんないし」

「ってか『魔王系プーチューパー』ってなんだよ!」

「うーむ。新ジャンルなんじゃない?」

「なんだよそれ!せめてジャンルは俺らに決めさせろ!」

「ご愁傷様」

イケメン風が他人事のように爽やかに笑った。

「……ってか、そもそもコレ持ってるって罪なの?」


俺は再びポケットに手を突っ込んで魔王の芽を触った。


「うん。国家レベルのテロ行為だね」


「知らなかったんですけど」


「じゃあ渡してくれる?」


「いや、無理」

俺とロクサスは2人とも笑顔で語り合った。


「うーむ。じゃあ、こうしないか?本来、ボクは君と出逢ったら捕まえないといけない立場なんだ。けど……」


「けど……?」


「君がさっきの依頼を受けてくれるのであれば、"全ての魔王の芽"が回収できるまでは『捕まえない』と約束しよう」

「あぁん?この美男子を簡単に落とせるとでも思ってるのか?」

俺はムッとしてガレキから立ち上がる。

「……やってみるかい?でもここでやったら、ボクの仲間もそのカトリーナという少女もタダでは済まなくなるが」

ロクサスはロングソードに手をかけようとする。

(とはいえ、ジョウチン達のとこに行かないといけないし……。今はそんなことしてる場合じゃないな)

「……いや、やめとくわ。……でも!その依頼も受けられるかはわからん。成り行きでそうなったら魔王の芽は俺が拾っとく」

俺は改めてロクサスに背を向けた。

「頼む。……もし本当に君が教会の魔王の芽を回収してくれたら、君の望みを叶えてくれるかもしれない、超優秀な『帝国呪術師』を紹介しても良い」

「俺の望み……?」

「うむ。『誰か俺を殺しておくれよーーー!』とか動画の挨拶で言ってるじゃないか。君、不死なんだろ?」

「マ、マジで?できんの?」

「それはわからない。が、単純にその辺の魔法や物理攻撃じゃ死ねないなら、『呪い』の類かもしれない。その辺は聞いてみないと何ともだけど、希望はあるんじゃないかな」

俺は急に嬉しくなって、少し頬が緩みそうになったが、慌てて引き締めた。

「べ、別に会ってやらなくもねーけどさ!なら、これは対価が発生する正式な依頼ってことだな。それなら、考えんこともない。うん」

慌てて腕組みをする。

「いや、こちらまで嬉しさが伝わってくるよ。……なら、依頼ってことで良いよ。非公式だけどね」

ロクサスは呆れ顔で呟く。


「しょうがねぇな。善処しよう。ちなみに全ての魔王の芽を集めるって言ってたけど、エーギル以外も誰か持ってんのか?」

俺はこいつとやり合うまでの猶予が知りたく、念のため聞いてみる。

「ああ。指名手配書も出ているが、これが結構複雑でね。今、所持しているのがわかっているのが、3人だ」

そう言うと、俺に3枚の手配書を見せた。



【容疑者①】
バッドボブ海賊団船長『デュー・ジョーンズ』
懸賞金/1,080,000ギル
※同盟中につき一時手配中止中


【容疑者②】
魔王級モンスター/死の御使(みつかい)『ゼロ』
懸賞金/8,800,000ギル


【容疑者③】
魔王系プーチューパー『サタン』
懸賞金/585,000ギル



「げ、デューかい……」

「知ってるよね。君のチャンネルで彼との戦闘動画出してたし」

「あの動画はもう600万再生されてるよ!」

カトリーナが胸を張る。

「ってかおい!俺が一番安いじゃねーかよ!」

俺は唾を飛ばしながら恥ずかしげもなく怒る。

「いやいや。最初からこの金額は大したものだよ。他の犯罪者の手配書なんてほとんど1万代なんだから。デューだって政治的な要素も込みでこの金額だしね」

「ちっ………」

「そして、この3人に加えて、今日エーギルが持っているとハッキリした」

「まぁそれでも教会関係者には手配書は出せないんだろ」

「情けないことだが……」

「ふん……」

俺は俯くロクサスを尻目に2枚目の手配書を見る。


「……『ゼロ』を知っているのかい?」


微妙な表情を浮かべる俺に、ロクサスはゼロの手配書を渡してきた。
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