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サタン@現実世界/カイ・グランデ編
どこかで見たマナー講師
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「うっ……。想像以上ですわね……」
「だ、だから言ったじゃねぇか!辱める気か!俺を!」
オリヴィアは乱雑に置かれたゴミや、食いかけのパンなどを見つめて引いていた。
「と、とにかく始めますわ!この辺のものは捨てて構いませんわね!?」
「え、あ、ちょっと取っときたいやつあるから分別を……」
「………」
「うーん、あ、これ、前に闇市で買った謎の人形……。あ、これは隣町の市場で使える割引券……。いつか行くかもしれないし……」
「ああ!!めんどくさいですわ!!全て捨てさせて頂きます!」
そう言うとオリヴィアは割引券を引き裂いた。
紙クズと化した割引券はそのままゴミ袋に突っ込まれてしまった。
「ま、待てって!まだ使うやつだってあるかもしれないだろ!?」
「いつか使うもの=ゴミ、ですわ。ここ1ヶ月で使ってないものは、無くなったとしても気付きませんわ」
「なんて貴族的な発想だ!俺たちみたいな貧しい人間はなぁ!ひとつのものを10年、20年使って生きていくんだ!」
「貧しいことと、片付けられないことはイコールではありません。片付けたキレイな空間で生活することは、最低限の大人としてのマナーです」
「ぜ、全部必要なものなんだよ……」
「なら、覚えていますわね?その必要なものがどこにあるのか」
「え?」
「必要なものの名前と、それがどこにあるのか答えたものに関しては残します。ですが、何があるのかわからないエリアに関しては、全て捨てさせて頂きます」
あれよあれよという間に、捨てない、という退路を断たれてしまった。
「ま、待て!そもそも俺の家なんだから好きにさせてくれよ!」
「……ガタガタうるさいのぉ!マナー違反やゆうとるやないか!いいからはよどこに何があるか言わんかい!」
突如、激情的に大声を出すオリヴィアは、まるでどこかで見た"マナー講師"のようだった。
「えっと……そこは……」
「もたもたせんと、はよ言わんかい!!」
「こ、小麦……?」
その回答を聞いて、部屋の角に山のようになっているエリアを漁り始めた。
「ちゃう。そんなもん、ここに無いわ。ここにあるんは"夏服"や。じゃ、約束通り捨てるで」
「よせよ!!」
そうして俺の家は片付けの鬼によってビックリするくらいキレイになっていった。
そしてついに、最後の一角。
鍵の付いた棚に対してオリヴィアから質問が入る。
「ここには何があるんや」
「そ、そこはダメだ!それだけは絶対捨てたらダメだ!」
「なんやそれ。……いらんもん隠してるんちゃうんか!!」
「絶対ダメだ!!それだけはダメだ!!」
「鍵出せや」
「い、嫌だ!」
「はよ出さんかい!!」
「あ!オリヴィアさん!これ、つまらないものですが、クッキーです!これで、そこを探すのは勘弁して下さい!」
「"つまらないもの"ならいりません。そういう時は『心ばかりのものですが』やろ!!」
「なんでもいいよ!」
「ん?これ、鍵やないか」
「よせ!やめろ!!」
オリヴィアは棚の横に貼り付けてあった古びた鍵を手にした。
そして、躊躇なく鍵穴に刺し、そして引き出した。
「ん?これは……」
ーーーそこにしまってあったのは、あの時、書店の老婆にもらった『本』だった。
「だ、だから言ったじゃねぇか!辱める気か!俺を!」
オリヴィアは乱雑に置かれたゴミや、食いかけのパンなどを見つめて引いていた。
「と、とにかく始めますわ!この辺のものは捨てて構いませんわね!?」
「え、あ、ちょっと取っときたいやつあるから分別を……」
「………」
「うーん、あ、これ、前に闇市で買った謎の人形……。あ、これは隣町の市場で使える割引券……。いつか行くかもしれないし……」
「ああ!!めんどくさいですわ!!全て捨てさせて頂きます!」
そう言うとオリヴィアは割引券を引き裂いた。
紙クズと化した割引券はそのままゴミ袋に突っ込まれてしまった。
「ま、待てって!まだ使うやつだってあるかもしれないだろ!?」
「いつか使うもの=ゴミ、ですわ。ここ1ヶ月で使ってないものは、無くなったとしても気付きませんわ」
「なんて貴族的な発想だ!俺たちみたいな貧しい人間はなぁ!ひとつのものを10年、20年使って生きていくんだ!」
「貧しいことと、片付けられないことはイコールではありません。片付けたキレイな空間で生活することは、最低限の大人としてのマナーです」
「ぜ、全部必要なものなんだよ……」
「なら、覚えていますわね?その必要なものがどこにあるのか」
「え?」
「必要なものの名前と、それがどこにあるのか答えたものに関しては残します。ですが、何があるのかわからないエリアに関しては、全て捨てさせて頂きます」
あれよあれよという間に、捨てない、という退路を断たれてしまった。
「ま、待て!そもそも俺の家なんだから好きにさせてくれよ!」
「……ガタガタうるさいのぉ!マナー違反やゆうとるやないか!いいからはよどこに何があるか言わんかい!」
突如、激情的に大声を出すオリヴィアは、まるでどこかで見た"マナー講師"のようだった。
「えっと……そこは……」
「もたもたせんと、はよ言わんかい!!」
「こ、小麦……?」
その回答を聞いて、部屋の角に山のようになっているエリアを漁り始めた。
「ちゃう。そんなもん、ここに無いわ。ここにあるんは"夏服"や。じゃ、約束通り捨てるで」
「よせよ!!」
そうして俺の家は片付けの鬼によってビックリするくらいキレイになっていった。
そしてついに、最後の一角。
鍵の付いた棚に対してオリヴィアから質問が入る。
「ここには何があるんや」
「そ、そこはダメだ!それだけは絶対捨てたらダメだ!」
「なんやそれ。……いらんもん隠してるんちゃうんか!!」
「絶対ダメだ!!それだけはダメだ!!」
「鍵出せや」
「い、嫌だ!」
「はよ出さんかい!!」
「あ!オリヴィアさん!これ、つまらないものですが、クッキーです!これで、そこを探すのは勘弁して下さい!」
「"つまらないもの"ならいりません。そういう時は『心ばかりのものですが』やろ!!」
「なんでもいいよ!」
「ん?これ、鍵やないか」
「よせ!やめろ!!」
オリヴィアは棚の横に貼り付けてあった古びた鍵を手にした。
そして、躊躇なく鍵穴に刺し、そして引き出した。
「ん?これは……」
ーーーそこにしまってあったのは、あの時、書店の老婆にもらった『本』だった。
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