55 / 146
サタン@異世界編PART1
ダリア軍総司令の首に手をかける最強の海賊
しおりを挟む
「バッドボブ海賊団って……。なんであいつらが出てくるんだよ?」
およそ2000人はいると思われる海賊団の姿を見ながら、俺はカトリーナに問いかける。
「帝国に危機がある時は基本的に帝国騎士団が動くんだけど、騎士団と戦闘するってことは、ダリアと本格的な戦争をする、ってことになる。だから、公式じゃない牽制として、同盟関係のバッドボブが出てきたんだと思う」
「ややこしいなぁ……」
仕方ないことなのかもしれないが、大人の事情に嫌気が差した。
ドォォォーーーン!!
ドォォォーーーン!!
ドォォォーーーン!!
そんな会話をしていると、一際大きな音が3回聞こえる。
音の方を振り向くと、30人ほどのダリア兵が空高く吹っ飛ばされている。
一ヶ所に連続で大砲でも落ちたのかと思ったが、土煙の中にいた男を見て、これは"人災"だとわかった。
「げっ……。デューやん……」
デューを取り囲んでいたと思われるダリア兵を全て拳で吹っ飛ばしたのか、デューは拳を天高く掲げていた。
「ガハハハハ!そんなんじゃ俺の歩きの一歩さえ止められないぜ!」
楽しげに叫ぶデューの様子から、反乱の鎮圧がどうというより、この状況を完全に楽しんでいるのが見て取れた。
そんな中、再びダリア軍が懲りずに突進していく。
それを見てデューは拳を固めた。
「ヤベ!また来るぞ!みんな伏せろ!」
「ガハハハ!懲りねぇ奴らだ!喰らえぇ!!!」
そう言うと、そのままエネルギーを溜めた拳を地面に叩きつける。
ズダンッ!!!
その瞬間、デューを中心に満月型に地面がえぐれ、辺りの地面から放射状にエネルギーが噴出する。
「「「う、うわぁーーー!!」」」
ダリア軍の足元に地割れが起き、100人ほどが足場を崩されて隊列が崩壊した。
「ガハハハ!ったく弱ぇなあ。ダリアの軍事訓練ってのはそんなもんかい!」
デューは自分の攻撃の衝撃で落ちたバイキングハットを拾って被り直すと、腰を深く落とした。
「あいつ……何する気だ?」
俺は目を細める。
「じゃあ、そろそろ頭獲らせてもらうぜ」
そう言うと、思いっきり地面を蹴上げて、軍の上空を飛んでいった。
「くっ……。リーダーを殺る気か……!おいカトリーナ!ちょっと俺、行ってくるから!」
カトリーナに一言告げて慌てて俺も追いかける。
デューは軍最後尾にある、『本陣』として使っているであろう巨大戦車に着地した。
俺は見つからないように戦車の影に隠れて様子を伺う。
デューは戦車の中に入るための蓋を力づくで開けると、そのまま空中へ放り投げた。
「こーんにーちわー!!みんなー元気ー!?海賊のおにいさんだよー!」
「『おか●さんといっしょ』かい」
なんか聞いたことあるセリフに思わず影からツッコむ。
「見つけに行こう~僕ら~の~♪宝物~♪この地球の~どこ~かに~きっとあるはずさ~♪」
「なにお前の歌みたいにしてんだよ」
そうして歌いながらデューは、戦車の中からリーダーの男を引っ張り出した。
「ひっ……!デュー・ジョーンズ……!なんでこんな所に……!こんな話は聞いてない……!」
片手でダリア軍リーダーの首を掴んで持ち上げながらデューは笑う。
「ガハハハ!なんでって言われてもよぉ~。なんかオタクらがケンカするって聞いたからちょっかい出しに来ただけよ」
リーダーにとっては晴天の霹靂だったのか、顔を歪める。
「だ、誰が貴様に依頼したんだ……!?ゲイルめ……!!まさか私をハメたのか……!?」
色々なことが錯綜しているのか、リーダーは宙吊りになりながら文句を垂れ始めた。
「別に誰にも依頼されてねぇよ。むしろ帝国政府には『余計なことはすんな』って言われてたしな。まぁすんなと言われてそうですか、とはいかねぇよなぁ」
「バカな……。ゲイルの奴……!全て抑え込んだはずではなかったのか!?」
「なあ。あんた。今、俺とあんたは"ケンカ中"なんだぜ。色々考えるのは良いけどよぉ~。そんなんじゃこのまま絞め殺しちまうぜ?」
そう言うとデューは腕に力を込めた。
「ぐっぐぇえええ……!わ、わがっだ。ぎざまのようぎゅうを……いえ……」
「おう。話がわかる奴で良かった」
「ゲホッ!ゲホッ!はあっ!はあっ!」
デューが手を離すと、リーダーは地面に落下し、呼吸を再開した。
およそ2000人はいると思われる海賊団の姿を見ながら、俺はカトリーナに問いかける。
「帝国に危機がある時は基本的に帝国騎士団が動くんだけど、騎士団と戦闘するってことは、ダリアと本格的な戦争をする、ってことになる。だから、公式じゃない牽制として、同盟関係のバッドボブが出てきたんだと思う」
「ややこしいなぁ……」
仕方ないことなのかもしれないが、大人の事情に嫌気が差した。
ドォォォーーーン!!
ドォォォーーーン!!
ドォォォーーーン!!
そんな会話をしていると、一際大きな音が3回聞こえる。
音の方を振り向くと、30人ほどのダリア兵が空高く吹っ飛ばされている。
一ヶ所に連続で大砲でも落ちたのかと思ったが、土煙の中にいた男を見て、これは"人災"だとわかった。
「げっ……。デューやん……」
デューを取り囲んでいたと思われるダリア兵を全て拳で吹っ飛ばしたのか、デューは拳を天高く掲げていた。
「ガハハハハ!そんなんじゃ俺の歩きの一歩さえ止められないぜ!」
楽しげに叫ぶデューの様子から、反乱の鎮圧がどうというより、この状況を完全に楽しんでいるのが見て取れた。
そんな中、再びダリア軍が懲りずに突進していく。
それを見てデューは拳を固めた。
「ヤベ!また来るぞ!みんな伏せろ!」
「ガハハハ!懲りねぇ奴らだ!喰らえぇ!!!」
そう言うと、そのままエネルギーを溜めた拳を地面に叩きつける。
ズダンッ!!!
その瞬間、デューを中心に満月型に地面がえぐれ、辺りの地面から放射状にエネルギーが噴出する。
「「「う、うわぁーーー!!」」」
ダリア軍の足元に地割れが起き、100人ほどが足場を崩されて隊列が崩壊した。
「ガハハハ!ったく弱ぇなあ。ダリアの軍事訓練ってのはそんなもんかい!」
デューは自分の攻撃の衝撃で落ちたバイキングハットを拾って被り直すと、腰を深く落とした。
「あいつ……何する気だ?」
俺は目を細める。
「じゃあ、そろそろ頭獲らせてもらうぜ」
そう言うと、思いっきり地面を蹴上げて、軍の上空を飛んでいった。
「くっ……。リーダーを殺る気か……!おいカトリーナ!ちょっと俺、行ってくるから!」
カトリーナに一言告げて慌てて俺も追いかける。
デューは軍最後尾にある、『本陣』として使っているであろう巨大戦車に着地した。
俺は見つからないように戦車の影に隠れて様子を伺う。
デューは戦車の中に入るための蓋を力づくで開けると、そのまま空中へ放り投げた。
「こーんにーちわー!!みんなー元気ー!?海賊のおにいさんだよー!」
「『おか●さんといっしょ』かい」
なんか聞いたことあるセリフに思わず影からツッコむ。
「見つけに行こう~僕ら~の~♪宝物~♪この地球の~どこ~かに~きっとあるはずさ~♪」
「なにお前の歌みたいにしてんだよ」
そうして歌いながらデューは、戦車の中からリーダーの男を引っ張り出した。
「ひっ……!デュー・ジョーンズ……!なんでこんな所に……!こんな話は聞いてない……!」
片手でダリア軍リーダーの首を掴んで持ち上げながらデューは笑う。
「ガハハハ!なんでって言われてもよぉ~。なんかオタクらがケンカするって聞いたからちょっかい出しに来ただけよ」
リーダーにとっては晴天の霹靂だったのか、顔を歪める。
「だ、誰が貴様に依頼したんだ……!?ゲイルめ……!!まさか私をハメたのか……!?」
色々なことが錯綜しているのか、リーダーは宙吊りになりながら文句を垂れ始めた。
「別に誰にも依頼されてねぇよ。むしろ帝国政府には『余計なことはすんな』って言われてたしな。まぁすんなと言われてそうですか、とはいかねぇよなぁ」
「バカな……。ゲイルの奴……!全て抑え込んだはずではなかったのか!?」
「なあ。あんた。今、俺とあんたは"ケンカ中"なんだぜ。色々考えるのは良いけどよぉ~。そんなんじゃこのまま絞め殺しちまうぜ?」
そう言うとデューは腕に力を込めた。
「ぐっぐぇえええ……!わ、わがっだ。ぎざまのようぎゅうを……いえ……」
「おう。話がわかる奴で良かった」
「ゲホッ!ゲホッ!はあっ!はあっ!」
デューが手を離すと、リーダーは地面に落下し、呼吸を再開した。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる