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サタン@異世界編PART1

店主と客が襲いかかってくる店

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「そ、その。父ちゃんが呟いてた『ぺぺン』って、ピッピンプンスカ教会が崇める神様の名前なんだって……。それで……友達のキイチのお母さんも怪物ウニ食べたら、『ぺぺン』って叫びながら教会に向かったって……」

「マジかよ……」

俺は少年に粉砕された怪物ウニを拾い上げる。

その話が本当であれば、これは単なる名物ではない。

何か宗教的な思想を植え付けるヤバいものだ。

俺は"真紅の瞳"を発動して怪物ウニを観察した。

「……げ!!これは……」

その瞬間、俺の目にあるものが飛び込んできた。

「サ、サタン?」

カトリーナが俺の顔を覗き込む。

改めて怪物ウニを見ると、砕けているから見えづらいが、そこに見えたものーーーそれは。


「魔王の芽やん」


「な、なんですって!!?」

メイジーが大声を上げる。

「いや、マジだって。俺って"真紅の瞳"で中身の構造まで観察できる人じゃないですか」

「いや、知らんけど」

「その眼で見たら、ギガントクラブとかギガントプラーケンに入ってたコレと同じもんが見えた。これに比べるとちょびっとだけど」

俺はキレイな水晶のような魔王の芽を内ポケットから取り出し、両手に持った。



「「「ギャァああァアア!!」」」



その瞬間、店内には全員の叫び声が響いた。


「サ、サタン!!それはヤバい!!お願いだからしまってくれ!!」

「サタン様!!やめて下さい!や、闇の魔力が強過ぎて息ができませんわ……!」

「や、やめなさい!それは、き、危険過ぎます!!」

「サ、サタンさん!気持ち悪いっ……!」

少年を含め、各々が苦しみ始め、そして魔王の芽から距離を取ろうと後ずさる。

「サタン!マ、マジやめろって!しまわないなら出ていかせてもらうから!!」

カトリーナは店の扉に向かって走り出す。

「おい!ちょ、待てよ!」

イケメン風の声を上げながら、魔王の芽を持つ両手を前に出して、カトリーナを追いかける。

「ギャァアアア!!やめろーーー!!」

そんな感じで俺たちが楽しく追いかけっこしていると、奥のテーブルの客が立ち上がり、こちらに歩いてきた。

「あ、あ……。ぺ、ぺぺ、ぺぺン……。ぺぺ……ン。ぺぺン……」

ぞろぞろと全員立ち上がり、ブツブツと呟く。

よく見ると目の焦点は合っていないし、よだれもダラダラ垂らしている。

さらに俺の持つ魔王の芽を求めるように両手を伸ばしてくる。

「ゾンビやん」

そして、厨房からは店主も出てきて、同じように魔王の芽に手を伸ばしてきた。

「ぺ、ぺぺン。ぺ……ぺ……ン。ぺ……ぺ!ぺ!ぺぺぺペーン!!!」

そして飛びかかってきた。


「なんだこの店は!!!」


あまりにお客様へ対しての礼儀がなってない店に大声でクレームを入れる。

「ぺぺーーーーーン!!!」

しかし店主は聞く耳を持たず、包丁で切りかかってくる。

「うわっ!ヤバいぞこいつ!!」

俺が避けようとした瞬間、クロエが日本刀を抜刀し、店主の包丁をはたき落とした。

「ふっ!!」

その勢いのまま、刀の繪で首を打つと、店主は気絶した。

「へー。強いんだな」

俺はクロエに向かってそう言った。

「メイジーを守れるくらいには」

「じゃあ、あれも頼むよ」

俺はぞろぞろと奥のテーブルから歩いて来る客を指してため息をついた。
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