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サタン@異世界編PART1
消えた父親を探す少年
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「お待たせ致しました……」
店主はそう言って怪物ウニをテーブルへゴトリと置くと、再び厨房へ戻って行った。
「こ、これか」
俺は初めて見る怪物ウニの見た目に若干不安感を覚える。
ここは異世界だからしょうがないのかもしれないが、俺がかつて現実世界で食べていたウニの色ではない。
紫と赤紫がまだらになっているような見た目で、かなり毒々しい。
さらに、割られた中身を見てみると、身の部分が緑とグレーになっている。
「っ……」
絵の具をひっくり返したような見た目の食べ物だが、これを食べるとなると少し勇気がいる。
「サ、サタン様。やはりおやめになった方が……」
メイジーが気遣ってくるが、もう後には引けない。
「い、いただきまーす!!」
自分を鼓舞するかのように食べようとしたその瞬間、店の入り口から大声が響いた。
「それを食べちゃダメだ!!!」
スプーンを口に入れようとしたまま硬直する俺。
声がした方を向くと、1人の少年がいた。
「え?でもせっかく頼んだし……」
俺は再びスプーンを口内に入れようとする。
「ダ、ダメだって言ってるじゃないか!!うわぁーーー!!!」
少年が俺に飛びかかると、俺もろともイスごと後ろへ倒れた。
そしてスプーンを取り上げ、さらにテーブル上の怪物ウニを手に取って地面に放り投げる。
その放り投げた勢いによって緑とグレーの中身が飛び散り、メイジーの高級な服に付着する。
「あらっ!!?」
「うわぁーーー!!こんなの!こんなの!!」
少年は怪物ウニを何度も何度も踏みつける。
「し、少年!よしなさい!」
クロエが止めに入ると、少年はようやく落ち着いたようだった。
「ふぅ…ふぅ…!」
「ね、ねぇ、君、どうしたの?」
子供に対してだからか、カトリーナが珍しく優しく対応する。
「ご、ごめんなさい……。俺、その……」
「落ち着いて。ね?」
メイジーが緑とグレーまみれの服のまましゃがみ、にっこり笑う。
(笑顔、怖っ……!)
「う、うん。あのね……」
少年は少しずつ話し始めた。
話によると、少年は父親と2人で暮らしていたらしい。
父親は貧しいながらも男気溢れる漁師で、周りからも慕われている人間だった。
それがある日、仕事の漁をしていると、いつもの鬼ウニと違うウニが大量に網にかかっているのを発見し、1つ食べてみたという。
(よく食ったな……)
するとそれがあまりにも美味しいので、仲間にも配り、漁協にも卸したそうだ。
その日から、父親は毎日怪物ウニを食べるようになったらしい。
そして、痛風の激痛により漁ができなくなったが、それでも怪物ウニを食べることだけはやめなかった。
次第に、父親の精神に異常が見られ始める。
何かを問いかけても、「ぺぺン」としか答えなくなり、そしてある朝少年が起きると、父親は消えていた。
街で目撃情報を集めると、ペペロニア方面に向かったという情報だけがあったが、それ以降、父親から音沙汰は無かったという。
「と、父ちゃんは、俺のことが一番大事っていつも言ってた……!いきなりいなくなるなんてあり得ない!」
「だから怪物ウニを食うとおかしくなると?」
「う、うん……」
少年は俯いた。
「それで、ペペロニアには行ってみたの?」
少年は首を振る。
「ペペロニアへは馬車じゃないと行けないし、お、俺、そんな金無くて……。だからこの街で情報を集めるしかなくて」
「そうか……」
クロエが悲しそうな顔で呟く。
「だ、だから、サ、サタンさんに、父ちゃんの行方を探してほしくて!」
「……え?なんで俺の名前を?」
いきなり名前を呼ばれてビックリした。
「友達のスマポでバズってるギガントモンスターの討伐動画見せてもらってたから……」
「サ、サタン様は有名なんですのね」
メイジーが改めてまじまじと見つめてきた。
「それで?父ちゃんがどこに行ったか探してくれって?」
俺は改めて少年に向き直る。
「う、うん……。と、父ちゃんは多分、ピッピンプンスカ教会本部へ向かったんだと思う……」
「ピッピンプンスカ教会ですって?なぜそう思われるのかしら?」
メイジーが問いかけると、少年はその理由を語り出した。
店主はそう言って怪物ウニをテーブルへゴトリと置くと、再び厨房へ戻って行った。
「こ、これか」
俺は初めて見る怪物ウニの見た目に若干不安感を覚える。
ここは異世界だからしょうがないのかもしれないが、俺がかつて現実世界で食べていたウニの色ではない。
紫と赤紫がまだらになっているような見た目で、かなり毒々しい。
さらに、割られた中身を見てみると、身の部分が緑とグレーになっている。
「っ……」
絵の具をひっくり返したような見た目の食べ物だが、これを食べるとなると少し勇気がいる。
「サ、サタン様。やはりおやめになった方が……」
メイジーが気遣ってくるが、もう後には引けない。
「い、いただきまーす!!」
自分を鼓舞するかのように食べようとしたその瞬間、店の入り口から大声が響いた。
「それを食べちゃダメだ!!!」
スプーンを口に入れようとしたまま硬直する俺。
声がした方を向くと、1人の少年がいた。
「え?でもせっかく頼んだし……」
俺は再びスプーンを口内に入れようとする。
「ダ、ダメだって言ってるじゃないか!!うわぁーーー!!!」
少年が俺に飛びかかると、俺もろともイスごと後ろへ倒れた。
そしてスプーンを取り上げ、さらにテーブル上の怪物ウニを手に取って地面に放り投げる。
その放り投げた勢いによって緑とグレーの中身が飛び散り、メイジーの高級な服に付着する。
「あらっ!!?」
「うわぁーーー!!こんなの!こんなの!!」
少年は怪物ウニを何度も何度も踏みつける。
「し、少年!よしなさい!」
クロエが止めに入ると、少年はようやく落ち着いたようだった。
「ふぅ…ふぅ…!」
「ね、ねぇ、君、どうしたの?」
子供に対してだからか、カトリーナが珍しく優しく対応する。
「ご、ごめんなさい……。俺、その……」
「落ち着いて。ね?」
メイジーが緑とグレーまみれの服のまましゃがみ、にっこり笑う。
(笑顔、怖っ……!)
「う、うん。あのね……」
少年は少しずつ話し始めた。
話によると、少年は父親と2人で暮らしていたらしい。
父親は貧しいながらも男気溢れる漁師で、周りからも慕われている人間だった。
それがある日、仕事の漁をしていると、いつもの鬼ウニと違うウニが大量に網にかかっているのを発見し、1つ食べてみたという。
(よく食ったな……)
するとそれがあまりにも美味しいので、仲間にも配り、漁協にも卸したそうだ。
その日から、父親は毎日怪物ウニを食べるようになったらしい。
そして、痛風の激痛により漁ができなくなったが、それでも怪物ウニを食べることだけはやめなかった。
次第に、父親の精神に異常が見られ始める。
何かを問いかけても、「ぺぺン」としか答えなくなり、そしてある朝少年が起きると、父親は消えていた。
街で目撃情報を集めると、ペペロニア方面に向かったという情報だけがあったが、それ以降、父親から音沙汰は無かったという。
「と、父ちゃんは、俺のことが一番大事っていつも言ってた……!いきなりいなくなるなんてあり得ない!」
「だから怪物ウニを食うとおかしくなると?」
「う、うん……」
少年は俯いた。
「それで、ペペロニアには行ってみたの?」
少年は首を振る。
「ペペロニアへは馬車じゃないと行けないし、お、俺、そんな金無くて……。だからこの街で情報を集めるしかなくて」
「そうか……」
クロエが悲しそうな顔で呟く。
「だ、だから、サ、サタンさんに、父ちゃんの行方を探してほしくて!」
「……え?なんで俺の名前を?」
いきなり名前を呼ばれてビックリした。
「友達のスマポでバズってるギガントモンスターの討伐動画見せてもらってたから……」
「サ、サタン様は有名なんですのね」
メイジーが改めてまじまじと見つめてきた。
「それで?父ちゃんがどこに行ったか探してくれって?」
俺は改めて少年に向き直る。
「う、うん……。と、父ちゃんは多分、ピッピンプンスカ教会本部へ向かったんだと思う……」
「ピッピンプンスカ教会ですって?なぜそう思われるのかしら?」
メイジーが問いかけると、少年はその理由を語り出した。
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