43 / 146
サタン@異世界編PART1
ヤバそうな薄気味悪い店でランチする
しおりを挟む
中に入ってみると、油っぽい机とボロボロのイスがお出迎え。
奥のテーブルには数名の男女が座っているが、話している様子も無く、ただ黙って下を向いているだけ。
(不気味だ……。ハズレ引いちまったか……?)
「いらっしゃいませ……」
すると、中から店主らしきイカつい男性が現れた。
身長190cmはあるだろうか。
エプロンをしているため、一見普通の料理人に見えるが、その瞳には生気が無い。
自発的に動いているというより、誰かの命令によって動かされているような気味の悪さがあった。
「ご注文は……」
大男がぬっと顔を近づけて聞いてきた。
「怪物ウニ。1個丸ごとな」
俺はメニューを開くことなく注文する。
「おい!サタン!マジでやめとけって!」
カトリーナはピーピー騒ぐが、俺の意志は変わらない。
「かしこまりました……」
大男はそう呟くと、『丸ごと1個』というオーダーに対して一切躊躇することなく調理場へ消えていった。
俺はこそこそ話でカトリーナに話しかける。
「なぁ、カトリーナ。……この店、なんか変じゃね?」
「……うん。なんか店主も客も気味が悪いよね」
カトリーナも同様の感想を持ったようだ。
さらにメイジーもこちらに顔を寄せながら話に加わる。
「あちらの席の方々のテーブルにも怪物ウニの殻が"それぞれ1個ずつ"乗っておりますわ……」
奥のテーブル席を見ると、確かにそれぞれ丸ごと1個、怪物ウニが乗っており、食べ終わった男女はただ黙って俯いていた。
「美味しさのあまり泣き喚くというが、そんな様子も無いな」
俺は事前情報との違いを指摘する。
「いえ……。もしかしたらそのフェーズはすでに終わっていて、あれは"泣き喚いた後"なのかもしれませんわ」
「マジかよ……。食ってハイになった後バッド入るって、ほぼクスリやん。そもそもなんでそんなもんが出回ってるんだ?」
そう問いかけると隣に座るクロエが答えてくれた。
「怪物ウニが名物として取り上げられたのは今から10年ほど前です。この街の港で採れていた"鬼ウニ"が突然巨大化しました。原因はわかりませんが、鬼ウニと違って中毒性があるため、売上がぐんぐん上がっていったのです」
「そりゃ上がるだろうけど」
「ええ。もちろん危険と言う人たちは今でもたくさんいましたが、それ以上にこのパニポンの怪物ウニを求めて来る人が多いため、経済効果としても取り締まりなどは簡単にはできないのです」
「わかるけど……ああなっちまうとな」
奥のテーブルを改めて見ると、1人の男が涎を垂らしながら何かを呟いていた。
「ぺ、ぺぺ……ペペン、ぺ、ぺぺ……」
次に女も呟き始める。
「ぺ、ぺ、ぺぺンン、ぺぺンンンン」
そのうち、奥のテーブルに座る男女すべてが訳の分からない言葉を呟くようになった。
「「「ペペンペぺンぺペン」」」
「怖っ……!」
俺が薄気味悪い集団を見て引いていると、厨房から店主が怪物ウニを運んできた。
奥のテーブルには数名の男女が座っているが、話している様子も無く、ただ黙って下を向いているだけ。
(不気味だ……。ハズレ引いちまったか……?)
「いらっしゃいませ……」
すると、中から店主らしきイカつい男性が現れた。
身長190cmはあるだろうか。
エプロンをしているため、一見普通の料理人に見えるが、その瞳には生気が無い。
自発的に動いているというより、誰かの命令によって動かされているような気味の悪さがあった。
「ご注文は……」
大男がぬっと顔を近づけて聞いてきた。
「怪物ウニ。1個丸ごとな」
俺はメニューを開くことなく注文する。
「おい!サタン!マジでやめとけって!」
カトリーナはピーピー騒ぐが、俺の意志は変わらない。
「かしこまりました……」
大男はそう呟くと、『丸ごと1個』というオーダーに対して一切躊躇することなく調理場へ消えていった。
俺はこそこそ話でカトリーナに話しかける。
「なぁ、カトリーナ。……この店、なんか変じゃね?」
「……うん。なんか店主も客も気味が悪いよね」
カトリーナも同様の感想を持ったようだ。
さらにメイジーもこちらに顔を寄せながら話に加わる。
「あちらの席の方々のテーブルにも怪物ウニの殻が"それぞれ1個ずつ"乗っておりますわ……」
奥のテーブル席を見ると、確かにそれぞれ丸ごと1個、怪物ウニが乗っており、食べ終わった男女はただ黙って俯いていた。
「美味しさのあまり泣き喚くというが、そんな様子も無いな」
俺は事前情報との違いを指摘する。
「いえ……。もしかしたらそのフェーズはすでに終わっていて、あれは"泣き喚いた後"なのかもしれませんわ」
「マジかよ……。食ってハイになった後バッド入るって、ほぼクスリやん。そもそもなんでそんなもんが出回ってるんだ?」
そう問いかけると隣に座るクロエが答えてくれた。
「怪物ウニが名物として取り上げられたのは今から10年ほど前です。この街の港で採れていた"鬼ウニ"が突然巨大化しました。原因はわかりませんが、鬼ウニと違って中毒性があるため、売上がぐんぐん上がっていったのです」
「そりゃ上がるだろうけど」
「ええ。もちろん危険と言う人たちは今でもたくさんいましたが、それ以上にこのパニポンの怪物ウニを求めて来る人が多いため、経済効果としても取り締まりなどは簡単にはできないのです」
「わかるけど……ああなっちまうとな」
奥のテーブルを改めて見ると、1人の男が涎を垂らしながら何かを呟いていた。
「ぺ、ぺぺ……ペペン、ぺ、ぺぺ……」
次に女も呟き始める。
「ぺ、ぺ、ぺぺンン、ぺぺンンンン」
そのうち、奥のテーブルに座る男女すべてが訳の分からない言葉を呟くようになった。
「「「ペペンペぺンぺペン」」」
「怖っ……!」
俺が薄気味悪い集団を見て引いていると、厨房から店主が怪物ウニを運んできた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる