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サタン@異世界編PART1

ヤバそうな薄気味悪い店でランチする

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中に入ってみると、油っぽい机とボロボロのイスがお出迎え。

奥のテーブルには数名の男女が座っているが、話している様子も無く、ただ黙って下を向いているだけ。

(不気味だ……。ハズレ引いちまったか……?)

「いらっしゃいませ……」

すると、中から店主らしきイカつい男性が現れた。

身長190cmはあるだろうか。

エプロンをしているため、一見普通の料理人に見えるが、その瞳には生気が無い。

自発的に動いているというより、誰かの命令によって動かされているような気味の悪さがあった。

「ご注文は……」

大男がぬっと顔を近づけて聞いてきた。

「怪物ウニ。1個丸ごとな」

俺はメニューを開くことなく注文する。

「おい!サタン!マジでやめとけって!」

カトリーナはピーピー騒ぐが、俺の意志は変わらない。

「かしこまりました……」

大男はそう呟くと、『丸ごと1個』というオーダーに対して一切躊躇することなく調理場へ消えていった。

俺はこそこそ話でカトリーナに話しかける。

「なぁ、カトリーナ。……この店、なんか変じゃね?」

「……うん。なんか店主も客も気味が悪いよね」

カトリーナも同様の感想を持ったようだ。

さらにメイジーもこちらに顔を寄せながら話に加わる。

「あちらの席の方々のテーブルにも怪物ウニの殻が"それぞれ1個ずつ"乗っておりますわ……」

奥のテーブル席を見ると、確かにそれぞれ丸ごと1個、怪物ウニが乗っており、食べ終わった男女はただ黙って俯いていた。

「美味しさのあまり泣き喚くというが、そんな様子も無いな」

俺は事前情報との違いを指摘する。

「いえ……。もしかしたらそのフェーズはすでに終わっていて、あれは"泣き喚いた後"なのかもしれませんわ」

「マジかよ……。食ってハイになった後バッド入るって、ほぼクスリやん。そもそもなんでそんなもんが出回ってるんだ?」

そう問いかけると隣に座るクロエが答えてくれた。

「怪物ウニが名物として取り上げられたのは今から10年ほど前です。この街の港で採れていた"鬼ウニ"が突然巨大化しました。原因はわかりませんが、鬼ウニと違って中毒性があるため、売上がぐんぐん上がっていったのです」

「そりゃ上がるだろうけど」

「ええ。もちろん危険と言う人たちは今でもたくさんいましたが、それ以上にこのパニポンの怪物ウニを求めて来る人が多いため、経済効果としても取り締まりなどは簡単にはできないのです」

「わかるけど……ああなっちまうとな」

奥のテーブルを改めて見ると、1人の男が涎を垂らしながら何かを呟いていた。

「ぺ、ぺぺ……ペペン、ぺ、ぺぺ……」

次に女も呟き始める。

「ぺ、ぺ、ぺぺンン、ぺぺンンンン」

そのうち、奥のテーブルに座る男女すべてが訳の分からない言葉を呟くようになった。

「「「ペペンペぺンぺペン」」」

「怖っ……!」

俺が薄気味悪い集団を見て引いていると、厨房から店主が怪物ウニを運んできた。
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