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サタン@異世界編PART1
"自サバ女"と港を目指す
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その後、目的地がお互いにプニプニパンパン港だということで、仕方なく少女と一緒に行くことにした。
「あたしよくサバサバしてるって言われるんだよね。だから言いたいこと言っちゃうけどよろしく」
「自サバ女かい」
「ってか、そのコート季節間違えてなーい?あ、ごめん。でもこういうのってあたしみたいなサバサバした人がハッキリ伝えた方がむしろ相手のためになると思うから」
「だから自サバ女かい!いきなり召喚されてコートとかこれしかないんだからしょうがないだろ!」
「お前以外みんな半袖なんですけど」
「うるせーよ!!」
生意気な自サバ女にため息をつきながら歩みを進めていると、次第にプニプニパンパン港らしき活気のある街が見えた。
「サタン。ほら、あれがプニパンだよ」
「そう略すんかい」
街の入り口をくぐると、鮮魚や果物、肉類などが市場に並んでいた。
「おいおい、マルタとは大違いじゃないか」
「当たり前だよ。ここは自国の富裕層だけじゃなく、外国の要人とかも来るピロピロムーン帝国の入り口だからね」
「だからって食糧税は取られてるんじゃないのか?」
「取られてるけど、大体は町長とか村長の息の掛かった人間が労働省に入って税率を少なく調整するんだよ」
「え、マジ?マルタだと85%だったんだけど」
「いやいや!誰かひとり労働省行ってるでしょ?だったら普通そんな税率ないよ!」
「なんだそれ……。子供がガリガリになるほど貧しかったんだが……」
「マルタの場合は珍しく自給自足してきた村だからね。名産品とかも無いし、外の街とあまり取引が無いから、税率上げられたら致命傷だよ……」
「だよな……」
俺はよくわからなかったが、とにかくマルタの税率は例外だということがわかった。
ゴロロロロロ……
(それにしても腹減ったな……)
その説明の間、果物を見ていたら腹が鳴ってしまった。
「くっ……」
「なんだ、腹が減ったのか?」
カトリーナがニヤニヤしながら言う。
「ぐ……。金で買うのか?」
「そうだよ」
「俺、金持ってない」
「知らないよ」
「カトリーナ様……お願いします……。貸して下さい……」
「どうしよーかなー」
「いいから貸せよ!!」
「そんな物の頼み方があるか!!」
怒り狂う俺にツッコミを入れつつ、カトリーナは銀の硬貨を2枚くれた。
硬貨には、変なぷよぷよしてそうなモンスターが描かれている。
「2ギル貸してやる。あ、10分1割福利だから」
「そんな暴利があるか!」
ツッコミながら市場の親父からりんごを1ギルで買い、ガリガリと齧る。
りんごが1ギルということは、元の世界で言うとざっくり1ギル100円くらいのようだ。
「というか、手っ取り早く金を稼ぐにはどうしたら良いんだ?」
「人生詰んでる奴みたいな言い分だな」
「うるせーよ」
カトリーナも干し肉を買って、パクリと咥えると近くの切り株に腰掛けた。
「まぁ冒険者のお金稼ぎだったら、ギルドで仕事の依頼を受けるのが一番早いかな」
どうやらこの世界にはギルドというシステムがあるらしい。
「なるほどなぁ……」
「なんだ?気乗りしないのか?」
「いや、俺、元の世界では経営者だったから、そういう暴力的なのはちょっと……」
「知らないよ」
俺の悩みは一蹴されてしまったが、とりあえず飯を食ったり寝床を確保するためには金がいる。
正直食事に関しては嗜好品程度の扱いなのだが、美容に余念が無い俺としては、風呂に入れない、ベッドで眠れないというのはお肌にとって大問題。
だから当面普通に宿屋に泊まれるくらいの蓄えは欲しかった。
「ギルドってのはどこにあるんだ?」
カトリーナは干し肉をもぐもぐしながら指を差す。
指し示した先にはパブのようなビールのマークが描かれた看板があった。
「OK、ありがとな。行ってみるよ。それじゃ、お前も気をつけて」
一方的に別れを告げると、ロングコートを翻して俺はパブへ向かった。
「いや、2ギル返せよ!」
カトリーナは俺が恋しくて、まだついてくるようだった。
「あたしよくサバサバしてるって言われるんだよね。だから言いたいこと言っちゃうけどよろしく」
「自サバ女かい」
「ってか、そのコート季節間違えてなーい?あ、ごめん。でもこういうのってあたしみたいなサバサバした人がハッキリ伝えた方がむしろ相手のためになると思うから」
「だから自サバ女かい!いきなり召喚されてコートとかこれしかないんだからしょうがないだろ!」
「お前以外みんな半袖なんですけど」
「うるせーよ!!」
生意気な自サバ女にため息をつきながら歩みを進めていると、次第にプニプニパンパン港らしき活気のある街が見えた。
「サタン。ほら、あれがプニパンだよ」
「そう略すんかい」
街の入り口をくぐると、鮮魚や果物、肉類などが市場に並んでいた。
「おいおい、マルタとは大違いじゃないか」
「当たり前だよ。ここは自国の富裕層だけじゃなく、外国の要人とかも来るピロピロムーン帝国の入り口だからね」
「だからって食糧税は取られてるんじゃないのか?」
「取られてるけど、大体は町長とか村長の息の掛かった人間が労働省に入って税率を少なく調整するんだよ」
「え、マジ?マルタだと85%だったんだけど」
「いやいや!誰かひとり労働省行ってるでしょ?だったら普通そんな税率ないよ!」
「なんだそれ……。子供がガリガリになるほど貧しかったんだが……」
「マルタの場合は珍しく自給自足してきた村だからね。名産品とかも無いし、外の街とあまり取引が無いから、税率上げられたら致命傷だよ……」
「だよな……」
俺はよくわからなかったが、とにかくマルタの税率は例外だということがわかった。
ゴロロロロロ……
(それにしても腹減ったな……)
その説明の間、果物を見ていたら腹が鳴ってしまった。
「くっ……」
「なんだ、腹が減ったのか?」
カトリーナがニヤニヤしながら言う。
「ぐ……。金で買うのか?」
「そうだよ」
「俺、金持ってない」
「知らないよ」
「カトリーナ様……お願いします……。貸して下さい……」
「どうしよーかなー」
「いいから貸せよ!!」
「そんな物の頼み方があるか!!」
怒り狂う俺にツッコミを入れつつ、カトリーナは銀の硬貨を2枚くれた。
硬貨には、変なぷよぷよしてそうなモンスターが描かれている。
「2ギル貸してやる。あ、10分1割福利だから」
「そんな暴利があるか!」
ツッコミながら市場の親父からりんごを1ギルで買い、ガリガリと齧る。
りんごが1ギルということは、元の世界で言うとざっくり1ギル100円くらいのようだ。
「というか、手っ取り早く金を稼ぐにはどうしたら良いんだ?」
「人生詰んでる奴みたいな言い分だな」
「うるせーよ」
カトリーナも干し肉を買って、パクリと咥えると近くの切り株に腰掛けた。
「まぁ冒険者のお金稼ぎだったら、ギルドで仕事の依頼を受けるのが一番早いかな」
どうやらこの世界にはギルドというシステムがあるらしい。
「なるほどなぁ……」
「なんだ?気乗りしないのか?」
「いや、俺、元の世界では経営者だったから、そういう暴力的なのはちょっと……」
「知らないよ」
俺の悩みは一蹴されてしまったが、とりあえず飯を食ったり寝床を確保するためには金がいる。
正直食事に関しては嗜好品程度の扱いなのだが、美容に余念が無い俺としては、風呂に入れない、ベッドで眠れないというのはお肌にとって大問題。
だから当面普通に宿屋に泊まれるくらいの蓄えは欲しかった。
「ギルドってのはどこにあるんだ?」
カトリーナは干し肉をもぐもぐしながら指を差す。
指し示した先にはパブのようなビールのマークが描かれた看板があった。
「OK、ありがとな。行ってみるよ。それじゃ、お前も気をつけて」
一方的に別れを告げると、ロングコートを翻して俺はパブへ向かった。
「いや、2ギル返せよ!」
カトリーナは俺が恋しくて、まだついてくるようだった。
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