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谷真守 編
健気なシゲ!!
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「えっ……」
親友の絶句がスマホ越しに伝わる。
そりゃそうだ、と思う。
プロポーズを受けてくれるまで好きだと伝えようと決意した男に対して、その女性が別の男とホテルに入ったという事実を告げたのだから。
しばらく声が聞こえなくなったので、私から話しかけた。
「でも、アパホテルに入ったのを見ただけだから、もしかしたら仕事かもしれないし、本人に聞くまでわからないけど……」
「……………」
シゲは相変わらず黙ったままだった。
でも、ここまで言ったらもう後には引けない。
全てをチクるのだ。
谷真守、容赦せんッ!
「由香里さんは周りをキョロキョロしてた」
「……っ!」
「あと、男は由香里さんの肩を抱き寄せてた」
「……ッッッ!」
「そして、手も繋いでた」
「……っhでちbhsjゔぇうdjっk」
シゲはあまりの衝撃におかしくなってしまった。
しかしこれで良いのだ。
傷は浅い方が良い。
こういう浮気などをする人間は、改心したり悔い改めたりすることはまず無い。
最初は「ごめん」「もう二度としない」など後悔している風を装うものの、また物事をドキドキ感や性欲で考えて同じような状況になることは確実。
ダメな奴は変わらないし、変えられない。
人が変わることは、まず無い。
だからこそ、この恋はもう終わったのだ。
シゲはきっと良い人と巡り合えるはずだから、次の恋に向けて前向きに進んでもらいたい。
だから私は、別れさせ屋になってやる。
そして、彼が幸せになるまでこれからもサポートしていこうと決めた。
もう誰にもシゲを傷つけてほしくない。
「シゲ。残念だけど、それが事実なんだ。まだわからないことはあるけど……」
「え、っと……でも、し、仕事じゃないかな?由香里さんは忙しいし……」
まだ由香里さんを信じるシゲ。
健気なシゲ!!
「今、由香里さんってどんな本作ってるの?」
「た、確か……。女性コラムニストが書いてる『99%の人が知らない恋愛の極意』みたいな本だったと思うけど……」
「じゃあ一緒にいた男の人は著者じゃないね」
希望の芽を潰していく私。
我ながら嫌な奴だと思うが、シゲの気持ちを弄ぶ奴に容赦はしない。
「そ、それは……。でも、な、何か事情があるのかも……」
「じゃあさ、安心するためにも電話してみたら?まだホテル入ったばかりだから寝てないと思うよ。どっちにしても電話しようと思ってたんでしょ?」
シゲは少し黙って考えているようだった。
恐らく、自分が彼女を疑ってしまっているのが申し訳ないと思っているんだろう。
健気なシゲ!!
しかし、そこは勇気を持って決意したようで、「わかった……」と呟くと、一回私との電話を切った。
(さて、由香里さんはどう出る?)
時刻は0時15分。
私はいまだホテルの入り口付近にいたが、由香里さんが出てくる気配は無かった。
親友の絶句がスマホ越しに伝わる。
そりゃそうだ、と思う。
プロポーズを受けてくれるまで好きだと伝えようと決意した男に対して、その女性が別の男とホテルに入ったという事実を告げたのだから。
しばらく声が聞こえなくなったので、私から話しかけた。
「でも、アパホテルに入ったのを見ただけだから、もしかしたら仕事かもしれないし、本人に聞くまでわからないけど……」
「……………」
シゲは相変わらず黙ったままだった。
でも、ここまで言ったらもう後には引けない。
全てをチクるのだ。
谷真守、容赦せんッ!
「由香里さんは周りをキョロキョロしてた」
「……っ!」
「あと、男は由香里さんの肩を抱き寄せてた」
「……ッッッ!」
「そして、手も繋いでた」
「……っhでちbhsjゔぇうdjっk」
シゲはあまりの衝撃におかしくなってしまった。
しかしこれで良いのだ。
傷は浅い方が良い。
こういう浮気などをする人間は、改心したり悔い改めたりすることはまず無い。
最初は「ごめん」「もう二度としない」など後悔している風を装うものの、また物事をドキドキ感や性欲で考えて同じような状況になることは確実。
ダメな奴は変わらないし、変えられない。
人が変わることは、まず無い。
だからこそ、この恋はもう終わったのだ。
シゲはきっと良い人と巡り合えるはずだから、次の恋に向けて前向きに進んでもらいたい。
だから私は、別れさせ屋になってやる。
そして、彼が幸せになるまでこれからもサポートしていこうと決めた。
もう誰にもシゲを傷つけてほしくない。
「シゲ。残念だけど、それが事実なんだ。まだわからないことはあるけど……」
「え、っと……でも、し、仕事じゃないかな?由香里さんは忙しいし……」
まだ由香里さんを信じるシゲ。
健気なシゲ!!
「今、由香里さんってどんな本作ってるの?」
「た、確か……。女性コラムニストが書いてる『99%の人が知らない恋愛の極意』みたいな本だったと思うけど……」
「じゃあ一緒にいた男の人は著者じゃないね」
希望の芽を潰していく私。
我ながら嫌な奴だと思うが、シゲの気持ちを弄ぶ奴に容赦はしない。
「そ、それは……。でも、な、何か事情があるのかも……」
「じゃあさ、安心するためにも電話してみたら?まだホテル入ったばかりだから寝てないと思うよ。どっちにしても電話しようと思ってたんでしょ?」
シゲは少し黙って考えているようだった。
恐らく、自分が彼女を疑ってしまっているのが申し訳ないと思っているんだろう。
健気なシゲ!!
しかし、そこは勇気を持って決意したようで、「わかった……」と呟くと、一回私との電話を切った。
(さて、由香里さんはどう出る?)
時刻は0時15分。
私はいまだホテルの入り口付近にいたが、由香里さんが出てくる気配は無かった。
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