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谷真守 編
告らせゲーム
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「ボクはどうしたら良いんだろ……。もう誰かと遊ばない方が良いのかな……」
シゲはちょうど近くにいるとのことだったので、その日のうちに駅前のマックで合流して愚痴を聞いてもらっていた。
「いや、毎回思うけどお前は何をしたいんだ?女の子をその気にさせて告らせて振るってゲームでもやってるのか?そんで"俺モテるでしょ?"ってアピール?」
シゲはサッカー部帰りの格好で爽健美茶をズズズと飲みながら言った。
「いや、そんなつもりはないよ。でも泣きながら「好き?」って聞かれて「嫌い」って答えられないじゃん。実際嫌いじゃないし」
「そりゃそうだけどさ。そしたらその泣かれた時に「でも恋愛感情は無い」ってさりげなく伝えれば良いんじゃないの?」
「いやいや。それは向こうが友達として「好き」って言ってきてた場合、『私別に恋愛として好きって言ってるとかじゃないし。自惚れてんじゃねーよ!』って言われるでしょ」
「言われねーよ。第一、普通友達に"好き"って言わねーだろ(笑)そんな恥ずいこと男女の間柄だから言えるんだって」
シゲは鼻で笑った。
「うーん……そっかぁ……」
ボクはマックの天井に向かって考え込む。
「まぁ、だからさ。お前の『友達として好き』って言葉も"本当の友達"に使う言葉じゃないってことよ。そんなん俺がお前に言ったらキモいだろ?……うっわ!!今のだけでも恥ずいわ……」
このシゲはサッカー部の体育会系だが、決してその辺のモテたいだけの脳筋系ではなく、時々かなり核心を突いてきたり、物事の本質を言い当てたりするとても頭の良い人だった。
そのため事あるごとにボクは相談している。
今日も今の一言だけでとても勉強になった。
(本当の友達に"好き"とは言わない、か……ホントそうだね)
「うん。確かに。またシゲの名言が生まれたね」
「そ、そうか?ただ思ってること言ってるだけなんだけどな。まぁ女心は繊細だからさ。優しくし過ぎるのもほどほどにしとけよ。ずっとお悩み相談受けてたのに最後はブチ切れられるんじゃ可哀想だ」
「うん、そう……。そうだね。気をつける」
「そうそう。あとお前モテるのに自分に自信無さすぎな。もっと自分で色々決めて行動して良いと思うよ。ジャニーズ顔負けのツラしてるんだしさ」
たしかにボクは昔から女の子みたい、と言われるような顔立ちだった。
髪は完全にサラサラなストレートだし、髭などもあまり生えない体質で、いわゆる中性的と言われる部類に入ると思う。
「そうかな……」
でも自尊心を打ち砕くような親の教育のせいなのか、どうしても自分に自信が持てない。
「そうだって。自信が無い奴なんてそれこそ誰かと付き合う時になったら一気にメッキが剥がれるぞ」
「うーん……」
「付き合い始めはパーフェクトなイケメン谷くんっていう100点から始まるんだから、あとは減点方式だ。可哀想だが、それはイケメンの運命だ。だからもっと自信を持て」
シゲは氷を頬張ってゴリゴリ口の中で咀嚼すると、「そろそろ行くわ」と立ち上がった。
「ありがとう。愚痴聞いてくれて」
ボクも鞄を肩にかけて立ち上がると、お礼を言った。
「ま、明日のクラスは修羅場かもな。お互い無視とか寒いからさ、お前からちゃんと真由に話しかけてやれよ」
「わかった。頑張ってみる」
マックを出ると、シゲは自転車で自宅へ向け走り去った。
その時、マックの店内から誰かの視線を感じたような気がして振り返る。
(はぁ。気のせいか。今日は疲れてるな……。明日、ちゃんと真由に謝ろう……)
そう考えながらボクは家路についた。
シゲはちょうど近くにいるとのことだったので、その日のうちに駅前のマックで合流して愚痴を聞いてもらっていた。
「いや、毎回思うけどお前は何をしたいんだ?女の子をその気にさせて告らせて振るってゲームでもやってるのか?そんで"俺モテるでしょ?"ってアピール?」
シゲはサッカー部帰りの格好で爽健美茶をズズズと飲みながら言った。
「いや、そんなつもりはないよ。でも泣きながら「好き?」って聞かれて「嫌い」って答えられないじゃん。実際嫌いじゃないし」
「そりゃそうだけどさ。そしたらその泣かれた時に「でも恋愛感情は無い」ってさりげなく伝えれば良いんじゃないの?」
「いやいや。それは向こうが友達として「好き」って言ってきてた場合、『私別に恋愛として好きって言ってるとかじゃないし。自惚れてんじゃねーよ!』って言われるでしょ」
「言われねーよ。第一、普通友達に"好き"って言わねーだろ(笑)そんな恥ずいこと男女の間柄だから言えるんだって」
シゲは鼻で笑った。
「うーん……そっかぁ……」
ボクはマックの天井に向かって考え込む。
「まぁ、だからさ。お前の『友達として好き』って言葉も"本当の友達"に使う言葉じゃないってことよ。そんなん俺がお前に言ったらキモいだろ?……うっわ!!今のだけでも恥ずいわ……」
このシゲはサッカー部の体育会系だが、決してその辺のモテたいだけの脳筋系ではなく、時々かなり核心を突いてきたり、物事の本質を言い当てたりするとても頭の良い人だった。
そのため事あるごとにボクは相談している。
今日も今の一言だけでとても勉強になった。
(本当の友達に"好き"とは言わない、か……ホントそうだね)
「うん。確かに。またシゲの名言が生まれたね」
「そ、そうか?ただ思ってること言ってるだけなんだけどな。まぁ女心は繊細だからさ。優しくし過ぎるのもほどほどにしとけよ。ずっとお悩み相談受けてたのに最後はブチ切れられるんじゃ可哀想だ」
「うん、そう……。そうだね。気をつける」
「そうそう。あとお前モテるのに自分に自信無さすぎな。もっと自分で色々決めて行動して良いと思うよ。ジャニーズ顔負けのツラしてるんだしさ」
たしかにボクは昔から女の子みたい、と言われるような顔立ちだった。
髪は完全にサラサラなストレートだし、髭などもあまり生えない体質で、いわゆる中性的と言われる部類に入ると思う。
「そうかな……」
でも自尊心を打ち砕くような親の教育のせいなのか、どうしても自分に自信が持てない。
「そうだって。自信が無い奴なんてそれこそ誰かと付き合う時になったら一気にメッキが剥がれるぞ」
「うーん……」
「付き合い始めはパーフェクトなイケメン谷くんっていう100点から始まるんだから、あとは減点方式だ。可哀想だが、それはイケメンの運命だ。だからもっと自信を持て」
シゲは氷を頬張ってゴリゴリ口の中で咀嚼すると、「そろそろ行くわ」と立ち上がった。
「ありがとう。愚痴聞いてくれて」
ボクも鞄を肩にかけて立ち上がると、お礼を言った。
「ま、明日のクラスは修羅場かもな。お互い無視とか寒いからさ、お前からちゃんと真由に話しかけてやれよ」
「わかった。頑張ってみる」
マックを出ると、シゲは自転車で自宅へ向け走り去った。
その時、マックの店内から誰かの視線を感じたような気がして振り返る。
(はぁ。気のせいか。今日は疲れてるな……。明日、ちゃんと真由に謝ろう……)
そう考えながらボクは家路についた。
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