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第二話
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遡ること数ヶ月。
あれは17年の人生の中で最も最悪な目覚めだった。
ある日の日曜日のこと。その前日に翌日が休日であることを良いことに、少し夜更かしをしていた。その為、朝の10時を過ぎても僕が目覚めることはなかった。しかし、その時間帯はいつもは起きて部屋でダンスの練習をしている時間だった。そして、それを知っていた母は幼馴染みの渡を僕の部屋に通した。それこそが悪夢の始まりであった。
「神楽ー!起きてるかー?出かけるぞー!」
バタンと大きな音をたてて開かれたドアからは光が差し込んでいた。完全に爆睡していた僕は、大きな声とその光に強制的に叩き起こされた。眠い。眠すぎる。高校生にもなってなぜ幼馴染みの大声で起こされなければならいけないのだろうか。
「あれ?起きてなかったのか?マジか。ごめんな神楽。でも今日だけは起きてもらわねぇと困るんだっ」
そう言って僕の布団を一気にひっぺがす。寒い。寒すぎる。反射的に体を縮こまらせた。やはり、僕は起きなければならないようだ。
「何?渡。僕眠いんだけど。今日なんか約束してたっけ?してなかったよね?何しにきたの?」
やばい。機嫌が悪すぎる。自分でもわかる。僕、今ものすごく機嫌が悪い。
「本当に申し訳ないとは思っています。理由は後で説明させていただきます。どうかお願いします。なんでもします。美味しいプリンも買ってきます。なので、この服に早急に着替えて身支度をしてください」
やばい。眠過ぎてプリンしか聞き取れなかった。大好きなプリンが食べられるなら…じゃない、いけない。また渡に乗せられそうになった。でも可愛い幼馴染みのお願いだ。全然なんの用かわからないけど、まあいっか。
「いいよ。それに着替えればいいの?」
「よっしゃー!ありがとう。神楽」
そう言ってガッツポーズをした渡。よかったー。喜んでくれて。
僕は、後にこの選択を激しく後悔する事となる。しかし、この選択をしなければ今の生活もなかった。そう思えば良い選択であったとも言えるのだが、これが人生で最も最悪な目覚めで、悪夢のような1日であったことは事実であったと思う。
あれは17年の人生の中で最も最悪な目覚めだった。
ある日の日曜日のこと。その前日に翌日が休日であることを良いことに、少し夜更かしをしていた。その為、朝の10時を過ぎても僕が目覚めることはなかった。しかし、その時間帯はいつもは起きて部屋でダンスの練習をしている時間だった。そして、それを知っていた母は幼馴染みの渡を僕の部屋に通した。それこそが悪夢の始まりであった。
「神楽ー!起きてるかー?出かけるぞー!」
バタンと大きな音をたてて開かれたドアからは光が差し込んでいた。完全に爆睡していた僕は、大きな声とその光に強制的に叩き起こされた。眠い。眠すぎる。高校生にもなってなぜ幼馴染みの大声で起こされなければならいけないのだろうか。
「あれ?起きてなかったのか?マジか。ごめんな神楽。でも今日だけは起きてもらわねぇと困るんだっ」
そう言って僕の布団を一気にひっぺがす。寒い。寒すぎる。反射的に体を縮こまらせた。やはり、僕は起きなければならないようだ。
「何?渡。僕眠いんだけど。今日なんか約束してたっけ?してなかったよね?何しにきたの?」
やばい。機嫌が悪すぎる。自分でもわかる。僕、今ものすごく機嫌が悪い。
「本当に申し訳ないとは思っています。理由は後で説明させていただきます。どうかお願いします。なんでもします。美味しいプリンも買ってきます。なので、この服に早急に着替えて身支度をしてください」
やばい。眠過ぎてプリンしか聞き取れなかった。大好きなプリンが食べられるなら…じゃない、いけない。また渡に乗せられそうになった。でも可愛い幼馴染みのお願いだ。全然なんの用かわからないけど、まあいっか。
「いいよ。それに着替えればいいの?」
「よっしゃー!ありがとう。神楽」
そう言ってガッツポーズをした渡。よかったー。喜んでくれて。
僕は、後にこの選択を激しく後悔する事となる。しかし、この選択をしなければ今の生活もなかった。そう思えば良い選択であったとも言えるのだが、これが人生で最も最悪な目覚めで、悪夢のような1日であったことは事実であったと思う。
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