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第4章 遺された希望、遺した絶望
4-6 共同戦線
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茂みに姿を隠していた他のカルベローナ公国軍の人物達も姿を現して、ルイスと名乗ったレンジャーの隊長の導きで彼らのベースキャンプへとたどり着く。
レンジャー隊の人数は25名程の部隊で、ベースキャンプにて待機しているのは今のところは12名程。他の部隊はそれぞれ班に別れてあの異形の魔物退治に出撃している。
ロベルトが中心になり、ルイスからこのベネズエラの情報を彼らから得る。
情報によると、あの水色の羽根を持つ異形の魔物はつい10日程前に突如として現れ、国立公園にて保護されている生物達を殺して回るので、彼らレンジャー隊に退治の要請が来ている。
他の国のレンジャー隊も参加しており、異形の魔物の駆逐を任務として与えられている。異形の魔物にはあまり情報としては少ない。わかっている情報は銃弾に対しての防御力には目を見張るものがある、その他の生物に対しての敵意が激しく見境なく攻撃してくる、このくらいの情報しかない。
「俺たちが退治してきた奴等と生態が似ているな、ロベルト」
「ああ、水色の羽根に銃弾への防御力、生物を見境なく攻撃してくる……全く同じだ」
「今までのはもっと小型だったけどね」
「あんた達も水色の羽根の生物を退治した事があるのか?」
「ああ、カマキリみたいな外見の奴を退治しているぜ」
「こっちのは空中から襲い掛かるタイプか。あのカマキリが成長したのがあれかな」
「似ているっちゃ似ているよね」
「キッド、あの魔物は見たことあるか?」
「ああ、あるよ。割とポピュラーな魔物で、向こうの世界では集団で襲ってくる事も多い」
「しかも兵隊アリみたいな奴で女王と呼ばれる虫もいるとか」
「アリみたいな生態だな」
「……やけにそっちの姉ちゃんは詳しいな」
ルイスは異形の魔物の生態に詳しいキッドに対して、驚くと同時に疑いの目を送る。
もしかしてこいつがその魔物を寄越したんじゃないかと疑っている。
だが、そんなベースキャンプでのやり取りの最中でも魔物達の襲撃は続いている。それはけたたましく鳴る緊急事態の無線信号であった。
「緊急事態発生! 緊急事態発生! 魔物が群れを成して他の国のレンジャー隊を壊滅させた! 至急、他の国のレンジャー隊は身を護る事を優先! 退避も検討してください!」
「クソ! ここから近いレンジャー隊か?」
「10キロ遠方のレンジャー隊らしいです。魔物の数は少なくとも30体!」
「30体以上か……俺たちでも荷が重いな」
「一体、どうなっているの……?」
「30体以上か……女王が誕生したかもな」
「女王を倒せば、あの魔物の繁殖を抑える事はできるのか?」
「大元は女王だから女王を倒せばいいよ。その代わり厄介だけどね」
「厄介だって?」
「女王は人間も喰うんだ。人間を襲ってくるのは食糧の確保で、いい餌になるってこと」
「餌扱いかよ、俺たちは」
そんな時にルイスのレンジャー隊も残りのメンバー達も帰還してくる。
ヤバいのに出くわしたという空気を出している。
「ルイス隊長! 俺たち、多分、ヤバいのに出くわしましたよ……!」
「もっと詳しく話してくれ」
「そいつ、見た目的にまるで戦車みたいな奴で、あの水色の羽根の昆虫を手足のように操って、襲ってきたんです。慌てて俺たちは退避してきました」
「だけど、他国のレンジャー隊が……女王に喰われて……クソっ!」
「キッド。その女王とやらは一匹だけなのか?」
「幸いにも一匹だけだよ。ただし、その女王が産む子供が絶対にいる。今は兵隊クラスしか遭遇していないけど、子供はかなり厄介だぜ」
「女王が子供を産む前に始末した方がいいな、そうなると」
「隊長! どうします?! 俺達もベースキャンプから一時的に退避しますか?! 魔物が群れを成しているのは危険ですが……」
「いや、敢えてこちらから攻めるのもありかもしれない……」
「隊長……?」
「みんなには紹介していないな。こちらの人たちもレンジャーなんだ。しかもかなり良い情報を持っている」
「カルベローナ公国軍のレンジャーです。よろしく」
「ああ、よろしく」
「ロベルト殿、勝機はありそうですか?」
「キッドからの情報によれば、女王を倒せば繁殖を抑える事は可能らしいです。後は巣を火で焼く必要がありそうですが……」
「国立公園の職員に相談ですね、火を使って巣を焼く話は」
「どこで遭遇したか、何か信号となるものはあるかい?」
「ハザード、どうするつもりだ」
「群れを成してやってくるなら、どの方角なのか頭に入れて置けば対処はしやすい。虚をつかれるのが危険なんだ。確実に処理をしようぜ」
「ルイス隊長。これで貴方の部隊の面々は揃っているのか?」
「イェーガーの部隊が戻っていない。その群れと遭遇しているかもしれないな……イェーガーのGPS信号は拾えるか?」
「拾えます」
オペレーターはイェーガーが出している信号の方角を指し示す。
「座標はこのベースキャンプはZ地点に固定しています。A地点まで行くと他国の担当区域になります。今はC地点に信号があります。このベースキャンプから真正面のテーブルマウンテンの方角ですね」
ベースキャンプの周辺には目印となるテーブルマウンテンは一つだけだった。
なので絶好の目印として選ばれたそうだ。
ベースキャンプからC地点までは距離にして8キロくらい。でも魔物は空中を飛んでいるので、すぐに到達する。思っている以上に近いといえる。
「やるか。グズグズしている暇も無さそうだ」
彼らは昆虫殲滅の為にベースキャンプから出撃して一つのテーブルマウンテンを目指して行軍を開始した。
レンジャー隊の人数は25名程の部隊で、ベースキャンプにて待機しているのは今のところは12名程。他の部隊はそれぞれ班に別れてあの異形の魔物退治に出撃している。
ロベルトが中心になり、ルイスからこのベネズエラの情報を彼らから得る。
情報によると、あの水色の羽根を持つ異形の魔物はつい10日程前に突如として現れ、国立公園にて保護されている生物達を殺して回るので、彼らレンジャー隊に退治の要請が来ている。
他の国のレンジャー隊も参加しており、異形の魔物の駆逐を任務として与えられている。異形の魔物にはあまり情報としては少ない。わかっている情報は銃弾に対しての防御力には目を見張るものがある、その他の生物に対しての敵意が激しく見境なく攻撃してくる、このくらいの情報しかない。
「俺たちが退治してきた奴等と生態が似ているな、ロベルト」
「ああ、水色の羽根に銃弾への防御力、生物を見境なく攻撃してくる……全く同じだ」
「今までのはもっと小型だったけどね」
「あんた達も水色の羽根の生物を退治した事があるのか?」
「ああ、カマキリみたいな外見の奴を退治しているぜ」
「こっちのは空中から襲い掛かるタイプか。あのカマキリが成長したのがあれかな」
「似ているっちゃ似ているよね」
「キッド、あの魔物は見たことあるか?」
「ああ、あるよ。割とポピュラーな魔物で、向こうの世界では集団で襲ってくる事も多い」
「しかも兵隊アリみたいな奴で女王と呼ばれる虫もいるとか」
「アリみたいな生態だな」
「……やけにそっちの姉ちゃんは詳しいな」
ルイスは異形の魔物の生態に詳しいキッドに対して、驚くと同時に疑いの目を送る。
もしかしてこいつがその魔物を寄越したんじゃないかと疑っている。
だが、そんなベースキャンプでのやり取りの最中でも魔物達の襲撃は続いている。それはけたたましく鳴る緊急事態の無線信号であった。
「緊急事態発生! 緊急事態発生! 魔物が群れを成して他の国のレンジャー隊を壊滅させた! 至急、他の国のレンジャー隊は身を護る事を優先! 退避も検討してください!」
「クソ! ここから近いレンジャー隊か?」
「10キロ遠方のレンジャー隊らしいです。魔物の数は少なくとも30体!」
「30体以上か……俺たちでも荷が重いな」
「一体、どうなっているの……?」
「30体以上か……女王が誕生したかもな」
「女王を倒せば、あの魔物の繁殖を抑える事はできるのか?」
「大元は女王だから女王を倒せばいいよ。その代わり厄介だけどね」
「厄介だって?」
「女王は人間も喰うんだ。人間を襲ってくるのは食糧の確保で、いい餌になるってこと」
「餌扱いかよ、俺たちは」
そんな時にルイスのレンジャー隊も残りのメンバー達も帰還してくる。
ヤバいのに出くわしたという空気を出している。
「ルイス隊長! 俺たち、多分、ヤバいのに出くわしましたよ……!」
「もっと詳しく話してくれ」
「そいつ、見た目的にまるで戦車みたいな奴で、あの水色の羽根の昆虫を手足のように操って、襲ってきたんです。慌てて俺たちは退避してきました」
「だけど、他国のレンジャー隊が……女王に喰われて……クソっ!」
「キッド。その女王とやらは一匹だけなのか?」
「幸いにも一匹だけだよ。ただし、その女王が産む子供が絶対にいる。今は兵隊クラスしか遭遇していないけど、子供はかなり厄介だぜ」
「女王が子供を産む前に始末した方がいいな、そうなると」
「隊長! どうします?! 俺達もベースキャンプから一時的に退避しますか?! 魔物が群れを成しているのは危険ですが……」
「いや、敢えてこちらから攻めるのもありかもしれない……」
「隊長……?」
「みんなには紹介していないな。こちらの人たちもレンジャーなんだ。しかもかなり良い情報を持っている」
「カルベローナ公国軍のレンジャーです。よろしく」
「ああ、よろしく」
「ロベルト殿、勝機はありそうですか?」
「キッドからの情報によれば、女王を倒せば繁殖を抑える事は可能らしいです。後は巣を火で焼く必要がありそうですが……」
「国立公園の職員に相談ですね、火を使って巣を焼く話は」
「どこで遭遇したか、何か信号となるものはあるかい?」
「ハザード、どうするつもりだ」
「群れを成してやってくるなら、どの方角なのか頭に入れて置けば対処はしやすい。虚をつかれるのが危険なんだ。確実に処理をしようぜ」
「ルイス隊長。これで貴方の部隊の面々は揃っているのか?」
「イェーガーの部隊が戻っていない。その群れと遭遇しているかもしれないな……イェーガーのGPS信号は拾えるか?」
「拾えます」
オペレーターはイェーガーが出している信号の方角を指し示す。
「座標はこのベースキャンプはZ地点に固定しています。A地点まで行くと他国の担当区域になります。今はC地点に信号があります。このベースキャンプから真正面のテーブルマウンテンの方角ですね」
ベースキャンプの周辺には目印となるテーブルマウンテンは一つだけだった。
なので絶好の目印として選ばれたそうだ。
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