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第2章 パラレリアクロス
2-9 地上を疾走る紅い稲妻
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地球行きのシャトルに乗ったジェニファー、キッド、ハザード、ロベルト一行は残る仲間、ジョニー・ライトニングを捜しに向かう。
彼は今、アメリカ・ニューヤークに落ちたといわれる隕石の調査と人命救助に駆り出されている。
アメリカのシンシナティ上空に降下した彼らは人命救助作業が行われるニューヤークに向けて飛んでいた。
せめてこのシャトルでニューヤークの近くの空港までは行きたい。そこから先は同じ黒猫の妖精の仲間にお願いをしてジョニーを見つけられたらと思う。
軍需産業会社【ペガサス社】はデトロイトに本社を置いている。支社にニューヤーク近郊のフィラデルフィアが一番近い。
巨大隕石落下の衝撃は大きく、地球連邦政府も混乱している。軍需産業会社のペガサス社は民間企業であるが人命救助作業を請け負い、避難民の受け入れ等もしている。
隕石落下の衝撃で多量の粉塵が巻き上がった結果か空の雲行きは怪しく厚い雲で覆われていた。
30分程でペガサス社のフィラデルフィア支社に到着する。しかし周辺にはペガサス社の戦闘機が哨戒任務中なのか近付いてくるシャトルに対して通信を試みた。
「こちら、ペガサス社所属の戦闘機部隊だ。貴君らの所属を教えて貰いたい。場合によっては貴君らを撃墜する」
「こちら、サイド3カルベローナ公国所属のシャトルだ。しかしカルベローナ公国とは関係なく個人として動いている。ペガサス社のテストパイロットに用がある」
「差し支えなければ名前を明かして貰いたい。我がペガサス社のテストパイロットの名前を」
「ジョニー・ライトニングという人物だ」
「ジョニーに用があるのか? 敵対意思は無い様子だな。着陸を許可する。後数キロ飛べは我々の基地が視認できるだろう」
「あの基地だな」
「ペガサス社の連中は話が判りそうな人物達だな。ジョニーの情報も得られると嬉しいが」
ハザードは操縦桿を握りシャトルを飛ばしている。ロベルトは周囲の対空監視と索敵をして警戒をしていた。
ペガサス社フィラデルフィア支社の航空基地へ着陸するシャトル。
人生で初めて地球の大地を踏みしめたジェニファーは厚い雲に覆われた空を仰ぐ。この空が平和な青い空だったら感動できたのにな──と思う。
雨が降り出すフィラデルフィア支社の基地にて彼らを出迎えたのはペガサス社の制服を纏う女性社員。
彼女はサイド3カルベローナ公国から飛んできたシャトルと聞いて自分が交渉役をするとやってきたらしい。
「こんにちは。ペガサス社へようこそ。それからキッド、久しぶりねー?」
「あ、その声はレナ!」
「どうした? キッド」
「安心してください。私は黒猫の妖精の一人、レナと申します。キッドの知り合いです」
「オレ達、黒猫の妖精は世界中に散らばって活動しているんだよ。レナはこの辺の黒猫の妖精なんだ」
「そうには見えない程、上手く女性に化けているな」
ロベルトは疑り深く答えた。
本当にこの女性があの黒猫の妖精だというのか?
キッドも黒猫の妖精と聞いたが正体をこの目で見ていないから疑わしい。
そこで彼女らは本来の姿へと一瞬で戻る。
キッドは黒猫の姿の黒の礼服を纏い、黄金の瞳を持っていた。
レナは黒猫の姿の白の礼服は纏い、茶色の瞳の猫だった。
ハザードとロベルトは度肝を抜かしたように己の目を疑う。
彼女らは本来の姿で人語を操ってみせた。
「疑いは晴れたかしら?」
「これを観て嘘っぱちとか止めてくれよな」
「マジかよ」
「顔を叩いてやろうか? ロベルト」
「必要ねーよ。俺は至ってまともだぜ」
キッドとレナはまた人間の女性に姿を変えて、本題へと入った。
「ジョニー・ライトニングを捜しに来たのね? キッドからの連絡は貰っているわ」
「ジョニーは?」
「ニューヤーク近郊に隕石落下したのは知っているでしょう? 彼は人命救助作業の為に出払っているのよ。今はそのニューヤークにいるわ」
「忙しそうだな」
「ええ。あの隕石の調査も行われるけどなかなか作業が進まなくてね」
「何故ですか?」
「あの付近に正体不明の敵が出現するらしいの。ジョニーはその対応に追われているわ」
「助けにいってやらないか? ジョニーには生きていて欲しいし」
「レナさん。このフィラデルフィア基地から飛ばせる飛行機はないかな? なるべくならレーダー搭載の奴が欲しい」
「レーダー搭載の飛行機?」
「正体不明ならレーダーで探知すればいいんじゃないかと思ってな」
「それがね、レーダー探知は既に試みてみたのよ。でもそいつはレーダーには引っ掛かる事が少なくて使い物にならないって皆、口を揃えて言ってるわ」
「兎にも角にもまずは現地に向かわないか? 時間が惜しい」
「飛行機くらいなら手配できるわ。待っていて!」
彼らはそのまま飛行機に搭乗するとニューヤーク近郊へと飛ぶ。
それにしても正体不明の敵が何者なのかが気になる。
俺達がコロニーで闘ったような未知の生物なのだろうか?
地球もコロニーと同じで世界の理が崩壊してきているなら、化け物と云われる奴らが出てきてもおかしくない。
ニューヤークに近づくにつれ、舞い上がった粉塵で視界が妨げられて、天候も黒い雨が降るようになってきた。
それはまるで人々の悲しみと憎しみが雨となって降っているように感じる。
街は隕石落下の衝撃で崩壊しており、あの都会が今は瓦礫の塔のように積み上がってしまっていた──。
飛行機が手近な公園に着陸すると、彼らはジョニーを捜しに瓦礫の街を歩く。
一方、紅い稲妻、ジョニー・ライトニングは落下してきた隕石の調査の為に実はその隕石の近くにいた。
その隕石はどうやら普通の隕石とは違い、謎に満ちた材質の隕石で、地球はおろか、宇宙でも確認されていない謎の金属で構成されているのだ。
彼はさすがに金属の材質や鉱石の知識は持ち合わせていないので首を傾げるばかり。他のパイロット達も、隕石調査の為に出張ってきた科学者すらも首を傾げる状況だ。
そんな中で謎の正体不明の敵がまた人間達を襲ってきたとの報告が彼にきた。
「ジョニー・ライトニング少佐! 例の敵がまた人々に襲撃してきております。方位201、この地点から西の方角です」
「またか! 見境なく攻撃してくるな。俺達、人間を見つけると攻撃するようになっているのか? レーダーの反応は?!」
「反応無しです」
「厄介な敵だな。おい! 絶対に避難所の人々に危害が及ばないようにしろよ!? 俺が迎撃に出る」
「ライトニング少佐、無茶ですよ!」
「無茶だろうとやらなきゃならない時があるんだ。このまま指を咥えて黙っていられるか」
その時、彼を捜していたジェニファー一行がやってきた。
ハザードとロベルトは見慣れた金髪のパイロットを見て唇を笑みの形にする。
向こうも何やら見慣れたパイロットが二人も何故か地球に降りていた。しかも女性を3人引き連れている。
彼らはジョニーの名前を呼んだ。
「ジョニー!」
「よう! 紅い稲妻!」
「ハザード! ロベルト大佐! お前ら、どうしてここに!?」
「捜していました、ジョニーさん」
「この女性は?」
「この人はあのレム大佐の娘さんのジェニファーさん。その他の二人は彼女の知り合いだよ」
「キッドだ」
「レナ、この人達と知り合いだったのか?」
「キッドとは知り合いだったわよ。他の人達ははるばるサイド3から来たのよ」
「積もる話は後でするとして今は忙しい。また正体不明の敵が襲撃してきたんだ」
「どうせなら共同戦線、張ろうぜ。ジョニー」
「レナから聞いたよ。お前の敵は俺達の敵だ。そいつを倒そうぜ」
「助かるけど良いのか?」
「討論している暇も無いだろう? ならやろうぜ。少なくとも俺達は祖国で共に闘った仲間だろ?」
「それもそうか」
そうして彼らは正体不明の敵を倒す為に共に戦う事になった。
彼は今、アメリカ・ニューヤークに落ちたといわれる隕石の調査と人命救助に駆り出されている。
アメリカのシンシナティ上空に降下した彼らは人命救助作業が行われるニューヤークに向けて飛んでいた。
せめてこのシャトルでニューヤークの近くの空港までは行きたい。そこから先は同じ黒猫の妖精の仲間にお願いをしてジョニーを見つけられたらと思う。
軍需産業会社【ペガサス社】はデトロイトに本社を置いている。支社にニューヤーク近郊のフィラデルフィアが一番近い。
巨大隕石落下の衝撃は大きく、地球連邦政府も混乱している。軍需産業会社のペガサス社は民間企業であるが人命救助作業を請け負い、避難民の受け入れ等もしている。
隕石落下の衝撃で多量の粉塵が巻き上がった結果か空の雲行きは怪しく厚い雲で覆われていた。
30分程でペガサス社のフィラデルフィア支社に到着する。しかし周辺にはペガサス社の戦闘機が哨戒任務中なのか近付いてくるシャトルに対して通信を試みた。
「こちら、ペガサス社所属の戦闘機部隊だ。貴君らの所属を教えて貰いたい。場合によっては貴君らを撃墜する」
「こちら、サイド3カルベローナ公国所属のシャトルだ。しかしカルベローナ公国とは関係なく個人として動いている。ペガサス社のテストパイロットに用がある」
「差し支えなければ名前を明かして貰いたい。我がペガサス社のテストパイロットの名前を」
「ジョニー・ライトニングという人物だ」
「ジョニーに用があるのか? 敵対意思は無い様子だな。着陸を許可する。後数キロ飛べは我々の基地が視認できるだろう」
「あの基地だな」
「ペガサス社の連中は話が判りそうな人物達だな。ジョニーの情報も得られると嬉しいが」
ハザードは操縦桿を握りシャトルを飛ばしている。ロベルトは周囲の対空監視と索敵をして警戒をしていた。
ペガサス社フィラデルフィア支社の航空基地へ着陸するシャトル。
人生で初めて地球の大地を踏みしめたジェニファーは厚い雲に覆われた空を仰ぐ。この空が平和な青い空だったら感動できたのにな──と思う。
雨が降り出すフィラデルフィア支社の基地にて彼らを出迎えたのはペガサス社の制服を纏う女性社員。
彼女はサイド3カルベローナ公国から飛んできたシャトルと聞いて自分が交渉役をするとやってきたらしい。
「こんにちは。ペガサス社へようこそ。それからキッド、久しぶりねー?」
「あ、その声はレナ!」
「どうした? キッド」
「安心してください。私は黒猫の妖精の一人、レナと申します。キッドの知り合いです」
「オレ達、黒猫の妖精は世界中に散らばって活動しているんだよ。レナはこの辺の黒猫の妖精なんだ」
「そうには見えない程、上手く女性に化けているな」
ロベルトは疑り深く答えた。
本当にこの女性があの黒猫の妖精だというのか?
キッドも黒猫の妖精と聞いたが正体をこの目で見ていないから疑わしい。
そこで彼女らは本来の姿へと一瞬で戻る。
キッドは黒猫の姿の黒の礼服を纏い、黄金の瞳を持っていた。
レナは黒猫の姿の白の礼服は纏い、茶色の瞳の猫だった。
ハザードとロベルトは度肝を抜かしたように己の目を疑う。
彼女らは本来の姿で人語を操ってみせた。
「疑いは晴れたかしら?」
「これを観て嘘っぱちとか止めてくれよな」
「マジかよ」
「顔を叩いてやろうか? ロベルト」
「必要ねーよ。俺は至ってまともだぜ」
キッドとレナはまた人間の女性に姿を変えて、本題へと入った。
「ジョニー・ライトニングを捜しに来たのね? キッドからの連絡は貰っているわ」
「ジョニーは?」
「ニューヤーク近郊に隕石落下したのは知っているでしょう? 彼は人命救助作業の為に出払っているのよ。今はそのニューヤークにいるわ」
「忙しそうだな」
「ええ。あの隕石の調査も行われるけどなかなか作業が進まなくてね」
「何故ですか?」
「あの付近に正体不明の敵が出現するらしいの。ジョニーはその対応に追われているわ」
「助けにいってやらないか? ジョニーには生きていて欲しいし」
「レナさん。このフィラデルフィア基地から飛ばせる飛行機はないかな? なるべくならレーダー搭載の奴が欲しい」
「レーダー搭載の飛行機?」
「正体不明ならレーダーで探知すればいいんじゃないかと思ってな」
「それがね、レーダー探知は既に試みてみたのよ。でもそいつはレーダーには引っ掛かる事が少なくて使い物にならないって皆、口を揃えて言ってるわ」
「兎にも角にもまずは現地に向かわないか? 時間が惜しい」
「飛行機くらいなら手配できるわ。待っていて!」
彼らはそのまま飛行機に搭乗するとニューヤーク近郊へと飛ぶ。
それにしても正体不明の敵が何者なのかが気になる。
俺達がコロニーで闘ったような未知の生物なのだろうか?
地球もコロニーと同じで世界の理が崩壊してきているなら、化け物と云われる奴らが出てきてもおかしくない。
ニューヤークに近づくにつれ、舞い上がった粉塵で視界が妨げられて、天候も黒い雨が降るようになってきた。
それはまるで人々の悲しみと憎しみが雨となって降っているように感じる。
街は隕石落下の衝撃で崩壊しており、あの都会が今は瓦礫の塔のように積み上がってしまっていた──。
飛行機が手近な公園に着陸すると、彼らはジョニーを捜しに瓦礫の街を歩く。
一方、紅い稲妻、ジョニー・ライトニングは落下してきた隕石の調査の為に実はその隕石の近くにいた。
その隕石はどうやら普通の隕石とは違い、謎に満ちた材質の隕石で、地球はおろか、宇宙でも確認されていない謎の金属で構成されているのだ。
彼はさすがに金属の材質や鉱石の知識は持ち合わせていないので首を傾げるばかり。他のパイロット達も、隕石調査の為に出張ってきた科学者すらも首を傾げる状況だ。
そんな中で謎の正体不明の敵がまた人間達を襲ってきたとの報告が彼にきた。
「ジョニー・ライトニング少佐! 例の敵がまた人々に襲撃してきております。方位201、この地点から西の方角です」
「またか! 見境なく攻撃してくるな。俺達、人間を見つけると攻撃するようになっているのか? レーダーの反応は?!」
「反応無しです」
「厄介な敵だな。おい! 絶対に避難所の人々に危害が及ばないようにしろよ!? 俺が迎撃に出る」
「ライトニング少佐、無茶ですよ!」
「無茶だろうとやらなきゃならない時があるんだ。このまま指を咥えて黙っていられるか」
その時、彼を捜していたジェニファー一行がやってきた。
ハザードとロベルトは見慣れた金髪のパイロットを見て唇を笑みの形にする。
向こうも何やら見慣れたパイロットが二人も何故か地球に降りていた。しかも女性を3人引き連れている。
彼らはジョニーの名前を呼んだ。
「ジョニー!」
「よう! 紅い稲妻!」
「ハザード! ロベルト大佐! お前ら、どうしてここに!?」
「捜していました、ジョニーさん」
「この女性は?」
「この人はあのレム大佐の娘さんのジェニファーさん。その他の二人は彼女の知り合いだよ」
「キッドだ」
「レナ、この人達と知り合いだったのか?」
「キッドとは知り合いだったわよ。他の人達ははるばるサイド3から来たのよ」
「積もる話は後でするとして今は忙しい。また正体不明の敵が襲撃してきたんだ」
「どうせなら共同戦線、張ろうぜ。ジョニー」
「レナから聞いたよ。お前の敵は俺達の敵だ。そいつを倒そうぜ」
「助かるけど良いのか?」
「討論している暇も無いだろう? ならやろうぜ。少なくとも俺達は祖国で共に闘った仲間だろ?」
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