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第二十一夜 悪魔の命令
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今、俺は何を聞いた。
鉄の手枷を外されて、代わりに手首を荒縄で縛られながら、先程飛んできた言葉を疑う。
雪菜様を殺す……?
上に伸し掛かる直美様は、俺の息子を頬張りながら、さっきの言葉の意味を話す。
「雪菜を殺すって言うのは言い過ぎかもね。あの娘はねぇ──まだ本当の快楽を知らないのよ?」
「ウウッ…ウウッ…!」
息子に口戯をしながら直美様は雪菜様の事を話す。
頭の中が快楽と、疑念で、ぐちゃぐちゃになりそうだ──。
「その本当の快楽を教えてあげて欲しいのよ──松下さんにね」
「直美様、そ、それは……うアッ…」
「でも、強情なら殺して頂いても構わないわ──私は、あなたがいればそれでいい──」
「アウッ…ハアッ…直美様─っ」
くそっ。また媚薬が疼き出した──。
監獄の男達には定期的に媚薬が打ち込まれている。大体、呼ばれる時に注射針で打ち込まれて、そして拷問を受けるのだ。
俺も先日に背中から媚薬を打ち込まれて、その後は悲惨なものだ──気絶してしまった。
激しい快楽と背徳的な想いが絡み合う中で、直美様は俺を誘惑する。
「ねぇ、どうなの? 雪菜を弄んで良いのよ? 松下さん──可愛いあの娘を奴隷のあなたが自由に出来るのよ?」
「そ、それは──アウッ!」
こんなの反則だろう?
従えと脅迫しているようなものだ。
だけど、それで皆の道具を調達できるなら──。いや、そんな事をしたら、俺は──!
頭の中が混乱している。何故、いきなり直美様はこんな恐ろしい事を話す? 何故? 何故だ?
「私ね──あの娘を骨抜きに出来る男を待っていたのよ──。そこで来たのが松下さん。あなたなら雪菜を落とせるわ。私の下僕になって──! 松下さん!」
そういう事か。直美様の下僕になって、あわよくば雪菜様を始末して、鮎川家の支配を確立しようと──そういう訳か。
直美様が騎乗位で俺を咥え込むと腰を踊らし、俺を快楽の罠に嵌めようと攻めたてる。
俺がまた虚空に手を広げて、激しい快楽の嵐に助けを求める。
こんなのに屈してたまるか──でも、でもっ!
理性が壊れ始めた。
この愛欲を独占できるなら──直美様の罠に嵌っても良いかと考えてしまう……!
俺の喘ぐ声が余程良いのか、直美様は更に責め立てた。
「松下さん。私ね、焦らされるの好きですのよ? もっと──もっと──あなたを感じさせて!」
「アウッ!」
荒縄が俺の首に周ってきた。
その恐怖たるや、殺されてしまうのでは──と頭に過ぎる。
荒縄で首を絞めると息子がいきり勃って、その感触が直美様の欲望を刺激する。
「素敵! 素敵なの。松下さん、私の下僕になって? そうすればこの快楽はあなただけのものになるのよ? 金も、名誉も、あなたのもの!」
「ウウッ! アウッ! 直美様っ」
「どうしたの? お返事は?」
断る権利などないと言うことか。
確かにそうだ。今の俺の立場は、人間とはいえ直美様の愛玩動物にかわりはない。
このままではここで殺されてしまう……!
俺は渋々、了承するしか無かった──。
「直美様の──仰せのままに──します」
「良い子ね──」
首を絞めるのを止めると直美様はとろけるような接吻を俺にする。
唾液を混ぜて、吐息を絡め、体液が糸を引いた──。
一体、俺はこれから何をするのか。
雪菜様を弄んで本当に良いのか?
困惑しながら、監獄に戻る俺は道すがら、亜美さんに相談していた。
「亜美さん。直美様はどうしてもあんな事を俺に頼むのだろうか?」
「雪菜様を弄んでいいという話ですよね。元々、直美様と雪菜様の仲はあまりよろしく無かったんです。それが最近、特に顕著になって、男性の扱いでも対立する事も少なくないんです」
「──生命の危機に立たされていただけに承知してしまったけど、乗り気にはなれない──」
「……。監獄には、シャベルなどは運びました。少しは作業も捗るかと思います──」
「一体、俺は何をしているんだ──」
「松下さん──」
ますます俺は『黒猫館』の闇に囚われていく。
この『黒猫館』を造った亡き者の怨霊が、俺を呪っていくのか、地獄に転がり落ちるように、禁断の世界へ俺を連れて行く──。
鉄の手枷を外されて、代わりに手首を荒縄で縛られながら、先程飛んできた言葉を疑う。
雪菜様を殺す……?
上に伸し掛かる直美様は、俺の息子を頬張りながら、さっきの言葉の意味を話す。
「雪菜を殺すって言うのは言い過ぎかもね。あの娘はねぇ──まだ本当の快楽を知らないのよ?」
「ウウッ…ウウッ…!」
息子に口戯をしながら直美様は雪菜様の事を話す。
頭の中が快楽と、疑念で、ぐちゃぐちゃになりそうだ──。
「その本当の快楽を教えてあげて欲しいのよ──松下さんにね」
「直美様、そ、それは……うアッ…」
「でも、強情なら殺して頂いても構わないわ──私は、あなたがいればそれでいい──」
「アウッ…ハアッ…直美様─っ」
くそっ。また媚薬が疼き出した──。
監獄の男達には定期的に媚薬が打ち込まれている。大体、呼ばれる時に注射針で打ち込まれて、そして拷問を受けるのだ。
俺も先日に背中から媚薬を打ち込まれて、その後は悲惨なものだ──気絶してしまった。
激しい快楽と背徳的な想いが絡み合う中で、直美様は俺を誘惑する。
「ねぇ、どうなの? 雪菜を弄んで良いのよ? 松下さん──可愛いあの娘を奴隷のあなたが自由に出来るのよ?」
「そ、それは──アウッ!」
こんなの反則だろう?
従えと脅迫しているようなものだ。
だけど、それで皆の道具を調達できるなら──。いや、そんな事をしたら、俺は──!
頭の中が混乱している。何故、いきなり直美様はこんな恐ろしい事を話す? 何故? 何故だ?
「私ね──あの娘を骨抜きに出来る男を待っていたのよ──。そこで来たのが松下さん。あなたなら雪菜を落とせるわ。私の下僕になって──! 松下さん!」
そういう事か。直美様の下僕になって、あわよくば雪菜様を始末して、鮎川家の支配を確立しようと──そういう訳か。
直美様が騎乗位で俺を咥え込むと腰を踊らし、俺を快楽の罠に嵌めようと攻めたてる。
俺がまた虚空に手を広げて、激しい快楽の嵐に助けを求める。
こんなのに屈してたまるか──でも、でもっ!
理性が壊れ始めた。
この愛欲を独占できるなら──直美様の罠に嵌っても良いかと考えてしまう……!
俺の喘ぐ声が余程良いのか、直美様は更に責め立てた。
「松下さん。私ね、焦らされるの好きですのよ? もっと──もっと──あなたを感じさせて!」
「アウッ!」
荒縄が俺の首に周ってきた。
その恐怖たるや、殺されてしまうのでは──と頭に過ぎる。
荒縄で首を絞めると息子がいきり勃って、その感触が直美様の欲望を刺激する。
「素敵! 素敵なの。松下さん、私の下僕になって? そうすればこの快楽はあなただけのものになるのよ? 金も、名誉も、あなたのもの!」
「ウウッ! アウッ! 直美様っ」
「どうしたの? お返事は?」
断る権利などないと言うことか。
確かにそうだ。今の俺の立場は、人間とはいえ直美様の愛玩動物にかわりはない。
このままではここで殺されてしまう……!
俺は渋々、了承するしか無かった──。
「直美様の──仰せのままに──します」
「良い子ね──」
首を絞めるのを止めると直美様はとろけるような接吻を俺にする。
唾液を混ぜて、吐息を絡め、体液が糸を引いた──。
一体、俺はこれから何をするのか。
雪菜様を弄んで本当に良いのか?
困惑しながら、監獄に戻る俺は道すがら、亜美さんに相談していた。
「亜美さん。直美様はどうしてもあんな事を俺に頼むのだろうか?」
「雪菜様を弄んでいいという話ですよね。元々、直美様と雪菜様の仲はあまりよろしく無かったんです。それが最近、特に顕著になって、男性の扱いでも対立する事も少なくないんです」
「──生命の危機に立たされていただけに承知してしまったけど、乗り気にはなれない──」
「……。監獄には、シャベルなどは運びました。少しは作業も捗るかと思います──」
「一体、俺は何をしているんだ──」
「松下さん──」
ますます俺は『黒猫館』の闇に囚われていく。
この『黒猫館』を造った亡き者の怨霊が、俺を呪っていくのか、地獄に転がり落ちるように、禁断の世界へ俺を連れて行く──。
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