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番外編

(スピンオフ)あいのす※

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※お兄ちゃん視点の発情期編です。

さすがに名前を呼ばせてあげたかったので、名前が決まりました。

Ωくん→ミカ
βお兄ちゃん→シュウ

発情期編で、シュウ×ミカ です。
発情期編ですが、あろうことかエロぬるめになってしまいました。すみません。




 「……ええ、はい、そういうわけで。ミカくんは責任を持ってお預かりしますので」

 「シュウくんなら安心だわ。今回もうちの子が無理言ってお願いしたんでしょう? ありがとう、こちらこそよろしく頼みますね 」

 「確かにこうなることは予想外でしたけど……僕《・》もミカくんのことは大切に思ってるので、大事にします!」




 ――――なんて。

 あぁ~~~~!!言っちゃったよ!!

 
 
 まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。
 
 ずっと弟のように可愛がっていた幼なじみのミカは俺のことを慕ってくれていたし、あいつがΩかもしれないことにも薄々気付いていた。
 だからあいつの気持ちはよくある身近な大人への憧れで、そのうちきっと番になる相手と出会うはず。
 
 それでも俺だって兄としてミカのことは大好きだったから、あいつが純粋に慕ってくれる今だけは、お兄ちゃんポジションを満喫したいと思っていただけなのに。

 なのに気付けば俺はあいつに迫られて、なし崩し的にそういう関係になってしまっていた。

 いや、だってさあ? 目に入れても痛くないほどの可愛い弟に迫られて、俺が拒否できるわけがないんだよ!!
 あいつもあいつで、それをわかってやってるのが本当にタチが悪い。

 大体俺が未成年と……なんてちょっとした事案だし、
 だけどあんなに本気で迫られて好きだって言われた勢いに負けたというか、まあ俺が下なら妊娠することもないし、結局のところ気持ちよくさせられてしまったというか………

 まあ、あれだ。
 俺なんかであいつが幸せそうに笑ってくれるなら、いつかあいつが番に出会うまでの今ぐらい、恋人みたいな関係でいるのも悪くないと思ってしまったんだよまったくもう!!

 で、なんだかんだやってるうちに初めてあいつの本格的な発情期が来たってことで、一旦あいつを貸部屋に避難させてから親御さんにご報告をしていたというわけだ。


 念には念を入れ、発情期の段取りについては事前に打ち合わせしていたとおりスムーズなものだった。
 ご挨拶だって付き合うことを決めた時点で済ませているし(俺が抱かれているとは言っていないが気付かれているような気がする)、お互い家族に気を遣わずに済むよう貸部屋も押さえてあった。

 この段取り、いつかのいけ好かないα野郎の入れ知恵なのが癪ではあるがよく出来ている。
 貸部屋だってヤツの伝手で格安だとか、一体なんなんだ? 防音性も抜群? そりゃあどうも!
 ミカにちょっかいを出してるわけではないみたいだが、セックス指南?とかお前のせいで俺はッ……!
 全くプレイボーイには困ったもんだな!

 しかし「君たちがうまくいってくれないと、僕も困るんだよね」なんて言いながらとてつもない圧をかけられていたのは気のせいではないはずだ。
 まあ何にせよ、ミカに変なことをしていないなら別にいい。

 

 さてと、現実逃避はこれくらいにして…………

 俺にとってもΩの発情期は未知の世界。
 念のためここらで一番大きな図書館に通ってできる限りの勉強はしていたものの、こうなってしまえば腹を括って、いざ突撃……!!



***


 「はぁ………お兄ちゃ…………」


 扉をあけると、βの俺でも感じ取れるほどの……なんというか、熱い空気が部屋に充満していた。
 これが発情フェロモンというものなのか、言われてみれば、その熱気にはうっすらと花のような香りが籠もって漂っている。
 ただ、どちらかというと、そんなわかりにくい香りは獲物おれを安心させるための見せかけで、熱気そのものがじわじわと俺の身体の内側に侵入してくるような心地だった。

 ダメだ、既に一瞬思考が飛びかけていたようだ。

 「ミカ、待たせてごめんな」

 「はぁっ、お兄ちゃ、はやくちょうだい……!!」

 泣きながらふるふると震えるミカに近付くと、もう待てないとばかりに寝台に引っ張り込まれて着ているものを剥ぎ取られたのは一瞬のことだった。
 
 「はぁっ、あっ、んっ…………」

 「はぁ、んんっ、お兄ちゃんっ、」

 「んっ、はぁっ、ミカ、我慢しないで」

 俺の唾液を吸い尽くすように唇に齧り付いたあと、そのままの舌遣いで耳朶や首筋に痕をつけていく。
 ……ダメだ、うっかり惚けてしまうところだったが、これでは俺が抱かれるときと変わらない。
 自分がここにいる理由を改めて思い出し、既に張り詰めて辛そうなミカの熱を解放するように、そっと握り込んで扱いてやった。

 「つらかったよな、ほら、一回出そうか」

 「あっ、あんっ、あああっ………………」

 
 一度は精を吐き出して肩で息をしているものの、まだまだ足りないとミカの目が訴える。
 俺がαじゃないから、しかもβで初めてとなると発情期なんてマトモに対処なんてできないからと、これでも軽い抑制剤は飲んでいるはず。
 それなのにこんな風につらい思いをするなんて、この先、本当に俺が相手でいいのだろうか……なんて思いもしたのだが…………



 「ねえ、もっとちょうだい」

 組み敷かれるように仰向けにされたことに気付いたそのあとは、そんなこと考えている余裕なんて一切なくなった。


***


 「あぁっ、はぁっ、あっ、そこ、もっと、」

 「んっ、はぁ……ここか?……はぁっ」


 はやくはやくと強請られて、Ωの孔は大して解してもいないのに……本当にじゅぷりと簡単に俺を迎え入れ、それでいて強烈な締め付けが理性を試しにかかってくる。


 ある意味で、俺がβで良かったのかもしれないな。
 もしこれがαなら、とっくに正気を保っていられないのだろう。


 …………いや、もしかしたら、正気なんてサッサと飛ばしたほうが幸せだったのかもしれない。

 ミカの奥を突き上げるたびに気持ちよさそうに声を上げて、それでもまだ足りないと訴える。
 もちろん俺は必死で応えるが、既に避妊具が意味を為さないほどには相当搾り取られ過ぎて逆に冷静になっていた。


 なんだろう、これ。
 Ωの本能で理性をふっ飛ばして俺に乗っかってくるけれど、なんだか気持ちが置いてけぼりだ。

 俺じゃなくてもいいんじゃないか? なんて思ってしまいそうだけど、こいつは俺がいいって言ってくれたし、俺だってほかのやつにはさせたくない。


 ………………ああ、そっか。

 俺、こいつに流されて受け入れたつもりになっていたけど、俺だってこいつが大好きだ。

 俺は迷いを捨てられなくて、ミカに抱かれているときも好きだと気持ちを返せていなかった。
 だけど、相手から気持ちが返ってこないことがこんなに寂しいなんて知らなかった。

 こんなにも俺を愛してくれていたのに、自分の負担を棚上げしてまでαでもない俺を発情期の相手に選んでくれたのに、覚悟を決められなくて待たせてごめんな。

 
 「好きだよ、だから、一緒にがんばろうな」

 
 好きだと気付いてしまえば愛おし過ぎて、もっとしてやりたいと俺自身も元気になってくる。


 「はぁっ、ミカ、好きだ、」

 「あぁっ、はぁっ、気持ちいぃ、」

 ミカをうつ伏せに寝かせて腰を上げ、後ろから突いてやれば気持ちよさそうな反応が返ってくる。
 普段こいつに抱かれている俺だからこそ、こいつの気持ちいいところもよく知っている。

 完全に満足させてやれるかどうかはわからないけれど、俺なりにできる限り愛を返したい。

 正気に戻れば覚えていないかもしれないけれど、それでも好きだと伝えたい。
 それから発情期が終わっても、愛してるっていっぱい教えてやるからな――――

 
 





ありがとうございました。
発情期編!あほエロ書くやで!と当初張り切って書いていたものの、書いているうちに完全にお兄ちゃんに感情移入してしまいこんなことに……
楽しみにして下さっていた方がいらっしゃいましたらすみませんでした。
でもこれはこれで結果的に、この二人には必要な段階だったかなとも思います。

次回より、主人公CPのお話に戻ります。
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