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本編
9.とろける※
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※主人公視点→攻め視点
◆
コマンドの強制力に衝き動かされ、彼から目を離せない。
視線がぶつかりじわりと滲み出るグレアにとらわれて、もっともっと、混ざりあいたくて仕方ない。
「そう、Good boy……僕のルカ……」
Domから放たれる言葉すべてが身体に染みわたっていくようで、気持ちよすぎてふわふわする。
これからなにをしようとしているのかなんて、おれにだってそれぐらいはわかってる。
おれ自身は精通した記憶すらないはずなのに、はやく欲しくてたまらないのは……知らぬ間に成長したこの身体はそういうことをよく知っているということだ。
「ルカ…………ずっときみに、触れたかった」
そっと頬に手が触れて、先ほどとは比べものにならないほどに深く口付けられる温かさが気持ちいい。
「ん…………はぁっ…………」
息をするのも惜しいほど性急に、もっと、もっとと強請るように舌を絡め合う。
そんなものでは足りなくて、少しでも多く触れていたくて……考えるより先に手を伸ばし、お互いの肌を探り合っていた。
止めてもいいと言われたけれど、止めるつもりなんてなかった。
何も持たない、何も返すこともできないこんなおれでいいのなら。
別の目的があるのだとしても構わないし、おれの姿にルーカスを重ねているというならそれでもいい。
執事ではなく自我をもったひとりのSubとして、彼に求められて役に立てるならそれでいい。
それでもいいから、なんだっていいから今だけは彼のSubとして抱かれたい。
そう思えるほどには、壊れものの自分に向けられる優しい熱が手放せなくて、もう戻れないところまでズブズブに堕ちていた。
「はぁ……あぁっ…………」
ようやく唇が解放されたと思いきや、ひと息吐く間もなく耳朶や首筋が啄まれる。
優しい目から放たれるグレアは媚薬のようで、全身の力が抜けていく。気が付けばおれの衣服は既に剥ぎ取られ、身体を寄せ合ったまま寝台に倒れ込んでいた。
◆◇◆
あの頃の控えめな笑顔が忘れられなくて。
彼のことが大好きで、ずっと一緒にいられるだけで良かったのに。
突然会えなくなってから、ずっと居座っていたルカという少年がいまここにいることの嬉しさと。
年相応に成長したはずのルカの身体と、幼さが残るあの頃と変わらないような言葉遣いがどこか倒錯的で……結果的に彼を囲い込んた背徳感も相まって全身がゾクリとした。
「ルカ……優しくするから……Stay…………僕にさせて」
そう告げると、ルカはその視線で頷いて、そのままゆっくりと身体が委ねられた。
愛するSubと交わすコマンドがこんなにも気持ちがいいなんて、一度知ってしまえば全然足りなくて。
何より僕のコマンドですっかり蕩けきったルカが愛おしくてたまらなくて、身体が熱くなるのが止められない。
「そう、Good boy、そのまま力を抜いていて」
「あぁっ……んんっ…………」
潤滑油を纏わせた僕の指が、二本、三本とルカの後ろを解していく。
「ぁんっ…………はぁっ…………」
少し驚いたようなルカの表情とは対照的にそれはスムーズで、大した抵抗を受けずにするりと侵入する。
身体は悦んでいるのが伝わってくるのは嬉しいものの、どす黒い嫉妬心で思わず激しくしてしまいそうになる。
頭ではもちろん理解しているが、かつての主人に教え込まれて抱き潰されて、壊されたのだと想像するだけで力が籠もる。
「あぁぁぁっっ……………!!」
「ほら、Stay」
「あ…………」
いいところを探り当てて、念押しするように意地悪くコマンドを放つ。
ルカの瞳からは生理的な涙がポロポロと流れているが、彼自身もゆるく勃ちあがっていることに安堵する。
Subとしてずっとひどい扱いを受けてきたであろう愛しいルカに、ようやく触れることができたのに。
傷付けないように優しく愛してめちゃくちゃに甘やかしたいのに、全部自分のものにしたくて止められない。
「Good、そう、もっと感じて」
「ああっ……ぁああああっ…………」
ルカと、繫がる――――
抜いた指と引き換えに、熱くなった僕自身でルカを支配する。
こんな瞬間が、本当に来るなんて…………
恥じらう気力も残っていないほど……僕との触れ合いでこんなにもとろとろになってくれたのも嬉しくてたまらない。
僕を受け入れてくれるルカのナカは温かくて、ひとつになったと意識するだけでまた熱くなってきゅっとする。
ルカは声にならない声をあげながら、行き場のない熱を解放しようと自らの昂りに手を伸ばす。
「待って……僕に掴まってて」
「んっ…………はぁ…………」
僕だって余裕なんてなくて、いい加減なコマンドとすら言えない言葉でルカを繋ぎ止めたくて、それでも本能で応えてくれたて僕の背中に腕が回る。
噛みつかれても、引っ掻かれても、堪え切れずに放たれた生暖かい液体も、それがルカのものだと思えばすべてが甘い媚薬だった。
「は……ルカの……すごいよ…………はぁっ……」
「ん………ぁ……………」
出しても出しても止められなくて、夢中で腰を打ち付けるほどにルカの手脚も強く絡められて、お互いの境界が曖昧になっていく。
「はぁっ……可愛い……ルカ…………」
「あっ、はぁっ、あぁ…ッ………」
身体を繋げる快楽と、時折放たれるコマンドで満たされる本能がぐちゃぐちゃに混ざり合って、泥のように抱き合った。
「ルカ…………愛してる…………」
途切れることなく与えられる麻薬のような快感に支配されるまま、ルカの意識が途切れたことにも気が付かないほど夢中で愛し続けていた。
◆
コマンドの強制力に衝き動かされ、彼から目を離せない。
視線がぶつかりじわりと滲み出るグレアにとらわれて、もっともっと、混ざりあいたくて仕方ない。
「そう、Good boy……僕のルカ……」
Domから放たれる言葉すべてが身体に染みわたっていくようで、気持ちよすぎてふわふわする。
これからなにをしようとしているのかなんて、おれにだってそれぐらいはわかってる。
おれ自身は精通した記憶すらないはずなのに、はやく欲しくてたまらないのは……知らぬ間に成長したこの身体はそういうことをよく知っているということだ。
「ルカ…………ずっときみに、触れたかった」
そっと頬に手が触れて、先ほどとは比べものにならないほどに深く口付けられる温かさが気持ちいい。
「ん…………はぁっ…………」
息をするのも惜しいほど性急に、もっと、もっとと強請るように舌を絡め合う。
そんなものでは足りなくて、少しでも多く触れていたくて……考えるより先に手を伸ばし、お互いの肌を探り合っていた。
止めてもいいと言われたけれど、止めるつもりなんてなかった。
何も持たない、何も返すこともできないこんなおれでいいのなら。
別の目的があるのだとしても構わないし、おれの姿にルーカスを重ねているというならそれでもいい。
執事ではなく自我をもったひとりのSubとして、彼に求められて役に立てるならそれでいい。
それでもいいから、なんだっていいから今だけは彼のSubとして抱かれたい。
そう思えるほどには、壊れものの自分に向けられる優しい熱が手放せなくて、もう戻れないところまでズブズブに堕ちていた。
「はぁ……あぁっ…………」
ようやく唇が解放されたと思いきや、ひと息吐く間もなく耳朶や首筋が啄まれる。
優しい目から放たれるグレアは媚薬のようで、全身の力が抜けていく。気が付けばおれの衣服は既に剥ぎ取られ、身体を寄せ合ったまま寝台に倒れ込んでいた。
◆◇◆
あの頃の控えめな笑顔が忘れられなくて。
彼のことが大好きで、ずっと一緒にいられるだけで良かったのに。
突然会えなくなってから、ずっと居座っていたルカという少年がいまここにいることの嬉しさと。
年相応に成長したはずのルカの身体と、幼さが残るあの頃と変わらないような言葉遣いがどこか倒錯的で……結果的に彼を囲い込んた背徳感も相まって全身がゾクリとした。
「ルカ……優しくするから……Stay…………僕にさせて」
そう告げると、ルカはその視線で頷いて、そのままゆっくりと身体が委ねられた。
愛するSubと交わすコマンドがこんなにも気持ちがいいなんて、一度知ってしまえば全然足りなくて。
何より僕のコマンドですっかり蕩けきったルカが愛おしくてたまらなくて、身体が熱くなるのが止められない。
「そう、Good boy、そのまま力を抜いていて」
「あぁっ……んんっ…………」
潤滑油を纏わせた僕の指が、二本、三本とルカの後ろを解していく。
「ぁんっ…………はぁっ…………」
少し驚いたようなルカの表情とは対照的にそれはスムーズで、大した抵抗を受けずにするりと侵入する。
身体は悦んでいるのが伝わってくるのは嬉しいものの、どす黒い嫉妬心で思わず激しくしてしまいそうになる。
頭ではもちろん理解しているが、かつての主人に教え込まれて抱き潰されて、壊されたのだと想像するだけで力が籠もる。
「あぁぁぁっっ……………!!」
「ほら、Stay」
「あ…………」
いいところを探り当てて、念押しするように意地悪くコマンドを放つ。
ルカの瞳からは生理的な涙がポロポロと流れているが、彼自身もゆるく勃ちあがっていることに安堵する。
Subとしてずっとひどい扱いを受けてきたであろう愛しいルカに、ようやく触れることができたのに。
傷付けないように優しく愛してめちゃくちゃに甘やかしたいのに、全部自分のものにしたくて止められない。
「Good、そう、もっと感じて」
「ああっ……ぁああああっ…………」
ルカと、繫がる――――
抜いた指と引き換えに、熱くなった僕自身でルカを支配する。
こんな瞬間が、本当に来るなんて…………
恥じらう気力も残っていないほど……僕との触れ合いでこんなにもとろとろになってくれたのも嬉しくてたまらない。
僕を受け入れてくれるルカのナカは温かくて、ひとつになったと意識するだけでまた熱くなってきゅっとする。
ルカは声にならない声をあげながら、行き場のない熱を解放しようと自らの昂りに手を伸ばす。
「待って……僕に掴まってて」
「んっ…………はぁ…………」
僕だって余裕なんてなくて、いい加減なコマンドとすら言えない言葉でルカを繋ぎ止めたくて、それでも本能で応えてくれたて僕の背中に腕が回る。
噛みつかれても、引っ掻かれても、堪え切れずに放たれた生暖かい液体も、それがルカのものだと思えばすべてが甘い媚薬だった。
「は……ルカの……すごいよ…………はぁっ……」
「ん………ぁ……………」
出しても出しても止められなくて、夢中で腰を打ち付けるほどにルカの手脚も強く絡められて、お互いの境界が曖昧になっていく。
「はぁっ……可愛い……ルカ…………」
「あっ、はぁっ、あぁ…ッ………」
身体を繋げる快楽と、時折放たれるコマンドで満たされる本能がぐちゃぐちゃに混ざり合って、泥のように抱き合った。
「ルカ…………愛してる…………」
途切れることなく与えられる麻薬のような快感に支配されるまま、ルカの意識が途切れたことにも気が付かないほど夢中で愛し続けていた。
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