恋愛ショートショート

もう会えないかもしれない君を思い浮かべて

「私たち、もう一度会えるのかな？」

夜空に広がる星々を見上げながら、リナは独り言のように呟いた。彼女の心には、宇宙船「アストロノート」に乗ってきたアレックスの姿が鮮明に浮かんでいた。アレックスは彼女の幼馴染であり、宇宙探査士としての第一歩を踏み出すために地球を離れたばかりだった。

「リナ、何を考えてるの？」と、隣に立っていた友人のユウが訊ねる。彼もまた、アレックスのことを気にかけていた。リナはその言葉に少し驚いたように顔を向けた。

「アレックスが宇宙に行っちゃったこと、やっぱり寂しいなって思ってさ。」

「そっか。でも、彼は宇宙の未知を探求するために行ったんだ。リナも応援してあげないと。」

ユウはそう言いながら、夜空の星々を指さした。「あの星のどこかに、アレックスがいるんだよ。」

リナは小さく微笑んだ。「そうだね。でも、宇宙って広すぎて、どこにいるのか全然分からないし、ちゃんと帰って来られるかも心配で…。」

「大丈夫だよ、アレックスは強いから。リナだって彼を信じてあげるべきだよ。」ユウは優しく言った。

その時、リナの端末が突然鳴った。画面に映し出されたのはアレックスからのメッセージだった。

「リナ、元気にしてる？ 宇宙はすごく広いけど、星々の間に君のことを感じるよ。必ず帰るから、待っていて。」

そのメッセージを見た瞬間、リナの心は温かくなった。宇宙の果てで、アレックスが自分の存在を思い出してくれていることが、何よりも嬉しかった。

「リナ、どうしたの？」ユウが不思議そうに聞く。

「アレックスからメッセージが来たの！ 彼、私のことを思ってくれてるんだ！」リナの目は輝いていた。

「良かったね！それなら、もっと彼を信じられるんじゃない？」

次の日、リナはアレックスの言葉を励みに、日常生活を送ることにした。彼女は宇宙探査に関する本を読み、映像を見て自分も少しでも宇宙を感じようとした。しかし、日が経つにつれて、彼女は孤独感に苛まれ始めた。

「リナ、最近元気ないね。」ユウが心配そうに言った。

「うん…アレックスが帰ってくるまで、どうしても不安で…。」

「でも、アレックスは必ず帰って来るよ。信じてあげよう。」

その言葉を胸に、リナはまた日常に戻ろうとした。だが、その夜、彼女は夢を見た。夢の中で彼女は、宇宙の無限の黒に包まれた空間に立っていた。そこには、アレックスがいた。

「リナ、君はここにいるのか？」アレックスの声が響く。

「アレックス！ どうしてこんなところに？」リナは驚きと喜びでいっぱいだった。

「君に会いたかったんだ。君のことを、ずっと考えていた。」彼は少し照れくさそうに言った。

「私も…でも、どうして宇宙に行ったの？」

「未知を探求するためだ。でも、君と離れるのは辛かった。」アレックスの瞳が真剣にリナを見つめる。

「私も、すごく寂しいよ。でも、あなたの夢を応援したい…。」

「ありがとう、リナ。君は僕の星だ。どんなに遠くにいても、君を思い続ける。」

その瞬間、リナは彼の腕の中に抱かれた。彼女はその温もりを感じ、無限の宇宙の中で一つになったような気がした。

「アレックス、いつ帰ってくるの？」彼女は恐る恐る尋ねた。

「すぐには無理だけど、必ず戻る。だから待っていてくれ。」

リナは頷いた。彼の言葉に心を委ねながら、夢の中で彼と過ごす時間を楽しんだ。

目が覚めた時、彼女は少し元気を取り戻していた。アレックスのメッセージを思い出し、彼を信じる力が湧いてきた。しかし、日々の生活の中で、孤独感が再び彼女を襲った。

そんなある日、リナは街の広場で不思議な展示物を見つけた。それは異星人の技術を再現したもので、宇宙の様々な惑星を体験できる装置だった。彼女は興味を惹かれ、装置に入り込んでみることにした。

「これ、どうなるのかな…？」彼女は少し不安になりながらも、好奇心に駆られて操作パネルを触った。

その瞬間、周囲が光に包まれ、彼女は異星の風景に飛び込んだ。そこには美しい星々が輝き、神秘的な生物たちが踊っていた。

「すごい、これが宇宙…！」彼女は興奮しながら周囲を見渡した。

その時、ふと彼女の目の前に現れたのは、アレックスに似た姿の異星人だった。彼は優しい笑顔を浮かべていた。

「君が求めるものは、すべてこの宇宙の中にある。」

「あなたは…アレックス？」リナは驚き、彼に近づいた。

「僕の姿を借りて、君にメッセージを伝えるために来た。信じて待つことが、最も大切なことだ。」

その言葉を聞いた瞬間、リナは胸が熱くなった。彼女はアレックスの存在を感じ、涙がこぼれそうになった。

「アレックス、私は待つよ。あなたが帰ってくるまで、ずっと。」

「その心が、僕を支えている。君の思いが、宇宙を越えて届く。」彼は微笑んだ。

光が再び彼女を包み込み、気がつくとリナは元の広場に戻っていた。彼女の心には、アレックスとの絆が深まったという実感があった。

「リナ、どうだった？」ユウが心配そうに声をかける。

「すごく不思議な体験をしたよ。アレックスのこと、もっと信じられるようになった。」リナは微笑みながら答えた。

「それなら良かった！君の心が彼を支えてるんだね。」

彼女は頷いた。アレックスがいつ帰ってくるのかは分からないが、彼が待っていてくれる限り、リナは彼の星を信じ続けることができる。

「私、待ち続けるよ。アレックスが戻るその日まで。」リナは心の中で誓った。

未来のどこかで、彼と再び出会えることを夢見て。