恋愛ショートショート

知子のもつれた心

知子ともこはドキドキしながら部屋の真ん中に立っていた。
目の前には、それぞれに告白した4人の男性がいた。
知子は、自分がこのような状況に置かれるとは思ってもみなかった。
ましてや、すでに複雑な状況にある今、なおさらだ。
幼なじみの俊之は、知子をじっと見つめていた。
「知子、誰にも振り回される必要はない。 俺は昔から知っている。 昔からずっとそうだったように、俺を信じてくれ」
知子は唇を噛んだ。
 敏之はいつも彼女のそばにいてくれたが、他の人たちは...
敏之、まるで自分が彼女のことを一番よく知っているみたいに言うなよ。
知子、朝まで語り明かした夜を覚えてるか? 
君は自分の夢について話してくれた。
知子は圭をちらりと見て、胸が痛んだ。
彼は彼女にとって心の支えになっていたが、それだけで十分だったのだろうか?
「一番長く彼女を知っているとか、彼女にとっての心の支えであるとか、そういうことじゃない。彼女が本当に何を望んでいるのかを理解することなんだ。知子、僕はいつも君が自分らしくいられるように、期待せずに君にスペースを与えてきた。」
彼のソフトで論理的な口調は彼女を安心させたが、本当に彼を選ぶことができるのだろうか?
最後の求婚者である健太が突然口を開いた。
「みんな、自分が智子にしてあげたことばかり言ってるけど、それは智子が自分で決めなきゃいけないことなんだ。智子、自分の気持ちに従って。君が何を決断しても、僕たちはそれを尊重するよ」
智子は圧倒された。
みんなそれぞれに一理あるし、自分の気持ちもいろんな方向に引っ張られている。ちらりと俊之の方を見ると、彼の目は優しくなっていた。
「知子が誰を選ぶにしても、僕はいつでも君のそばにいるよ。それを忘れないで」