恋愛ショートショート

かまの悠作

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月夜の秘密

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「順一さん、大丈夫ですか?!」
暁子あかこは心配そうに、倒れている順一のそばに駆け寄った。

順一は血まみれの姿で、苦痛に顔を歪めていた。
「す、すみません…私のせいで…」

「いいえ、そんなことありません!どうしてこんなに傷だらけなんですか?」

順一は苦笑いしながら答えた。
「実は、私は狼なんです。満月の夜になると、人間の姿から狼に変わってしまうんです。この呪いから逃れるために、都会に隠れて暮らしていたんですが…」

暁子は驚きながらも、順一の言葉に寄り添った。「順一さん、私は自然が大好きなんです。植物たちと一緒にいると、心が落ち着くんですよ。だから、あなたのことを受け入れます。一緒にこの呪いを解いてみませんか?」

順一は目を見開いて、驚きの表情を浮かべた。
「本当ですか?あなたは私のことを怖がらないんですか?」

暁子は笑顔で答えた。
「怖がるかもしれませんが、私はあなたの心を知っています。あなたは優しい人です。一緒に闘って、この呪いを解いてみましょう!」

二人は手を取り合い、協力して呪いの解消方法を探し始めた。
暁子は古い伝承や書物を調べ、森の奥に住むという賢者に助けを求めることを決意した。

旅の途中、二人は数々の困難に立ち向かった。
激しい嵐に遭遇したり、危険な生物と遭遇したりしながらも、彼らの愛と絆は揺るがなかった。

とうとう彼らは賢者のもとに辿り着いた。
賢者は順一の呪いの解消方法を教えてくれたが、その代償として、順一は一度だけ狼になる力を使わなければならなかった。

順一は迷いながらも、暁子に手を差し伸べた。
「暁子さん、私は一度だけ狼になります。でも、その力を自然と共生するために使うんです。私たちの愛を守るために…」

暁子は頷きながら、順一の手を握った。
「私も一緒にいるから、大丈夫です。信じてます。」

満月の夜、順一は再び狼の姿に変わった。
しかし、今度は恐怖や不安ではなく、愛と自然への感謝の念が溢れていた。

二人は月明かりの下で手を取り合い、自然の中で新たな生活を始めることを決めた。
順一の狼としての姿は完全には消え去らなかったが、彼らはその力を使い、自然と共に生きることを選んだのだ。

暁子と順一の愛の物語は、月夜の秘密として永遠に輝き続けるのであった。
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