恋愛ショートショート

かまの悠作

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駅のホームでぶつかったのがきっかけです

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「あ、ごめんなさい!迷惑かけちゃった?」

私は、駅のホームで足元を見つめている男性にぶつかってしまった。彼は背が高く、黒い髪が風に揺れている。瞳は深い茶色で、どこか優しい印象を受ける。

男性は微笑んで言った。「いや、大丈夫。僕も気をつけなきゃだったし。」

私は謝る言葉を口にしようとしたが、彼はすぐに切り出した。

「それにしても、ここって人が多いね。」

確かに、駅のホームは人でごった返している。私たちもその中に紛れ込んでいた。

「ああ、通勤ラッシュだからね。でも、まだまし。朝の方がもっと混んでるよ。」

男性は少し驚いた表情を浮かべた。

「朝はもっと混んでるってこと?それは大変だな。」

私は笑って頷いた。

「そうだよ。でも、慣れちゃうもんだから。」

男性は再び微笑み、話しかけてきた。

「あ、そうだ。僕、初めてこの駅に来たんだけど、この辺りには何かおすすめの場所ってあるかな?」

私は考え込んだ。この駅周辺には、オシャレなカフェやショップがいくつかあった。でも、男性が求めているのはそういう場所ではない気がした。

「実は、ここから少し歩いたところに公園があるんだよ。景色も綺麗で、のんびり過ごすのにはいい場所だよ。」

男性は興味津々の表情で聞いてきた。

「本当に?それなら行ってみたいな。案内してくれる?」

私は彼に笑顔で手を差し出した。

「もちろん、案内するよ。一緒に公園に行こう!」

彼は喜んで私の手を取り、駅の外へと歩き出した。

公園に着くと、男性は周りを見渡しながら深呼吸をした。

「いい場所だね。ありがとう、連れてきてくれて。」

私は微笑んで言った。

「どういたしまして。でも、なんで公園に行きたかったの?」

男性は恥ずかしそうに答えた。

「実は、あのね、僕は今まで一度も公園に行ったことがなくて。友達に「公園デートって楽しいよ」と聞いて、一度行ってみたいなって思ってたんだ。」

私は驚いて彼を見つめた。

「そうなんだ。じゃあ、これからは公園デートをしてみるのもいいかもしれないね。」

男性は笑って頷いた。

「そうだね。でも、一緒に行ってくれる人がいないと楽しくないかなって思ってたんだ。」

私は少し寂しさを感じた。

「でも、今度からは一緒に行ける人がいるんだから、きっと楽しいよ。」

男性は私を見つめながら言った。

「そうかもしれないね。でも、君が一緒に行ってくれるって嬉しいな。本当にありがとう。」

私は彼の手を握り返し、微笑んだ。

「こちらこそ、ありがとう。これからも一緒にいろんな場所に行こうね。」

二人は公園でのんびりと過ごし、新たな出会いに幸せを感じた。
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