恋愛ショートショート

別れた。私の求めるものは愛情、彼の求めるものは体だったから

「遥はるかちゃん、俺、典久のりひさ。一緒にいてくれないか？」
典久が照れくさそうに言った。

遥は不意に笑みを浮かべ、首を横に振った。
「ごめんね、私はもうあなたとは関わりたくないの。」

典久は驚きの表情を浮かべた。
「どうして？何か悪いことをしたのか？」

遥は深い溜息をつきながら、典久の目を見つめた。
「私たちの関係はもう限界なの。最初は楽しかったけれど、次第に私が求めるものとは違う方向へ進んでいった。」

典久は戸惑いの表情を浮かべながらも、遥の言葉を受け入れようと努力していた。
「でも、俺は本当に遥ちゃんが好きだよ。一緒にいることで幸せを感じるんだ。」

遥は微笑みながら典久の手を取り、優しく頬に触れた。
「私も最初はそう思っていたけれど、次第にそれだけでは満たされなくなったの。私は本当の愛を求めているの。」

典久は遥の言葉に心が痛んだ。
「本当の愛って、どういうこと？」

遥は深い愛情を込めた目で典久を見つめた。
「本当の愛は、お互いを尊重し、支え合い、共に成長すること。私たちの関係は、ただ肉体的な快楽を追い求めるだけになってしまった。だから、私はもうこの関係を終わらせたいの。」

典久は言葉に詰まり、遥の手を強く握った。
「遥ちゃん、本当にそれでいいのか？俺は遥ちゃんと一緒にいることが幸せなんだ。」

遥は典久の手を優しく握り返し、涙を浮かべた。
「私も本当に幸せだったよ。でも、幸せって一時的なものじゃない。私が求めているのは、一緒に未来を築くこと。典久、私たちにはそれぞれの道があるんだよ。」

典久は遥の言葉を受け入れ、悲しみと同時に理解の目を向けた。
「遥ちゃん、ありがとう。君の思いを尊重するよ。」

遥は典久の胸に飛び込み、抱きしめた。
「ありがとう、典久。私たちにとっては、これが最善の選択なんだと思う。」

二人はしばらく抱き合ったままでいた。それぞれの未来に向かって歩みを進めることを決意し、別れのキスを交わした。

遥は背を向けて歩き始めた。
涙が頬を伝って流れるが、彼女は前を向いて進む決意を固めていた。

典久は悲しみを抱えながらも、遥の背中を見送った。
彼女の幸せを願いながら、自分自身の道を歩む覚悟を持っていた。

二人の関係は終わりを迎えたが、それぞれが新しい出会いや経験を通じて成長していくことは間違いなかった。そして、いつか彼らの道が再び交差する日が来るのかもしれない。