恋愛ショートショート

女の吸血鬼の私に一目ぼれした男

吸血鬼の有希は街で偶然、人間の真司と出会った。

真司は鮮やかな緑の瞳と、少し緊張した表情が特徴的な男の子だった。彼は有希に近づいてきて、少しばかり困惑しながらも声をかけた。

「あの、すみません。ちょっとお話ししてもいいですか？」

有希は少し驚いたが、興味津々で返事をした。

「ええ、もちろんです。どうしたの？」

真司は少し恥ずかしそうに微笑みながら、続けた。

「実は、君に一目惚れしてしまって。でも、どうしても話しかける勇気がなくて…」

有希は真司の言葉に驚き、そして微笑んだ。

「私もすごく嬉しいです。でも、私は吸血鬼なんだよ。それでもいいの？」

真司は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔を取り戻して言った。

「君が吸血鬼でも、僕にとっては関係ありません。君のことが好きだから、そのままでいて欲しいんです」

有希は真司の言葉に胸が熱くなり、彼の手を取って歩き出した。

二人は街を歩きながら、お互いのことを少しずつ知っていく。真司は明るく優しい性格で、有希にとっては心地よい存在だった。

だが、有希は吸血鬼であることを真司に隠していた。彼女は彼との関係を大切にしたいと思いながらも、自分の正体を明かすことに躊躇していたのだ。

ある日、二人は公園で仲良く座っていた。風がそよそよと吹き、まるで二人だけの世界が広がっているかのようだった。

真司は有希に寄り添いながら、思い切って尋ねた。

「有希、実は最近、君のことがますます好きになってきてるんだ。だから、もう一つだけ聞いてもいいかな？」

有希は少し緊張しながらも、真司の目を見つめて頷いた。

「なんでも聞いて。何でも答えるよ」

真司は深呼吸をして、真剣な表情で言った。

「君のことをもっと知りたい。君の過去や、秘密のことも全部」

有希は言葉を失った。彼女は真司に正直になりたいと思っていたが、吸血鬼であることを告白することは、彼女にとっては大きな勇気が必要なことだった。

だが、真司の愛を胸に抱きながら、有希は真実を告げる決意をした。

「真司、実は私は…吸血鬼なんだ」

真司は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻り、有希の手を握った。

「それでも僕にとっては変わりません。君のことを愛しているし、君と一緒にいたいんだ」

有希は涙を流しながら、真司に感謝の気持ちを伝えた。

「ありがとう、真司。君の優しさに心から感謝している。これからも、ずっと一緒にいたい」