恋愛ショートショート

森の奥深くの湖は彼の湖

ティルールは森の奥深くに佇む小さな湖に足を踏み入れた。
彼女はこの湖の異世界の存在を知っていたが、今日は初めてその魅力に引かれてやってきたのだ。

湖の水面は透き通っており、その中には美しい花が浮かんでいた。
ティルールは静かに立ち尽くし、湖の美しさに圧倒される。

「こんなに美しい場所があるなんて、まるで夢の中のようだわ」

そして、彼女の前に突如として現れたのは、湖の守護神であるアドリエルだった。
彼は金髪に蒼い瞳を持つ美しい男性で、羽根を持つ妖精のような存在だった。

「ようこそ、ティルール。私の湖へ」
とアドリエルは優しく微笑んだ。

ティルールは胸の高鳴りを感じながらも、彼に近づき湖の美しさを一緒に楽しもうとした。
しかし、湖の水面が彼女たちの足元に波紋を広げると、湖の中から何かが現れた。

それは、ティルールの願いを叶える魔法の力を持つ魚のような生物だった。
その魚の体には、さまざまな色と光が踊っているかのようで、まるで魔法そのものだった。

「これは『願いの魚』と呼ばれるものよ。願い事を言えば、それを叶えてくれるの。どんな願いでもいいわ、ティルール」
とアドリエルは言った。

ティルールは迷った末、勇気を振り絞って願いを口にした。

「私の願いは、あなたと一緒にこの湖で永遠に過ごすこと。アドリエル、私たちを結びつける魔法をください」

アドリエルは微笑みながら、願いを受け入れると、その魚を手に取った。
そして、湖の中に戻し、水面に手を差し伸べた。

「ティルール、私と共にこの湖で永遠に幸せになりましょう」
とアドリエルは言った。

湖の水面が輝く光に包まれ、ティルールとアドリエルは消えていった。

それからというもの、湖は二人の愛の証として、美しい花が咲き誇るようになった。
誰もがその美しさに魅了され、湖の奥深くにある愛の物語を語り継いでいった。

ティルールとアドリエルは永遠の愛を誓い、湖の中で幸せに過ごしている。
彼らの願いが叶い、二人の絆は深まっていくのだった。

そして、湖の中には今もなお、願いを叶える魚がいると言われている。
それは、誰かの願いを叶えるために存在し続けているのだ。